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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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216 白銀の彼女vs10人の将校(とある騎士Side)


とある騎士(シュヴァリエ)Side


 開始の合図と共に、部隊長たちは姿を消すように素早く動き散開した。しかし、白銀の彼女の動きは怠慢であり、左手を前に突き出しただけ。

 その時、辺りが光に包まれた。全ての音が光に呑み込まれたと感じた瞬間、鼓膜が破れるかと思うほどのバリバリっと空間を切り裂く音が聞こえる。


 目が慣れたときには白銀の彼女が地面に伏した将校(オフィシエ)クオーレに踵落としをしているところだった。


 何がどうなっているんだ?

 そして再び左手を突き出したかと思うと、見たこともない魔物?精霊?聖獣?……よくわからないが、青い鱗をまとった生き物を呼び出し、水の壁を作り出し、標的になった将校(オフィシエ)は水に押し流されていき、黒い鱗をまとった生き物からは黒い刃を地面から次々と生やし、将校(オフィシエ)たちを追い詰めていく。

 行き場を制限された将校(オフィシエ)たちの前に瞬間移動でもしたように現れ、腰に佩いている剣を抜くこともなく伏していっている。


 はっきり言って俺の目には何をしているのかわからない。白銀の彼女が近づけば、将校(オフィシエ)たちは何かの力に屈したかのように、地面に倒れていくのだ。

 わからない。分からなすぎてとても恐ろしい。


 誰も動くものがいなくなったところで白銀の彼女は動きを止めた。と、同時に自分で喚び出した二匹の……なんだろうなペット……か?

 その二匹のペットの顔の下あたり……恐らく首を青い鱗のモノを右手で掴み締め上げ、黒い鱗のモノを左手で掴み締め上げている。


「ねぇ、力の加減っていうものを知らないわけ?」


 そして、とても怒っている。二匹のペットは抵抗しているのか、蛇のような長い体をくねらせているが、白銀の彼女の手から逃れられないでいる。どんな握力をしているんだ?


「私の言葉理解できている?出来てないのなら、特性の毒を飲ませてあげるよ。脳を侵食する特別な毒」


 お……恐ろしい。脳を侵食する毒って、恐ろし過ぎる。二匹のペットは抵抗することを止めブルブルと震えていた。


「アンジュ!魔術を使わないって言っていたよな!」


 唐突に倒れていた部隊長がムクリと身体を起こし、白銀の彼女に文句を言う。しかし、ペットの首を締めている彼女は視線を向けただけで、答えない。その代わり神父の姿をした人物が答えた。


「アンジュは魔術を一切使ってないですよ」


 それもにこやかな笑顔で確信があるかのように答えている。なぜ、そう言い切れるんだ?どう見ても最初の雷は魔術だったよな。それに身体強化をしていなければ説明ができない動き。


「あれで、魔術を使っていないなんて、どうやっても勝てる方法を見いだせない」


 しかし、ディネーロ第9副部隊長はその言葉を素直に受け止めている。普通はもう少し魔術を使っていない証拠というものを聞き出すのではないのか?


「突然動きが阻害されて、地面に押し付けられたのは、どういうものだったのですか?魔道具は最初の目眩ましの(いかずち)だけだったのでしょう?」


 副部隊長が白銀から受けた不可解な攻撃について聞いているが、まさかあの雷が魔道具による攻撃だったなんて嘘だよな。魔道具なんて魔力が少ない者が使う気休め程度のモノなはずだ。それが、普通の魔術でも出せないような巨大な雷を発生させるなんて、どこにそんな物が売っているんだ?


「自分の手の内をなんてさらしませんよ」


 白銀の彼女は冷たい声で言い放つ。確かに、自分からどんな聖痕を持っているかなんて言わないよな。


「さて、これでわかったと思いますが、先程手を上げた者は前に出てきなさい」


 え?これを見せつけられた上で、あの白銀の彼女と戦うのか?

 警戒するのはあの何かわからない二匹のペットに雷の魔道具だろう?後、近づいたらよくわからない力で行動を制限されるというなら、遠距離攻撃の一択だな。

 よし、いけそうだ。


 俺は部隊長たちのように無様に地面に沈み込まないように、白銀の彼女からは距離を取ったが、皆同じ様な考えなのか、白銀の彼女を中心に同心円状に円を描いた形で陣取った。


 きっと白銀の彼女を囲む者たちの考えは同じなのだろう。ニヤニヤとした笑みを浮かべた者のいれば、舐めるように彼女を見ているものもいる。


 そう、少しでも彼女とお近づきになりたいということだ。いや、その想いはもっと浅ましいものだ。


「シュレイン。ここで剣を抜いては駄目ですよ」


 神父の姿をした者が第13部隊長の行動を止めている。

 ああ、きっと部隊長や副部隊長が手足が出ないまま倒した白銀の彼女のことが許せないのだろう。第13副部隊長も必死で第13部隊長の前に立って、諌めている。


 ん?第13部隊がここに来ているのに、第12部隊の者もいた。どうなっているんだ?

 まぁ、いいか。取り敢えずこの人数なら、部隊長たちに勝った彼女でも敵わないだろう。


 俺は部隊長が勝てなかった相手に、この人数で挑めば勝てると信じていた。だから、気楽に考えていた。

 俺は知らなかったんだ。まさか、あの問題児集団の第13部隊に所属しているだなんて。



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