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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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283 生きられる年数

 ちょっと待って、今とんでもないことが浮かんできた。

 ルディの母親の(ルーナ)の聖女が自死したのは、王様が8歳のとき。200年前の聖女メリアだっけ?その聖女が天使の聖痕を発現したのが10歳で、亡くなったのが18歳だよね。ということはここも8年だ。


 八年!


(ルーナ)の聖女となった者は10年も生きれない?」


「そんなことはないですよ?代々の王妃は次に王が立つまで生きていますよ。私の母親も42歳まで生きましたよ」


 微妙な言い方を神父様がしてきた。私の言葉を否定しながら、次代の王が立つまでは生きている。まるで、次の王が立つと死を迎えるような言い方だ。それに42歳は若い!


「だったらなぜ、200年前の聖女メリアが「聖女メリアローズです」……が18歳で死んで、ルディの母親は王様が8歳の時に死んでいるわけ?」


「おや?そこに気が付きましたか?」


 気付いたんじゃなくて、気付かされたに近い。それから、いちいち名前の訂正を入れなくていいよ。


「気付いたとかじゃない!だったら、それこそ聖女の彼女の扱いが、腑に落ちない。この国を護るためなら、彼女は聖騎士団にいるべきじゃない」


「私に言っても困りますね。私は今や一介の神父でしかありませんから」


 絶対に違うし!何が一介なの!

 この聖女の件で動いていたのが、恐らくブタ貴族なのだろう。あと、教皇とかかな?

 実質、今の王族はお飾りでしかない。王家に忠誠を誓った黒狼の長が王のフリをして、表面上国としては体裁を保っていはいるものの、国を動かしているのは貴族だろう。


 そして、ルディは追いやられるように聖騎士団の第13部隊長をやらされている。そうなれば、王族といえど教会の意に反する行動はできない。神父様が大将校という地位を追われたようにだ。


 末の弟である侍従(シャンベラン)は、貴族の傀儡になることを避けるために、早々に王族としての地位を返上している。


 普通であれば、貴族共に対して歯向かう王族はいないはずだった。ここであの白銀の王様が、行動を起こしたということなんだけど……殺人計画ばかり口にしている王様だから、聖女の彼女のことを考えているとは思えない。王様の闇も深すぎる。


「アンジュ。どちらにしろ堂々巡りですよ。聖騎士団で(ルーナ)の聖女として力を発揮するのであれば、貴族共に持ち上げられ、聖女として扱われるでしょうが、今の現状では、はっきり言って厳しいですね。あのように(ルーナ)の聖痕が不安定では」


「やっぱり、私の所為って言われているよね」


 結局、貴族から聖女と認められなければ、彼女の立場は危うい。そして、複数人から魔力を与えられると寿命を縮める行為となる……あれ?もしかして、だから聖女の彼女は人を探していた?魔力が多くて自分の立場を守ってくれる人物を。


「そういえば、聖女の彼女って第1部隊長を探していたけど、第1部隊長って貴族じゃないよね。聖女洗脳教育を受けていたのに、第1部隊長は聖女の彼女になびかなかった?」


 確か、彼女を村に迎えに行ったのは第1部隊長だったはず。そして、第1部隊長に抱きついている聖女の彼女を見たよ。妹の推しが青い顔色をしているなぁと。


「アンジュ。言い方が悪いぞ」


 ファルが呆れたような声で言ってきた。でも、本当のことだし。


「ロベルのことだろう?いや、ロベルだけじゃなくて、あの会議室にいたメンバーは、無いだろうな」


 あの会議室にいたメンバー?何か会議で聖女のことについて内々に決められたのだろうか。きっと、私が知らないことなのだろう。ファルに視線を向けて、次の言葉を待つ。


「本物の聖女より、200年前の聖女の再来と言われているアンジュから『頭の上に皿を掲げているみたい』って言われたら、一歩引くよな」


 私!私が原因だった!

 いや、それよりもすっごく気になる言葉があった。


「ファル様。ちょっとおかしな言葉が入っていたけど?200年前の聖女の再来ってどういうこと?私が聖女だってバレているってこと?」


「お皿ですか。言われてみればお皿ですね」


 神父様!肩を揺らしながら、納得しないで欲しい。絶対に笑っているよね!


「アンジュ様。その話は聞いたことがありますね」

「ああ、時々将校(オフィシエ)の白い隊服を着た聖女がいるって噂されているな」

「幻だそうですよ」

「仕事中にうろついている聖女が何処の部隊にいるか知っているかって聞かれたなぁ」

「知らないと言っておきましたよ。聖女という幻想を壊してあげるのも楽しいでしょうが……」

「ツクヨミの旦那の機嫌が悪くなるのが目に見えているからな。クククッ」


 茨木がクスクスと笑いながら。

 酒吞がクククッと笑いながら。

 教えてくれた。


 もしかして、私が散歩をしているのって、思ったより見られていた?


「アンジュ様。スープができましたよ」


 そう言って茨木は笑いながら、私にスープが入った器を渡してくれたのだった。



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