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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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416 副部隊長の仕事をしろ

「ツヴァイ第七部隊長。情報提供をしてもらおうか」


 黒い甲冑の魔王様が威圧を放ちながら言った。


 誰の家かはわからないけど、たぶんここでは一番広い家なのだろう。玄関入ってすぐに暖炉がある広い部屋になっていた。

作りも寒い北部に対応できるようにか丸太を積み上げたロッジ風だった。

 いや、山の中腹の町なので、手短にある木を使ったのだろう。


 その暖炉の側で、なにやら怪しい液体が入った鍋を前にしている人物が、第七部隊長さんらしい。

 甲冑は着ているものの、兜は取っており、誰かに似ているような気がする。だけど、たぶん気の所為。だって、聖質持ちは兄弟でも似ることがないからね。


 ルディは少し離れたところにあるテーブルの椅子を持って、第七部隊長さんの前に腰を下ろした。


「アンジュ。こっちに来い」


 黒い甲冑を身にまとった魔王様に呼ばれてしまった。

 えー?あの怪しい液体がある近くに行かないと駄目なのかなぁ?


「アンジュ」

「はーい」


 仕方がないので魔王様のところに行く。しかし誰も付いてきてくれない。何故にと振り返れば、他の皆は食卓のテーブルの上に保存食を広げていた。


 あ、私もそこに混じって料理をしたい。


 だけど、ルディに腕を引っ張られて、黒い甲冑のお膝の上に座らされてしまった。

ここで一人は嫌だよ。

 ルディのお目付け役であるファルに視線を向けて、ルディの背後につくように促す。


 副部隊長の仕事をしろ。


「今回はヴィオーラは来てないのか?一ヶ月ぐらい前に毒をばらまいていたから、後処理が大変だったのだけど?」


 ヴィオ?毒?あれ?もしかして?


「アングスト男爵家の嫡男のツヴァイ・アングストで、ヴィオーラの兄だ」


 ファルが説明をしながら、こちらに来た。

 似ているなっと思ったのは新しい毒を作っているヴィオの姿と重なったのだ。


「それから、騎士(シュヴァリエ)ヴィオーラは今回参戦しない」

「助かるよ。毒の海にされると困るからね」


 ……なんだか、イラッときた。ヴィオの兄なのにそういう言い方をするの?普通なら、元気にしているかぐらい聞くところじゃないの?


 私はとどめ色の謎の液体に向けて手をかざす。そして手の平からボトボトと紫色の液体を落とし入れた。


「アンジュ。何をしているんだ!それアレだろう!」


 ファルが何か言っているけど無視だ。紫色の液体が鍋いっぱいになるまで入れる。


「あら?あら?あれって床溶解事件のやつよね?」

「噂の第一部隊長殺人未遂事件の?」

「人殺しは駄目ですよ。アンジュ」


 第七部隊さんは鍋と私の顔を交互に見ていた。


「毒の何が悪いの?因みに、これはヴィオの毒より強力だよ」

「はははは……流石、問題児ばかりを集めた第十三部……なんのつもりなのかな?ヴァルトルクス第十二部隊長」


 ヴァルト様が、第七部隊長さんに向けて剣を抜いて首元に突きつけていた。

 それも、少しでも第七部隊さんが動けば殺すぞオーラを発している。


「貴様は報告だけをしろ」

「あれ?アンドレイヤー公爵家って王家と仲が良かった?」

「私は王家に忠誠は誓っていない」

「そうだよね。毒使いの妃を送りこんだアンドレイヤー公爵家だものね。あれ?これには怒らないんだ」


 なんか。この人ムカつく。そう、ここに入ってきたときからイラッとした。


 何故に諦めているの?こうなる前に手立てを打てなかったの?水が溜まっているのであれば、どこかに流そうと考えなかったの?水の底の街には多くの人が沈んでいた。そうなる前に手を打てなかったの?


「この人の報告はいらない。真実が知りたいのにいらない情報が入っていそう」


 こういう偏った考えを持つ人の情報は邪魔だ。思い込みで言うところがありそうだからだ。


 私は手を振って聖痕で出した毒だけを消す。そしてルディの膝の上から立ち上がった。


「まだ、神父様の部下から報告を聞いた方がいい。いるんでしょう?ここに?」


 私は神父様に視線を向けて確認をしようとすれば、髪が後ろに引っ張られた。


「たかが、平民のクセに貴族に向かってそんな口を……ぐっ!」


 髪を引っ張られたのは一瞬だけだった。横目で見えたのは、ヴァルト様に右腕を切られ、ルディに殴られ、神父様に足蹴にされている第七部隊さんが床に転がされている。


 はぁ、やっぱり私は王妃っていう柄じゃないんだよ。王様は黙らせると言っても、所詮平民だとこのような扱いになる。


「な……何をする。銀髪だろうが、たかが平民が……うぐっ!」


 神父様。なんだか骨が軋む音が聞こえているよ。それに早く腕をくっつけた方がいい。出血多量で死んじゃうよ。


「俺は言ったはずだ。情報を提供しろと。王族である俺の命令に逆らったのはお前の方だ」


 あ……そっちのことでの制裁ね。うん。そうだよね。たかが私の髪を引っ張ったからといって、右腕を切り落とすことはないよね。


「あら、アンジュちゃんの髪がボサボサに」

「昔と同じだね。貴族に買われないようにしていたときと」


 リザ姉。ここ半年はルディに髪の手入れをされているから、ちょっとぐらいではボサボサにはならないよ。それからロゼも。昔ほど酷くはないでしょ……ってヴァルト様!剣が第七部隊長さんの太ももを甲冑ごと貫いているよ!



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