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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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333 降り立った二十九階層

 私は良い案だと思ったのに、魔王様と悪魔神父から却下されてしまった。


 (ルーナ)の聖女が私の魔力を奪っていくのなら、私も人の能力を奪える可能性があると思う。

 いや、元々銀髪の聖王の太陽(ソール)の聖痕の力なのだ。私も使えるはず!

絶対に獲物を捕獲するのに便利だと思う鎖!


 私はルディに抱えられながら、移動していく中で、切々と語ったのだけど、駄目だと言われるだけに終わってしまった。



 そして、聖王と呼ばれる者たちと初めて聖女と呼ばれた者の結末が描かれるであろう二十九階層にたどり着いた。

 残りの三十階層は聖女の力を何かしらの力によって、世界の力に変える変換装置があると予想しているので、ここで物語は結末を向かえるはずだ。


 いや、世界の始まりが見せつけられるのだろう。愚かにも聖女を犠牲にし続けて、世界の崩壊を引き止めようとするきっかけの結末だ。


 二十九階層。それは先程の二十八階層と同じだった。

 いや、場所が同じ王都なのだが、そこは大きな常闇が地面に開き、黒い闇から次々と魔物が溢れてきている。


 私達は二十八階層から降りてきた階段から動けないでいた。この幻影が肉体に影響するのであれば、幻影の魔物から攻撃されたら傷を負うことになるのは理解できた。だが、幻影の魔物は倒せるのか?そこが一番問題だった。


 倒せるのであれば、階層を進むことができる。しかし倒せないのであれば、ただ無駄に傷を負うことになってしまうのだ。


「これ進めなくない?」


 私は聖女を最終地点にたどり着けるように、残りの階層は命が奪われる可能性はないと思っていた。これでは、聖女はここから動けずに、役目を果たすことができないではないのか?


「進めないのではなく、進まなくていいのではないのか?」


 ルディはこの場に留まるのが正解という答えを口にした。


 そうなのかな?聖女という存在は、本来なら精神もボロボロで、立っているのもやっとだと思うのだよね。ここで立ち止まってしまったら、座り込んで二度と立てないかもしれない。


「そうですね。恐らくこのまま待っていれば、そこの二人が始末することになるでしょう」


 神父様は咆哮を上げながら剣を振るっている獅子王と、魔術と剣を使っている白銀の王を差して言った。


 獅子王はやはり王都に留まっていた。やはり離れがたいのだろう。今は前方で私達に背を向けて、剣を振るっている。

 もう一人の王は、金色に光る王冠を頭上に掲げ、魔術と剣を奮っている。


 うーん?しかし、魔術の扱いがいまいちだ。もう少し鍛錬したほうがいい。

 これぐらい瞬殺で終わらせられないのだろうか。

 いや、私がグチグチ言っても仕方がない。この時代の魔術は出来たばかりで、魔力の無駄遣いがあっても普通なのだろう。


 そんなことをモヤモヤと考えて、太陽の聖痕を持った聖王を目で追っていると、何かを視界の端に捉えた。

 無意識で、小さな六角形の透明な盾を一枚だけ展開させた。


『リン!』


 金属がぶつかって弾き返された音が響く。


「は?……え?ここで?」


 黒い死の鎖が、私の『反転の盾』に弾き返されて、金色の鎖になっていた。


 これは……まさか……ここで!


「神父様! 空間断絶の結界を前面に展開して!」


 私の盾では二属性攻撃には耐えられない。まだ神父様の空間断絶の結界の方が、まだ保つ。


「アンジュ……また、鎖なのか?」

「そうなのだけど、ここで出されると色々困る!この場で起きることは絶対に見ておかないと、何をしにここまで来たのかわからないし、前方をファル様の木で蓋をすると進めなくなるから、困る!なぜ、今なの!」


 私がグチグチ言っている間に、神父様は二十九階層と、立ち止まっている境界線に結界を展開してくれた。

 だけど、取り敢えず時間稼ぎをしたのみで、何の解決策にもなっていない。


「アンジュ。こちらの都合など関係ないでしょう。言うならば、こちらが嫌がることをしてくると思ったほうが無難です」


 神父様。胡散臭い笑顔で嫌なことを言わないで欲しい。


 だけど、考えようによっては一理ある。

別に私達の都合などお構いなしだ。聖女が動けなくなったのであれば、鎖で引きずり込めばいい。わざわざ歩かせる必要もない。


「既に神父様の結界もヒビが入っている。早急にどうするか、考えなければならないのだけど……どうする?」

「いや、この状況はどうしようもないだろう?」


 ファルはどうしようもないと言ったけど、このままだと私達は神父様の結界が壊れれば、死の鎖に囚われてしまう。

どうにかしないといけないのだ。


「結界の枚数を増やせば、耐えれそうではありますね」


 神父様の結界の層を厚くするということだね。確かにこれは行けそうだけど……私がぐるぐると考えていると。

 左腕が後ろに引っ張られた。もしかしてと、後ろを振り向くと、背後から黒い鎖が襲いかかってきている。


「背後からも!」


 私も後方全体に『反転の盾』を展開するも……だから二属性攻撃には弱いのだって!


「ファル様の結界の役立たず!」

「いや、あれは時間稼ぎだっただろうが!」


 もう少し時間稼ぎをしてほしかった。その所為で、私は黒い鎖に捕まってしまったじゃないか!



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