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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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390 パラディンへの命令

「うん。君は君が思うように動けばいい。君は愚かではない。あとは君の聖騎士たちが君を支えていくよ」


 王様は私の周りにいる者たちに視線を向けながら言った。

 いつのまにか、ロゼも第十二部隊長さんもリザ姉の側まできていた。ファルはルディの隣に立っていた。


 神父様はいつもの胡散臭い笑顔を浮かべて、最初からその場所にいるけど。


「貴族に会うのが嫌だというのなら、徹底的に排除してくれると思うよ。聖騎士は聖女の命令には逆らえないからね。あと、黒狼どもを自由にできる権利もあるからね」


 聖女の聖騎士(パラディン)。近年でその存在を正確に記録された者は双子の聖女の兄のみ。それぐらい聖女に聖騎士(パラディン)は存在しない。


 シスターマリアも聖騎士(パラディン)だけど、自死した聖女の聖騎士(パラディン)として抹消されたのだと思う。

 結局史実は事実ではないということだ。


「今日、見せられて困惑している部分が大きいのかなって、僕は感じたのだけどどうかな?」

「……サインすれば、全ての工程をスルーする書類はヤバいと思いました」


 あの婚姻届はヤバいと思う。あれはない。


「手順が大事ってことだね。わかったよ。二週間後に僕の一年後の退位の発表と、シュレインの次期王位継承と婚姻の発表をしようか」

「ん?一年後?」


 なんか今すぐみたいな雰囲気があったけど一年後?これは婚姻も一年後でいいのでは?


「婚姻も一年後?」

「二週間後だね」

「二週間後の話をしているだろう。アンジュ」


 何故にそこは、二週間後になっているわけ?


「北側の地域は冬支度する前に冬になるという事態になり、西側は春に収穫する麦が一ヶ月ほど続く異形どもとの戦いで被害を受けている。東側も同じだ。唯一山脈を超えた南部地域のみ被害がない。人々の心に希望が必要だと思わないかい?」


 私には情報は入ってきていないけど、各地域の戦いは困窮を極めているのかもしれない。

 ただシェーンが知っている未来よりは、良いというだけ。


「本来なら聖女のお披露目がその役割だったのだけど、新たな国の形を示すのがいいと考えたのだよ」


 これは私に結婚するしかないということを示されている。本当に結婚するしか選択肢はない?


 聖女として嫌だと命じれば、ルディはそれを聞かないといけない。それは可能だろう。問題はその後だ。極夜が続く世界が再びやってくる事態になる。


 これは私の良心が耐えられない。私の選択が人々に暗闇で過ごすことを強要してしまうことになる。

 ルディをヤるという選択もあるけど、これは王族殺しとして追われ続けられる人生になる。


 うん。これは詰んだ。


 私一人こんなのは耐えられない。そうだ、巻き込もう。それがいい。


「ねぇ、聖騎士(パラディン)は私が好きなように命じていいんだよね?」

「いいよ」


 私の聖騎士ではない王様が機嫌よく返事をしてくれた。よし。王様の許可があるならいいよね。


「え?凄く嫌な予感がするよ!」

「アンジュちゃん。無理難題を言われてもできないことはあるわよ」

「最善を尽くそう」

「アンジュ。人には得手不得手があるんだからな!」

「アンジュのわがままなら何でも叶えてやる」


 ルディ。何でもは叶えたら駄目だよ。

 そして、神父様は私の言うことに何も返すことはなかった。またきっと、おかしなことを言いだしたと思っているのだろう。


「私が王城に行くときはついてきてよね!」

「リザ副隊長!やっぱりアンジュはおかしなことを言っているよ」

「まぁ、周りの了承を得られるのであれば、無理ではないわね」

「了解した」

「あ?そんなことか?叔母上も王城に詰めていたから当たり前だろう?」

「他には無いのか?」


 ルディ、私はリザ姉とロゼを巻き込みたかったから、これでいいのだよ。そうなれば、私は肩身の狭い思いはしなくていいよね。


「ないよ」


 私がそういうと、王様が両手を叩き出した。


「良かった。良かった。大抵は僕が命じればなんとかなるのだけど、流石に太陽(ソール)の聖女に命じるのは王族としては非道だからね」


 王様。非道という言葉の使い方が間違っていると思う。

 しかし、王様でも聖女に気を使っていたんだ。全く気を使っているように思わなかったけどね。


「僕は一年後に退位する。それまでに国を正常に戻して欲しい。これが王である僕が太陽(ソール)の聖女に望むことだ」

「難しいことを王様は言うね。だったら手荒なことをしても文句を言わない?」

「言わないよ」


 王様の許可はとった。ならば、聖女シェーンから話を聞いてから、考えていたことがある。


「異形を世界に食べさせると常闇が開く。二週間後の聖女お披露目の日に王城で常闇が開く。これっていいチャンスだと思うんだよね。地下の常闇を閉じるのに」


 すると今までニコニコと笑みを浮かべていた王様が、さもおかしそうに笑い出した。子どものようにケラケラと笑っている。


「それいい!そうしよう!常闇が開いても、僕が呑まれる心配をしなくて良くなったしね。存分に常闇を開いてくれればいい。ついでに繋がれている貴族共を連れていってくれていい」


 ん?この言い方だと、貴族にお披露目の時に黒い鎖がつている貴族が呼ばれているということ?



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