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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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376 いや、聞こえないのだけど

「恐ろしいことを口にしないでほしいものですね」

「やべぇな。どうしたら、そう言う考えになったんだ?」


 茨木と酒吞が変化(へんげ)を解いて、聖女の彼女から距離を取った。

 しかし、なんで私が上官たち……って誰を指すのかわからないけど……お慰みの相手をしなければならないのだろう。

 これはきっとゲームの十八禁のことを言っているのだと思うのだけど、何故に上官たちなのだろう?


「あら?だって――――――――――」


 背後から私の耳を押さえられて、聖女の彼女の声が聞こえなくなってしまった。

 聖女の彼女の言った言葉に茨木は呆れた顔をして、酒吞は周りに視線を巡らせて、人に聞かれていないかを確認している。


「朧。聞こえないから手を離してくれない?」


 すると茨木と酒吞の視線がこっちに向いた。いや少しズレているので、朧を見ているのだろう。

 そして、酒吞がどこから取り出したのか、ロープで彼女の腕と胴を一緒にぐるぐる巻にして、茨木が布で彼女の口元を当てて猿ぐつわのように話さないようにした。


 いや、誰も何かの犯人扱いにしろとは言ってはいない。


 そして彼女はやっとさっきまでいた団長(コマンドール)侍従(シャンベラン)が別人だということに気がついて、くぐもった悲鳴を上げていた。


 あ、彼女が話せなくなったので、朧が手を離してくれている。


「ちょっとそこまでしなくていいよ。猿ぐつわされると、聞きたいことを話してもらえないし」


 何を言ったのかわからないけど、別にいいよ。


「やはり、監禁しているだけの理由があるのです」


 茨木がそう言うけど、彼女が監禁されているのは第六部隊でのことと第九部隊であったことが原因のはずだからね。


「はぁ。取り敢えず寒いから火でも焚こうか」


 この辺りはファルの手が入っていなさそうなので、雪の下から枯れ枝が顔を出している。結界内の枯れ枝を集めるだけでも焚き火ぐらいできそう。……あっ!違った。ルディがブッ飛ばしてない森だったね。




 焚き火を囲った朽ちた丸太を椅子代わりにして、話をする場所が整った。私の向かい側に座るのは私を睨みつけている桜色の髪の少女だけど、猿ぐつわとロープでぐるぐる巻にされていると、犯罪者っぽく見えてしまう。


「茨木。取ってあげてよ」


 私がいうと猿ぐつわだけ外された。いや、そのロープもとってあげてよ。


「ちょっと!!これってどういうこと!なんで酒呑童子と茨木童子がいるのよ!」


 一番に彼女から出てきた言葉が、それだった。やっぱり彼女はゲームの酒吞と茨木を知っているようだ。


「仲良しになったからだね」


 私はへロリと笑って答える。すると何故か納得した表情をした。


「まさか鬼まで相手にして―――――」

「朧。聞こえないよ」


 私は背後から私の耳を塞いできた朧に文句を言う。しかし、目の前の光景の方がヤバかった。


 茨木が冷笑を浮かべながら、聖女の彼女に刀を突きつけていて、何かを言っている。口元から読み取るに『話していいのは聞かれたことのみで、それ以外を話すと首を切り落とす』と言っている。


 それに対して、聖女の彼女はコクコクと張り子のおもちゃのように頷いていた。そうしてようやく私の耳は外の音を聞けるように解放されたのだ。


「ねぇ、聖女様?私と何度も会っているけど、気づいていない?」


 どうもさっきから勘違いをされているようだ。あの偽物の王様の言葉を覚えていれば、私がどのような立場かわかるはずなのだ。


「わかっているわよ。貴女は銀髪でここでは監視対象ってことでしょ。それで、上官たちの相手……何よ!本当のことでしょう!だって私のところに来るのは、使えない下っ端ばかりじゃない!」


 茨木から更に刀を首に近づけられて、命の危機感はあるものの反論する彼女にはある意味凄いなと思ってしまった。


 やっぱり、彼女は私のことは天井裏から来た人物としか認識していないみたい。


「茨木。刀を引いて。私の立場をいうと、第十三部隊長の婚約者だね」


 そう言って私は左手を上げた。そこには黒と青の指輪と黒い腕輪がこれみよがしに付けられている。この外せない呪のような産物を。


 すると彼女は驚いたように目を見開いた。


「あの偽物が言っていた王弟の婚約者って貴女だったの?」


 やっぱり気がついていなかったのか。おかしいなぁと首を傾げていると酒吞から指摘されてしまう。


「こいつ暗闇だとほとんど見えていないぞ」


 はっ!確かに偽物の王様が目の前の聖女にお仕置きをしていたときは、ルディが極夜のように空を暗転させているときだった。

 それから思い返せば、第九部隊の管轄区域に行く時は私は鬱陶しい鎧を着ていたよ。それはわからないよね。



いつも読んでいただきましてありがとうございます。

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【嘘つきな私と黒白こくびゃくな婚約者】

全9話+0話


(あらすじ)

私を構成する全てが嘘。私は嘘でできている。

だから、私は今日も偽りの姿で、嘘を吐く。


でもこれだけは私の本当の言葉。


「貴方が好き」

これだけは、本当の私の心。


それ本当に?

嘘と真実が入り混じり嘘が真実になっていく。


興味がありましたらよろしくお願いします。

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