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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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381 そいつは誰だ

「遊んでいないよ。ルディ」


 私はへロリと笑って、振り返る。そこには私を見下ろす魔王様がいた。それも背景が歪むほど機嫌が悪い。


「では、そいつは誰だ」


 ルディは朧を見て言う。

 それはこんなに真っ白な人物は怖いよね。誰だかわからないから機嫌が悪いのか。


 私は朧に向かって手を差し出す。

 私が渡したハンカチを出すようにと。


 すると、朧は私の手の上に真っ白なハンカチを置いた。すると、いつもの血の海の上に立つ、黒髪の浅黒い肌を持つ人物が現れる。


「オボロだったのか?これはどういうことだ?」


 ルディが朧だと認識したので、ハンカチを朧に返す。するとまた、真っ白な朧に変化した。


「ちょっと実験していたの。私が刺繍したハンカチって、尽く神父様から回収命令がだされるから、どうなっているのかと思ってね」


 そう言いながら私は立ち上がった。

 少しの間だけだったけど、雪が私に積もってきているな。シェーンが帰るときに結界を解いてしまっていたからね。


「白い狐を刺繍すると、なんと一時的に王家の呪いが解除されるみたい」

「王家に服従する術だ」


 そこは別に言い直さなくてもいいよ。

 さて、シェーンの話を切り出そうかと悩んでいると、私の前に黒い石がはめ込まれた指輪が差し出された。

 なにこれ?


「アンジュ。これに護り石の術をかけてほしい」

「……え?ルディも配下が欲しいの?」


 私は神父様みたいな使い魔が欲しいのかと聞いてみた。

 あの赤い鳥、私のことを嫌っているよね。絶対に視線が合わなかったもの。イグネアっていう赤い鳥。


「なんだ?配下って。俺だけアンジュの守護石を持っていないって、許されることじゃないよな」


 瞳孔が開いた目で見下ろしながら言わないで欲しい。許されていいと思うよ。


「だって、精霊石の元は何かっていう予想を私は言ったはずだよ。何がでてくるかわからないんだよ」

「異形が世界に食べられた残りカスっていう話か?だったら、その証明にもいいだろう?」

「よくないよ。何がでてくるかわからないよ」

「アンジュ」


 はぁ、これは絶対に諦めてくれないパターンだね。

 もう何がでてくるかわからないんだよ。私は知らないよ。変なのが出てきたらルディがなんとかしてよね。


 私はため息を吐きながら、黒い石がはめ込まれた指輪を受け取る。

 私と同じ指輪に見えるけど、これは同じじゃないよね。指輪の内側に怪しい文字が刻まれているのは変わらないけど、持った瞬間にドラゴンの魔石を持ったときのような威圧を感じた。


「ねぇ、これ普通の精霊石?」

「流石アンジュだ。これは宝物庫の奥に封じられていたものだ」

「危険物は返してきて」


 ヤバそうな指輪をルディに突き返す。

 封じられている時点で、その精霊石に力があるってことじゃない。


「アンジュ。今日呼ばれたのは二週間後にある聖女のお披露目パーティーの件だった」


 まぁ、そうだろうなと予想はしていたよ。王族を集めて、団長(コマンドール)も呼ばれたのだったら、聖女のシェーンが絡んでいるのだろうなって。


「そこで陛下は退位を発表される」

「げっ」

「そして俺が次期王に拝命されることになる」

「いやぁぁぁぁぁ!私、王族って無理!わかる?私、平民。身分がない平民」


 私は契約の腕輪を取り外そうと、右手で腕輪を掴み引っ張るも、びくともしない。

百歩譲ってルディと結婚を許せていたのは、王族だけど第十三部隊長という立場だったからだ。


 ルディが白銀の王様の跡を継ぐとか、内心予想していたけど、こうも面と向かって言われると拒否反応が出てしまう。


「大丈夫だ」


 そう言ってルディは私の右手を押さえる。何が大丈夫なわけ?


「反対するものは居なくなる」


 全然大丈夫じゃなかった。これ白銀の王様の復讐が混じっているよね。

 その場で惨劇が行われるって言うんじゃないよね。


「ブタ貴族をブヒブヒ言わそうぜ作戦だったよね」

「それは変わらないが、どうも貴族共がおかしな動きをしているので、調べさせている」


 はっ!これはさっき話に出ていた玉藻の件ってこと?

 ここでその話を切り出す?


「しかし、俺が王に立つとアンジュの側にずっと居られないことが多くなる。ならば、異形でも俺の命令をきくモノが必要だと思わないか?」

「思わないし、どこに『しかし』がかかったのか不明。あと、私は自分のことを守れるぐらいは強いよ」


 あと二週間しかないから、すぐにでも動き出した方がいいけど、とんでもないことを言われて頭がパニックを起こしている。


 これは一旦冷静になるために時間を置いたほうがいい。


「ルディ。取り敢えず、お昼ごはんを作りに戻ろう」

「アンジュ。先に守り石を作って欲しい」


 駄目だった。

 しれっと先延ばしにしようと思ったけど、ルディにとっては守り石を得ることが最優先事項だった。



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