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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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362 死の鎖からの解放

「ああ、なんていうか異常気象って言えばいいのかなぁ?」


 私は遠い目をしながら、近づいてくるものを見ている。

 いや戦いが激化していると言えばいいのだけど、ここから見ていると恐ろしい何かが近づいてきている、なんとも言えない感じがある。

 正体を知っているので平気だけど、知らなかったらパニックになっているだろうな。


「思ったより、リザネイエとロゼが戦えている」


 そう、激化の要因がこの二人だと思う。


 ここから見える光景はどんなかと言えば……


 炎が立ち上る中、稲光が走り、太い木のトゲが突き出し、竜巻が立ち上り、氷の塊が突き出し、空から雨っぽいものが降り、一瞬で全てが消え去る。


 炎は酒吞が辺り一帯を燃やしたものだ。

 稲光は神父様の攻撃で、太い木のトゲはファル。竜巻はリザ姉で、氷は茨木。雨っぽいのはロゼの矢だろうね。最後に全てが消えるのは第十二部隊長さんの恐ろしい聖痕。


 これ、人が寝静まった夜中でよかった。そうじゃなかったら王都はパニックだ。


「さて、ルディそろそろ来るよ」


 段々と近づいてくる破壊音に、私はルディに準備するように言う。


「わかっている」


 そう言いながら、ルディは木に繋いでいるワイバーンたちの手綱を取っていた。皆がここに戻ってきたら、いつでも飛び立てるようにしておかないといけない。いつ常闇が大きく口を開くかわからないからだ。


 そうしていると、何かが吹っ飛んできた。赤い髪が目立つ巨体……に黒い鎖がグルグル巻に……酒吞が鎖に巻かれてしまっている!


「神父様!酒吞の鎖を切って!」


 どこにいるかわからない神父様に声をかける。


「アマテラス。まだだ!」


 そう言って木にぶつかって止まった酒吞が身を起こす。でもこの状況は常闇が開いてしまったら、引っ張られる可能性がある。


「アンジュ様。申し訳ありません。流石夜叉です。これだけの戦力でも分が悪いです」


 そこに鎖に巻かれて既に誰かわからなくなっている茨木が、燃えている木々の間からでてきた。

 これは……どういうこと?


 私は茨木の姿は見えないけど、声的にはまだ余裕があるように見える。


 何か夜叉が仕掛けてくるってこと?


「酒吞と茨木は撤退」

「アンジュ!」

「アマテラスまだ、やれるぞ!」

「アンジュ様!」

「指揮官は私……じゃ上空で待機。ルディ、ここと、ここを切って」


 私は鬼の二人に上空で待機を命じて、ルディに地面を指して切るように言った。鬼の二人に伸びている鎖を切るためだ。


「アマテラス!」

「酒吞。アンジュ様の言葉に従う。そうでしたよね」


 ルディに鎖の端を切られた二人はワイバーンが待機しているところに向かっていく。あ、ちょっと試してみたい。


「待って」


 ワイバーンに乗ろうとしている二人を引き止め、腕を掴む。黒い鎖が巻かれている腕をだ。

 そして私の銀色の鎖で侵食できないか試してみる。


 黒い鎖に沿わすように、私の魔力を伸ばしていった。


「アマテラスどうした?」

「アンジュ様?」

「もう少し待って」


 もう少し。もう少し……よし!これを銀色の鎖に変換する。


「『変換(イクース)』」


 すると私が掴んでいるところから、銀色に変色していった。


「お!」

「おや?これは……」


 全て銀色に変わった鎖を引っ張る。繋がっていた鎖が外れるように崩れていった。


「壊れた!死の鎖が壊れて消えた!使えそうな気がする!」


 これで、誰かが鎖に捕まっても外すことができる。


「アンジュ!来る!」

「わかった。酒吞と茨木は上空に退避!青嵐と月影も更に上空に!」


 そう言いながら私は前面に結界を展開する。木が折れていく音に混じって、何かが叫んでいる声が混じり、神父様が何かを命じている声も聞こえる。


 ワイバーンが飛び立つ羽音が聞こえた瞬間。耳が痛くなり、地面が揺れ、炎をまとった木々が飛んできて、突風が吹き荒れた。


「アンジュ。大丈夫か?」

「大丈夫。耳が痛いけど」


 そして私が目にしたのは、辺り一帯の見晴らしがよくなった森……だったところだ。


「何かが爆発したのか?」

「たぶんそう。音の後に衝撃波がきたからね」


 私はフルプレートアーマーに抱えられていた。流石に神父様の結界じゃないから、音までは防げなかった。


 恐らく、結界が張れないと命にかかわっていたのだろう。

 質には個人差があるけど、聖騎士の訓練として結界は必須条件だ。


 酒吞と茨木は結界を張れないので、あの黒い鎖はこれに反応していたのかもしれない。


 そして、私の目線の先には黒い巨体の影があった。先程の衝撃波で周りの炎が消し飛んでいったため、遠くに燃える森の光でしか、認識できない。


 私は右目に手を当てる。全体攻撃をしてきたってことは、切羽詰まってきているのかもしれない。


 右手で取り出したものを頭上に掲げた。


 私を中心に光が解き放たれる。そして、私はふわりと浮き上がった。


「ルディ。今日は新月だから、使いたい放題だよ」


 私から放たれる光に、色濃い影を足元に映しているルディに言った。

 光あるところに影ができる。だけど、今日は世界が闇に満たされている夜だと。



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