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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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352 甘くておいしいお菓子は貴重

「いや、オオエヤマのシュテンとしか聞いていない」

「うん。合ってる。大事なのは言葉を交わせて、互いの領分を侵害しないこと」

「楽しければ良いっていうやつか?」

「あとお酒ね。それに、鬼という概念は教えたはずだよね?」


 酒吞と茨木は話せばわかる。わかってくれる。

 ただ龍神のおかみさんのように言葉を交わせても、意思の疎通ができないタイプは駄目だ。どちらも平行線のまま状況が変わることがなく、状況の打破に暴力を使われたら、どうしようもない。


「オニとはなんだ?あのシュテンの額に赤いモノが出てきていたが、あれは角ということなのか?」


 第十二部隊長さんが聞いてきた。人だと思っていたら、まさか人外だったとは、それは疑心暗鬼にもなるだろう。


 第十二部隊長さんが騒ぎ出すってことはないと思うけど、口止めは必要だよね。

 私は私を覆っており光によって透明化する毛皮を取る。……ルディに抱えられているので、中途半端になってしまった。

 まあいいか。そして、第十二部隊長さんに向ってニコリと笑う。


「ヴァルト様。敵を知るには敵を味方にすることが大事だと思いませんか?」

「しかし……」


 何かを言おうとした第十二部隊長さんに向けて、再び口元で人差し指を立てて、喋らないでと示唆する。


「彼らに敵意はありません。それに始めに要望を聞いているので、無理やり従わせているとかではないよすよ」

「流石、太陽(ソール)の聖女様。異形すら従えてしまえるとは」


 いや、彼らが還るはずだった常闇が閉じてしまったのだから、仕方がない。それに酒吞と茨木が言うには、常闇を通ったからといっても、元の世界に還れるという保証がないと。


 それから、堂々と聖女と呼ばないで欲しい。どこに目や耳があるかわからないのだから。


「そのように言われるのは好きじゃない」

「失礼しました。アンジュ様」

「様づけ!それも駄目ですよ!」


 隊長クラスが、ただの将校(オフィシエ)に様づけって!いや、私は名前だけの副部隊長だけれども。


「ヴァルトルクス第十二部隊長。アンジュは私の婚約者です。仲良さそうに話すのは、やめてもらえないですかね?」


 胡散臭い笑顔のルディが、第十二部隊長に文句を言っている。

 正当性があるような言葉だけれども、私と第十二部隊長さんが話ていた内容は、ただ単に酒吞と茨木のことを話さないでねっということを、遠回しに言っていただけだ。

 仲が良さそうということはない。


「そうだな。聖剣の名付けを一番にされるほどの仲だから仕方がないな」


 第十二部隊長さん!ルディを煽らないで!

 それも事実だけど、魔王様が降臨すると面倒臭い。特に私が被害を受けるんだからね!


「ほぅ」


 ルディからピリピリした感じが発せられてきた。もう、ルディから解放されたい。二人で好きなだけ言い合っていて欲しい。


「何を遊んでいるのですか?常闇の場所は把握しましたので、戻りますよ」


 神父様の声に視線を向ければ、すこし開けた場所から、神父様と酒吞と茨木がこちらを見ていた。

 そこは木々が生えておらず、上を見ると夕暮れの赤い空が広がっている。


 どこに常闇があるのだろう?黒いモヤは何処にも見当たらない。


「遊んではいません」

「シュレイン。アンジュを縛り付けすぎると、そのうち何処かに行ってしまうと言っているでしょう。好きなようにやらせて、甘い物を与えておくぐらいが丁度いいのですよ」


 そう言って神父様は何処からか紙袋を取り出して、私に見せるように掲げた。


「『レメリーゼ』のお菓子!」


 私は重力の聖痕を使って、神父様のところに飛んでいく。お菓子が入っているであろう『レメリーゼ』の紙袋に私の手が届くかというときに、紙袋が隠されてしまった。


「ただ、こうやって甘いものに釣られるアンジュも問題ですが」

「神父様!お菓子くれるのですよね!甘くて美味しいお菓子は貴重なのですよ!『レメリーゼ』のお菓子は、私好みを店主に叩き込んだので、くれるっていうならもらいますよ!」


 小腹が空いてきたので、苛立ちが全面に出てしまった。


「それなら、これをどう見ますか?アンジュ」


 毎回これだ。お預けされたあとの質問。まぁ、対価なのだから仕方がないけど。

 それで、どれのことを言っているの?


 神父様が見ている方に視線を向ければ、黒い穴があった。いや、黒い池と言って良い風景が存在していた。


 穴があるというのであれば、王城の地下にある閉じられていない常闇を思い浮かべるけど、これはまるで水面があるかのようにモヤが地面を漂っている。普通はもっとモヤが溢れ出ているはずだ。


「まだ、モヤが溢れ出ていないっていう感じかな?木々が折れて森が開けているようになっているから、ここで戦闘があって、穴が開いたばかりなのかなぁって思った」

「ということは、ヤシャというモノが出てきた穴は、別にあると言うことですか?」

「それは知らないけど、思っていた以上に穴だらけかもしれないね。この森」




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ぜひぜひお手にとっていただけると、嬉しく思います。電子書籍版には特典もありますので!たぶん

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