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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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246 記憶にない事を言われた

 意気消沈のファルに木の残骸を拾ってくるように言って、泥土化した場所に行かせた。鞘を作るのは王都に戻ってからゆっくり作ってもらえばいい。

 そのファルの後をリザ姉とロゼがついて行っていた。ロゼが神父様の視線が怖いよと言っているけど、横目で見る神父様はいつもと変わらずにこにこと胡散臭い笑顔だ。ロゼは何を言っているのだろう。


 鬼の彼らはまだ残っている雑魚を狩ってくると言って、雨が止んで足場の悪い雪の地面も関係ないといわんばかりに駆けていった。


 ということはここに残ったのは、ルディと神父様と第12部隊長と第1部隊長と……私。私だけ仲間はずれ!自分で頼んだけれど、ファルに付いて行こうか。

 そんな事を思案していると、近づいてくる気配に顔を上げる。第1部隊長だ。ルディに何か言いたいことでもあるのかな?


「聖女……なの……か?」


 私だった!

 淡い緑色の短髪の大柄で長身の男性が、怒られている子供のようにビクビクしながら、水色の瞳で私の機嫌を窺うようにチラチラ視線を向けてくる。何か鬱陶しい。


「聖女は王都にいる聖女シェーンではないですか。何をおっしゃっているのですか?第1部隊長さん」

「いや……そのなんだ……あの……」


 巨体がウジウジしているのが、もっと鬱陶しい。私はちらりと神父様に視線を向ける。

 自分の教え子を何とかしろという視線だ。


「ロベル。今の貴方に太陽(ソール)の聖女の前に立つ資格があると思っているのですか」


 神父様それだと、私が聖女だということを認めてしまっているじゃない!


「リュミエール神父。私は……」


「アンジュがここに来て見せた憤りに、ロベル貴方は何も答えてはいませんでしたね。そして私の問いにもです」


 確かに私は怒ったけれど、それとこれとは関係が無いと思う。私が聖女ではないという説明をして欲しかった。

 そう思いながら、空を見上げてみると空がオレンジ色に染まっていた。

 雨を降らす存在が居なくなったため、厚い雲は消え去り、元の空に戻ったのだろう。


「お腹すいたなぁ」


 もうすぐ夜だなと思ったら、身体がお腹が空いていることに気がついたみたい。今からだと王都には戻れないから、第1部隊の駐屯地に泊まることになるのだろうね。


「アンジュ、戻ろうか」


「ルディ。ファルたちと酒吞たちが戻って来ていないよ」


 置いて帰るのはよくない。彼らも頑張ってくれたのだから。


「ロベル第1部隊長が伝言しておいてくれるだろう」


 ルディ。部隊長をパシリにしては駄目だと思う。あ、第12部隊長を連れ回している私が言っても説得力ないか。

 その第12部隊長は新しく手に入れた。木から作られて怪しい剣を素振りしていた。


 あの剣って本当に何なのだろう。木が金属に変化している時点でおかしい。持ち主に一応聞いてみようか。


「ねぇ、ルディ。その剣ってずっと持っていて大丈夫なの?」


 私はルディが手にしている黒い剣身を指した。はっきり言って、元が相当やばい物だ。異界の神の力と世界の力だ。それを剣に変化させて神殺し……実際にはしていないけれど、そんな物を人の世に持ち込むのは危険な気がする。


「これか」


 そう言ってルディは剣を掲げたけれど……あれ?さっきと何かが違う。姿かたちは変わらないけれど、何というか圧迫感という物が無くなっている。


「恐らく太陽(ソール)の聖痕に呼応しているのか、アンジュが聖痕を隠した瞬間、何も力を感じなくなった。だから今は何も力を感じない」


 は?何でここで太陽(ソール)の聖痕が関係するわけ?……はっ!もしかして、植物は太陽のエネルギーを得なければ育たないからとか?ははは……そんなわけないし!


「そうですね」


 今まで第1部隊長に説教をしていた神父様が話に混じってきた。


「これはいわゆる聖女に剣を捧げた聖騎士の聖剣という物なのかもしれませんね」


 聖騎士の聖剣……聖騎士。神父様と第12部隊長は聖騎士とは認めたくないけど、認めた。だけど、ルディは私は聖女の聖騎士とは認めていない!


「神父様。それだとルディが手にしている理由になりません」


「アンジュ。何を言っているんだ?俺はアンジュの聖騎士だ」


 ……ちょっと待って!私の知らない事実を突きつけられてしまった。第12部隊長は直接認めることを口にした。神父様は知らない内にはめられるように聖騎士に成ってしまった。

 けれど、いくら思い出してもルディに聖騎士の誓の言葉を言われたことはないし、ルディと交わした契約は婚約の……サインしたってことはぁぁぁぁ……サインしてるよ!ちょっと、よく今までの事を考えてみよう。


 聖女の夫は国王がなるということは神父様の話からわかった。ここに何かしらの意味と役目が込められていることはなんとなく感じたけれど……聖女の夫の国王が聖騎士の役割も担っていたとすれば……これは実質この国の王は聖女ということに成ってしまう。


 王冠のような太陽(ソール)の聖痕。

 太陽の王。


 ……何か恐ろしい闇を覗いてしまった気がする。



________________


ここまで読んでいただきましてありがとうございます。


はぁ。短編の続きが1週間如きでは書き終わらなかったです。ですので、投稿の予告制にします。


週の半ばに一度投稿しようと考えていたのですが、どうも体調の調子が悪く申し訳ないのですが、

次回は6月9日(土)の一週間後に投稿します。

って間違えている!10日の(土)だった!脳まで死んでいるようです。


よろしくお願いします。



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