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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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382 私は呪われているのだろうか

 私は雪が舞う中で遠い目になっている。何故にこんな事になってしまっているのだろう。


「流石、ツクヨミの旦那だな」


 酒吞の含み笑いの声が聞こえてきた。いや笑えないよ。これは流石に駄目だと思う。

 っていうか、なんてものを世界は食べたわけ?


「アンジュ。これは何だ?」


 ルディがとある方向に視線を向けながら言っているが、私の目には映したくない。現実逃避をしたい。


「おや?これはもしや、八岐之大蛇(ヤマタノオロチ)ですか?」


 戻ってきた茨木の言葉に、私は雪の上に項垂れる。

 またヘビ。何故にヘビ。それも頭が八つもあるヘビ。


 もしかして、ヘビに呪われている?


 そう、ルディが見ている方向には、物語より小型になった中型犬ほどの大きさのヘビがいる。それもツチノコのなり損ないのような、ぶっとい胴体に頭が八つ、尾が八つあるのだ。


「ヤマタノオロチとはなんだ?」

「まぁ通説では、荒れ狂う川の化身と言われていますね」

「また水属性!」


 茨木の説明に思わず叫んでしまった。何故に水属性。もうちょっと、まんべんなくならないわけ?


「酒好きだぞ」

「身を滅ぼすほどね」


 酒吞の言葉に私が突っ込むと、ドサッという音が聞こえそっちに視線を向ける。するとヘビの塊が雪の上に倒れていた。

 いや、本当のことじゃない。


「これ使えるのか?」


 その姿にルディの困惑の声が聞こえる。まぁ、つかえるかと言えば使えるかもしれない?


「尻尾を切ると剣が出てくるかも?」

「ぽぎゃ!」


 あ?なんか変な鳴き声が聞こえてきた。よく見ると、ヘビの塊の内の一匹がガクガクと震えている。

 あれ、一匹一匹が別の個体だったりする?


「そのくっついているところ、切ってみれば、使い勝手が良くなるかも?」


 すると八つの頭が騒がしく悲鳴を上げ始めた。なんだ、分離はできないのか。


『主様。流石にそれは非道ではありませぬか?』

『個は分離できませぬ』


 突然、同族のヘビ共の声が聞こえてきた。何故、勝手にでてきているわけ?


「私は出てきていいと言っていないけど?」


 人型になっているヘビ二人を睨み付けながらいう。昨日……一昨日の夜中なんて呼ばない限り出てこなかったくせに。


『余りにも哀れに思いまして』

『流石に分離は個を無くしてしまいましょう』


 ヘビ同士で何か通じるものでもあるのだろうか?しかし、勝手に出てきた言い訳にはならないよ。


『我らに預けていただければ、月が満ちる日までには役に立てるようにいたしましょう』

『主の伴侶よ。このモノに名を与えるがいい』

「ちょっとヘビ共、まだ籍は入れていないよ!」


 何を勝手なことを言っているわけ!それに預けるってなに?

 神父様の赤い鳥といつの間にか会っていたようだけど、異形たちの関係がどうなっているのか、私には不明だ。


 それから、ルディとまだ籍は入れていない。


「そのことだけど、アンジュ」


 ルディがどこからか一枚の紙を取り出してきた。

 凄く嫌な予感がする。


「これにサインをして欲しい」


 ルディから差し出された紙をみて、私は再び遠い目をする。これにサインをするのは期限ギリギリの半年後でいいと思う。


「ルディ。先に名前でもつけてあげれば?」


 ルディから差し出されてきたのは、婚姻届だった。


 それも既にルディの名前が書かれており、承認者として王様のサインが書かれている。

 そして本当であれば、結婚式を挙げる教会の祭司がサインする証人のところに、神父様のサインが既にされていた。


 全て王族の名がサインされた用紙に、私がサインするって、どう考えてもおかしいよね!


「名前か。既に名があるようなのだが、別の名を与えて問題ないのか?」


 私が遠い目をしていると、ルディの困惑した声が聞こえてきた。既に『八岐之大蛇』という名がある。それなのに名が必要なのかということなのだろう。


「愛称ってことでいいと思うけど、そんなに深く考えなくても適当につければ?」

「適当……」「我々の名は適当……」


 聞いてきたルディに私はアドバイスをしたのに、人型のヘビ共が項垂れている。


「リトでどうだ?」

「いや、私に聞かれても困る」


 リトは『精霊』を指す言葉だけど、このツチノコの出来損ないのヘビが精霊……まぁ精霊石からでてきたから、そのままでいいか。


「特に意味がなさそうで良いんじゃない?精霊石から出てきた精霊(リト)で」


 するとツチノコの出来損ないどもの口がパカリと開いて、ぷるぷると震えている。


「いや、守護者(リトティーア)の方のリトだ。名前が長いと問題だろう?」


 ああ、私が聞き取れないという問題ね。いや、文字は読めるし、固有名詞でなければ大丈夫。

 守護者は教会の授業で習ったからわかるよ。しかしそれも安易だね。守り石から出てきた守護者。


 なんかヘビ共が喜んでいるから言わないであげるけどね。


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