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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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369 精霊石の元は何か

 私達が北の森から切り上げてきたのは、朝日が昇る頃だった。


 見た目では何も変わらない冬の朝。

 いや、霜は存在していないけど、森はいつも通り針葉樹と広葉樹が混じり、葉をつけた木々と葉を落とした木々が朝の光を浴びて整然と立っている。

 木が燃えた様子もなければ枯れた様子もない。そして地面も何事もなかったように草花を支え、地であることを当たり前のように存在している。


 ただ、朝を告げる鳥の鳴き声がない。


 これは酒吞の炎にやられてしまったのか、私が広げた常闇に呑まれてしまったのかはわからないけど、これはどうしようもないことなので、そのうち新たに鳥がやってきて巣を作ることを願うしかない。 


 時間にすれば、六時間ほどのことだったけど、今回の戦いも水属性というものに困惑した。

 だけど、新たな戦い方を見出したのも事実。


「だからさぁ、別の属性の聖痕を合わせて攻撃すれば、対処が可能だってこと」


 私達は朝食という名の夜食を食べている。

 今から寝るから夜食という意味だ。


 重苦しい鎧を脱いた皆は疲れた顔をしている。夜中じゅう走り回っていたようなものだからね。

 いや、神父様は疲れた様子はなく。私が渡したそのへんの石を観察している。


 酒吞は朝からお酒を飲んで、茨木も普通に食事をとっている。この二人の鬼もいつも通りだ。


 ただ、一番働いたであろうファルが食事も喉に通らないほど疲れているみたいで、手が全くすすんでいない。


 だから軽めの雑炊にしたのになぁ。栄養も取れて、温かい食べ物だからだ。


 緊張しているときはいいのだけど、黒い鎖を始末しているときに大分冷えてしまったからね。


「だったら、なぜそれを俺に言わないんだ?」


 ルディは不機嫌に私の隣で雑炊を食べている。だからさぁ、説明したよ。


「ルディの聖痕って闇か影だよね。夜叉が水属性って蛇共がいうから、ルディに頼まなかったんだよ」

「どこが関係するんだ?」


 どこが関係するっていうか、私はルディの聖痕の力は二つしか知らない。


 だから、私はルディの方を向いて口を開ける。そして直ぐに閉じた。

 そうルディが隠し持っている聖痕は水の精霊を象った紋だった。水属性なのだ。だから、ルディには頼まなかったのだ。


 それを理解したルディは黙る。いや、それでも納得できなかったのだろう。


「それ以外も持っている」

「いや、私は知らないし」


 後出しのように言われてもなぁ。


 どちらかというと第十二部隊長さんの聖痕って何を持っているのかが気になる。

 世界が死を感じるほどの聖痕だ。

 一つは砂塵にする聖痕と予想しているけど、もう一つがわからない。


 あとでこっそり教えてもらえないかな?


「アンジュ。常闇ってなんだ?」


 ファルがよくわからないことを呟いて聞いてきた。そんなこと知らないよ。

 色々予想は立てれるけど、真実は何もわからない。


 ただ言えるのは……


「異界に繋がった穴だね」


 黒狐の王妃が転移をしようとして異界に落ちていった穴だ。それが繋がったままで存在し続けているから、色々弊害が出てしまっている。


「じゃ常闇に呑まれていった者はどうなるんだ?」

「知らないよ」


 だけど一つ予想は立てている。


「蛇共に聞けばわかるかもよ」

「え?」

「ほら、出てきてよ」

『御前に主よ』

『ご命令を主よ』


 中華風の鎧をまとった青い髪の男性と、黒い髪の男性が私の背後に姿を現した。


「誰だ!」

「人がどこからか出てきた!」

「あら?アンジュちゃん。モテモテね」


 リザ姉だけ、おかしな言葉が返ってきたけど、ファルとロゼは私と同じ反応をした。そうだよね。普通はそうだよね。


 ルディなんて、スルーだったんだよ。

 普通、蛇共が人の姿になったらびっくりするものだと思う。


「ねぇ、君たちって一度常闇に呑まれた異形だよね。力を奪われてミミズみたいになっていたってことだよね」

『ミミズではありませぬ。主よ』

『幼龍であります。主よ』


 どちらでもいいよ。

 そして、私は神父様の方に視線を向ける。そして、私につけられている二つの指輪を突き出すように見せた。


「この石ってどこから取ってきたもの?王城の地下かな?」

「そうですよ」

「あの暗闇の床の砂利が全部。精霊石?」

「ええ、よくわかりましたね」


 これで一つのからくりが見えてきた。これは青嵐と月影が人型にならなかったら、私はわからなかっただろう。


「異界に繋がっている常闇は一つ。それを閉じないと意味がないだよね」

「そういう話しでしたね」

「この石は常闇に呑まれていったものの出がらしだね」

『主よ。酷うございます』

『我々は出がらしではありませぬ』

「ふん!元々ミミズに言われたくないね」

『『グフッ!』』


 何か倒れる音がしたけど、気にすることではない。


「常闇の入口はたくさんある。だけど本当の常闇はただ一つ。そこから外に必要なくなったカスを吐き出す。これを持っていると通れる理由は排泄物だから扉を通ることができるってだけで、大した意味は初めはなかったと思うね」

『『排泄物……』』


 うるさいよ。


「そして、カスだけど力をまだ保有しているから、王家が使おうとしただけかな?黒狼たちと同じだね」

「アンジュは人も同じだと言っているのですか?」


 神父様の言葉に首を傾げる。人も精霊石になるのかと?



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