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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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409/506

406 カニに首があるのか不明だけど

「確かに、その情報は欲しいですね」

侍従(シャンベラン)、何を言っているのかな?情報は聖騎士団で管理すべきことだよね?」


 ロゼに呼びに行ってもらい、第十二部隊に来た侍従(シャンベラン)に私は突っ込んだ。

『その情報』とは神父様が持っていた紙に書かれていたことだ。


 しかし、それは聖騎士団の各部隊から上がってくるべき情報でもある。


「それが要領を得ないことばかりで、情報を精査する者も頭を抱えているのですよ」


 侍従(シャンベラン)は大きくため息をはいている。


「見えない糸に手足を取られて進めないとか。ムカデに人の体が生えているとか。刃物を持った角が生えた老人が襲ってくるとか」

「いや、それザコの方だよね。それで足止めされないでよね」


 ため息を吐くところが違う。そのあたりのことは、神父様への報告書に書かれていた。

 神父様が持っていた報告書はその先のことが書かれていたが、調査続行不可能という言葉で全てが終わっていた。


 不可能じゃないよ。元凶を叩かないと駄目なんだよ。


「ザコ⋯⋯」


 私のザコ宣言で侍従(シャンベラン)は引きつった顔をしている。


「いや、考えてみてよ。元凶の異形が出てきた穴があるわけで、そこが開きっぱなしなんだよ。ということは次々とザコが出てくるわけ。そのザコに手を取られている時点でアウト」


 おそらく八箇所すべてがザコに手間取っていて、本丸に近づけないという感じだと思われる。


「アンジュ。刃物を持った老人が襲ってくるって普通に怖いよ」


 ロゼが怖いと言うけど、まぁ怖いだろうね。山姥が包丁を振りかざして向かってくるのだろうから。

 糸の原因は神父様の持つ情報から大物の方だと思われる。あとはムカデ女だね。見た目があれだけど、大したことはない。


 酒吞と茨木からの情報で、いくつかの異形には当たりがついたけど。


「ロゼ、それは鬼ババァが包丁を持って追いかけてくるだけだから大したことはないよ」

「いや、怖いよ」

「わかったことを教えてください!」


 ロゼと侍従(シャンベラン)の声が重なった。わかったといっても鬼関係のものだけだ。


「バルドール地方はカニの化物だね」

「カニですか?」

「あの辺りって水が豊富だからねぇ」


 バルドール地方は北側と南側を隔てる山脈の北側になる。だから山脈からの水は豊富だし、星が降ったことによりいくつもの泉があるので、縄張りになってしまったのかもしれない。


『岩嶽丸』ではないのかと茨木が言っていた。巨大なカニ?説明されたけど絶対にカニとは思えなかった。

 だって目が飛び出ているとか口が裂けているとか、角があるとか、足が十本だとか⋯⋯カニの口ってどこ!

 そこから火を吹くとか⋯⋯。

 たぶん人面カニなのだろう。怖い怖い。


「首を切り落とすといいらしいよ。カニに首があるのか不明だけど」


 私の言葉に周りがシーンと静まり返ってしまった。絶対に本当にカニなのかって疑っているよね。私も疑っているよ。


「ケイザディール地方は骸骨や他の妖⋯⋯異形を操る女性かな?」

「ネクロマンサーですか?」

「えーっと一族が、その娘以外が殺されてしまったので、復讐するために人外になった?らしい」


 滝夜叉姫。平将門の娘のことらしい。平将門の乱が有名だよね。一族が滅ぼされたあとに神に祈って、妖術を習得したらしい。

 こういうところが日本の神様の怖いところだよね。


 そして鬼女となり、復讐をしようとしたと。


「これって首だけの武者と一緒で、周りは死者で囲まれて本人は奥にいるって。その姫様を倒せばいいよ」

「え?姫君なのですか?」

「異形になった人だね。ガラヴァーニル地方は牛の異形かなってところかな?」


 これは家畜の被害が、異様に多いからと五メル(メートル)の牛という姿を見たという証言があったからで、報告書を書いた者が見たわけではないから、予想というところで留める。


 牛鬼。巨大な牛の体に、顔が鬼と言われている。しかし私の中で牛鬼と言われると、江戸時代に書かれた体が蜘蛛のような物体の映像が浮かんでしまった。


 ただ茨木は牛の体と言っていたので、もしかしたら時代的進化を遂げたのかもしれない。


 侍従(シャンベラン)はガラヴァーニル地方の異形のことよりも、滝夜叉姫の方が気になったらしい。


「人なのですか⋯⋯」

「ねぇ、私は言ったよね。見た目に騙されては駄目だって」


 見た目に騙されてはいけない。妖怪は人を騙すものであると認識するところが大切だ。


 それにこの世界に来てしまえば、世界に食べられるという未来しか、彼らには残されていないのだから。


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