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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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347 解散!

幻狼(ラクルム)ってなんっすかね?」

「あれだよ。『霧の森と聖女』に出てくる魔狼だよ」

「深い霧で姿が見えない魔物だったわね」

「そうじゃないですぅ……周りの風景と同化して……見えない魔物ですぅ」


 騎士(シュヴァリエ)の四人が話しているように、一般的に知られている聖女の物語に出てくる魔物だ。

 ただ、物語以外に実際に遭遇したという話は聞いたことがない。


 そもそも本当に幻狼(ラクルム)なのだろうか?目に見えないと言うには、鬼の二人は普通に対処しているように話していた。


「なんだ?また小賢しい幻影を使っていると思ったのだけどなぁ。あれは幻影じゃねぇのか?」

「中々良い術でしたね」


 酒吞は小賢しいと言っているけど、茨木は褒めている。きっと楽しめたのだろう。


幻狼(ラクルム)って確か、火であぶり出すと良いとあったわね」

「それ、森が燃えるやつ。聖騎士が王都の近くで、それやっちゃうと、他の騎士団からクレームが絶対に来るよ」


 リザ姉が言うように、物語では森を燃やして、幻狼を森の外に追い出して倒したとあった。けれど、それをするとさっきから何度も問題になっている他の騎士団との確執が上がってくる。

 ロゼが言うぐらいだから、ロゼが聖騎士団に入った数年間の間だけでも、色々あったのだろう。


「シュテンとイバラキはどうやって見分けたのだ?」


 第十二部隊長さんも気になったらしい。どうやって二人が幻狼(ラクルム)を見極めて、倒したのか。


「あ?そんなものここにいるぜって、わかるじゃねぇか」


 うん。酒吞は直感的に行くタイプだから、理由なんてあってないようなものなのだろう。


 すると必然的に茨木の方に視線が集中する。酒吞よりはまともな返答が返ってくるだろうという期待も込められていた。


「なんと言いますか、幻影を使うモノの特有の違和感があるのですよ」


 駄目だった。歴戦の戦士のように、剣を奮えば敵に攻撃が当たるだろうと言われているような答えだった。


 経験が物を言う戦い方ではなく、今はどうすれば幻狼(ラクルム)を発見できて、対処できるかが知りたいのだ。


 まぁ、結局実物を見てみない限りわからないというもの。


「この中で戦えるのは俺とヴァルトルクス第十二部隊長ぐらいか」


 ルディが話を聞いたところで、幻狼(ラクルム)を倒せるのは、ルディと第十二部隊長さんだけと言った。力技のゴリ押しで戦うという意味なのだろう。

 え?私も戦えるよ。


騎士(シュヴァリエ)ヴィオーラ」

「ふぇ……は、はい!」

騎士(シュヴァリエ)三名と共に、団長(コマンドール)に報告しろ。王都の北部に幻狼(ラクルム)出現。第十三部隊長の名において討伐を遂行すると」

「り……了きゃいしましゅた……」


 ヴィオはカミカミだ。こういうのはミレーの方がしっかりしていると思うのだけど、貴族という意味でヴィオが四人の中で、地位が高いことになっているのだろう。


 そして騎士(シュヴァリエ)の四人は来た道を戻って行った。次にこの場に残ったリザ姉とロゼにルディは命じた。


将校(オフィシエ)ロゼは移動型の結界を張って、リザネイエ第十二副部隊長とファルークスと共に外壁内を調査。結界があれば、不意打ちをくらっても対処できるだろう」

「「了解!」」

「おい、シュレイン。この森の広さから言えば、夕暮れまでに終わらないぞ」


 ファルはルディの命令に異議を唱えた。

 空を見れば既に太陽は傾いてしまっている。それに冬の時間帯は日の入りが早いため、あと三時間で森の調査を終わらせなければならない。


「ファルークス。王都の外には幻狼(ラクルム)がいると想定されているが、ここの常闇から同じ幻狼(ラクルム)が出てきたとは限らない。今日の夜半ぐらいに常闇を閉じる予定だが、空を飛んで移動する魔物がいないと確証が得られれば、それでいいだけだ」


 確かにルディの言う通り、王都の内側にある常闇からは何が出てきたのかまだ確認されていない。

 それに地上を移動するモノであるなら、そのまま常闇に呑まれていくだろう。気をつけるべきは、ドラゴンのように空を飛ぶ魔物だ。

「まぁ、それぐらいなら、将校(オフィシエ)ロゼが対処するだろう」

「ファルークス第十三副部隊長。それは無理です!」

「無理じゃないぞ。やるしかない」


 ロゼはファルに腕を掴まれて連行されていった。そして、その後をリザ姉がニコニコと笑みを浮かべてついて行っている。

 ファル。地下のダンジョンで散々働いたから、ロゼに押し付けようとしていない?まぁ、リザ姉がついて行っているから、大丈夫だろう。


「オボロはこのことをリュミエール神父に報告をしてくれ」

「はい」


 朧は神父様に報告するために、この場から消えて行った。残りは、私とルディと第十二部隊長さんと酒吞と茨木だ。


「残りは王都の外側にいる幻狼(ラクルム)の討伐だ」

「おう!俺が全部犬っころをブチのめす!」

「酒吞。独り占めは駄目ですよ」


 鬼の二人はルディが言い終わる前に駆け出して行き、既にその姿は森の中に消えてしまった。


「ちょっと待って!私もその幻狼(ラクルム)っていうのと戦ってみたい!」


 このままだと酒吞に全部討伐されてしまう!


 私はルディの腕から飛び降りて、二人の後を追っていく。


「アンジュ!」

「あっ!ルディ!手分けしたほうが早いから解散!」


 日が暮れるまで、後三時間ほどだからね。その間に討伐できるなら、しておいたほうが良いよね。


 最近、冒険者ギルドからの討伐依頼を受けなくなったから、集団の魔物の討伐なんて久しぶり!……いや、ルディに捕獲されていることが多かったからだった。



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