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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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204 光雨警報発令!

 異形の異物である怨霊が、上手く黒いモヤの渦に巻き込まれていったところで違和感を感じた。


 徐々に穴が狭まっている?まだ、怨霊は中央に到達していないので、私は常闇を閉じようとはしていない。


 おかしい。おかしい。確実に穴が狭まっている。世界が修復を行っている?


 違う。違う。違う。辺りに満ちているのは私の魔力だけだ。それも膨大な魔力。


 やられた!!


「誰かあの聖女の頭でも叩いて気絶させてきて!まだ常闇を閉じるのは早い!」


 すると、背後から舌打ちが聞こえてきた。


「ちっ!リザネイエ!今何処にいる」


『だ……第9部隊の駐屯地にいます』


 ルディの声に続いて背後からリザ姉の声が聞こえてくる。何か戸惑っているような揺れた声だった。


「あの女の生きの根を止めろ」


「ルディ。殺したら駄目だよ」


 直に危険な思考に行く兄弟はなんとかならないのだろうか。私は何度も殺すのは駄目だって言っているよね。


『そちらは大丈夫なのですか?ここからみる限り尋常ではない様子で』


「リザネイエ。今は作戦中だ。常闇を閉じようとするのを止めさせろ!」


『しかし、あの聖女様の隣には第9部隊長が控えていまして、私の権限では……』


 他部隊の副部隊長でしかないリザ姉では、他の部隊長さんに何かを強要することはできないのは当たり前だ。


「第13部隊長が命じる。そこにいる聖女をコロ「ルディ!」拘束しろ!」


『はっ!』


 もう少しで、殺人命令を出すことになっていた。彼女は彼女で自分のやるべきことをやっているのだから、そこは穏便にことを進めるべきだ。


 しかし、まだ通信が切れていないのか、ざわざわと音が漏れ聞こえてくる。


『リザネイエ第12副部隊長!これはなんのマネだ?』

『聖女シェーンの拘束命令が出されました』

『この状況をわかって言っているのか?』

『状況は理解しておりますが、現地にいる第13部隊長の命令で拘束します』

『いいや、貴殿はなにもわかっていない。この絶望に光を差すことができるのは聖女様だけだ』

『我々は命令に従っているだけです』

『ふん。黒持ちの言葉に聞く耳など持たん』


 あ゛?今話しているのは誰?黒持ちが何だって?


 私はワイバーンの上に立ち上がり、リザ姉の魔力を感じる方向に『遠見』を使う。すると広い訓練場と思える場所に多くの人がいるのが見えた。私は光で弓を作り出し1本の光の矢を(つが)える。


「光の矢よ。天風(あまつかぜ)に乗りて標的に天誅を《一矢当千!》」


 方向を確認して、更に上空に向かって矢を放つように構え、光の矢を解き放った。


「アンジュ。ワイバーンの上には立つな。リザネイエ、光の雨が降るから構えておけ」

『げ?アンジュのアレ!』


 ルディの言葉にリザ姉ではなく、ロゼが応えた。


『光雨警報発令!!光雨警報発令!!』


 ロゼが大声で叫んでいるけど、コウウ警報って何?私が知らない言葉だけど?ロゼの大声に幾人かが反応し、ざわめきが聞こえてくる。


『何を言っている?』

『アンジュちゃんを怒らせる言葉を言ったからお仕置きされるのよ。死にたくなかったら結界を張るか避けるかしてくださいね。第9部隊長』


『リザ姉!来た来たよ!早くこっち!』

『いやー。この光景も久しぶりだなぁ』

『昼間はよく分からなかったですが、夜だとあのエゲツのない数が一目瞭然ですね』

『あらあら、今日は少ないぐらいじゃないのかしら?』


 その言葉の後に轟音が響き渡り、砂嵐のような雑音が響いて通信が途切れた。


「あれ?コウウ警報って私の技に対する警鐘のこと?」


 まぁ、いいか。抵抗力が無くなったので、そのまま死の鎖も絡め取るように、回転の威力を強めていく。


「シュレイン第13部隊長。何が起こったのだ?駐屯地の方が異様な光に満たされていたのだが」


 第12部隊長さんが戻ってきたみたい。しかし、私は構ってはいられない。徐々に中心部に向かって行っている何か文句を言っている異形の位置に集中しなければならない。勢いがありすぎて弾き飛ばされることだけは、避けなければならない。


「ああ、いつものアンジュの天誅ですよ」


 ルディが答えているけど、いつもってなに?あの技はそんなに多様はしていないよ。広い場所がないと被害甚大だからね。


「アンジュ。あとでお説教ですよ」


 どこからか神父様の声が聞こえてきた。お……お説教。


「アレを使う時は相手に前もって警告をするように言っていましたよね」


 あ、うん。言われていた。生き絶え絶えの死屍累々を生産してしまったので、事前に警告するように言われていた。


「リュミエール神父。以前から思っていましたが、そういう問題でしょうか?」


 ファルの呆れているような声が聞こえてきた。確かに警告すればいいという問題でもない。


「警告して攻撃を避けられないようなら、それは己の実力不足ですからね」


 相変わらず、悪魔神父は健在だった。警告すれば死屍累々を作り出してもいいと。



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