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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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190 何を期待するのですか?


「ヒトーバンとは何ですか?」


 何?と言われても……


「昼間は人の姿で夜になると人の首が空を飛ぶ異形?」


 詳しくは知らないよ。妖怪博士ではないからね。でも、飛頭蛮って人を食べるのだろうか。


「それが、どうしたのですか?」


「どうも、それが西側で暴れているようで、飛行する異形に対処が遅れてしまっているようです」


 ああ、昨日本部に駆け込んできた人のことか。前のカラス天狗のときも思ったけど、飛行するモノに対して脆弱すぎない?


「では、アンジュであればどう対処しますか?」


 どう対処と言われてもあれって胴体ありきの話だったよね。胴体に布団を被せると苦しみだすという話。

 でも、神父様の話では首だけらしい。なんか、日本の昔話でも首が飛んでいったという話があったような?


「さぁ?実物を見てないのでなんとも言えないです。それって胴体は無いのですか?」


「胴体ですか?報告にはありませんでしたね」


 やっぱり、胴体は無いと考えた方がいい?私が、よくわからないと首をひねって考えていて、神父様が近づいてきたのに気が付かなかった。影が私を覆ったことで、ふと視線を上げれば、すぐ側に神父様がいた。なんだろう?


「第13部隊にいる異形はなんですか?」


 おふっ!これは酒呑と茨木のことを聞かれている?しかし、すでに大天狗を常闇と共に封じた時に彼らの正体は見られている。なのに今更私に確認する意味はあるのだろうか。


 だけど、ここで誤魔化す必要はすでにない。この場には神父様と私しかいない。あ……あと金色のムカつく鳥ぐらい。


「鬼です」


「オニですか。それがオーガの変異種のことですか?」


「そうですね」


 私は肯定の返事を口にする。人の良さそうな笑顔を浮かべている神父様は私に向かって膝を折った。

 え?なに?


「全ては太陽(ソール)聖女(サン)がいてくださったお陰で、我々はこの命を失わずに済んだことに、感謝をいたします」


 ひー!!何か背中から悪寒が襲ってきた。神父様が私に感謝の言葉を言ってきた。これは私の命日が明日になるかもしれない。


「神父様。やめてもらえません?私に膝なんて折らないでください」


 取り敢えず立つように促してみる。しかし、神父様は首を横に振る。


「この度の討伐に私も参加をすることになりましたので、太陽(ソール)聖女(サン)の指揮下に入ります。けじめは必要でしょう」


 え?ちょっと待って!なんかとんでもない事を言っていない?私の指揮下って何よ!!


「神父様!私何も聞いていないですよ!」


「そうでしょうね。昨日の夜中に決定されましたから」


 え?決定された?何だか嫌な予感しかないのだけど。


「夜中に決定されたということは、どういうことですか?それに神父様は聖騎士団に籍を置いていないので、討伐戦に参加することはできないですよね」


「できますよ」


 神父様が人の良さそうな笑顔で言い切った。

 ちょっと待って私には理解不能なのだけど?そもそも誰が神父様に命令出来るっていうの?あの王様だって神父様には一歩引いた感じを受けたのに?


「酷いですね。アンジュは忘れてしまったのですか?私はアンジュに剣を捧げると誓いましたよ」


 ……確かに言われた。言われたけれど……これは本当に嫌な予感しかない。


「ですので、聖女の聖騎士として参加しますよ」


「ぐふっ」


 神父様の言葉に思わず膝が折れ、屋根の上で四つん這いになってしまった。それって、私が聖女として祀り上げられていない?


「それから、ヴァルトルクス第12部隊長も強制参加です」


「え?それももしかして?」


「アンジュは彼を聖騎士として認めたのでしょ?でしたら、アンジュが出向くとなれば、強制参加です」


 いやいやいやいや……ちょっと待って!ヴァルト様って第12部隊長だよ?一部隊を任されている人だよ。その人が私が行くという理由で強制参加?

 そもそも私は行くと言っていないよ。

 違うな。ルディが行くことになれば、私も強制参加させられるということで、私に誓いを立てた神父様と第12部隊長も強制参加になるということ。


 その前に一番肝心なことは、私は聖女として自他ともに認められていはいない。私自身は否定するし、公には聖女というのは彼女のことを指すのだ。



「聖女の彼女に任せるというのでは駄目なのですか?」


 ダメ元で聞いてみる。すると、人の良さそうな笑顔から、出た言葉というのが。


「役に立たない者など足手まといでしかありません。それに魔力が欠片さえも存在しない者に何を期待するのですか?」


 神父様から、バッサリと切られてしまった。彼女の魔力は欠片ほどもないので、期待などしても無駄の極みでしかない。


「それに私はあの者の為に剣など振るいませんよ」


 あれ?何だか神父様も彼女に対して怒っている風だ。最後の言葉にはなんだか棘があるように感じてしまったのだった。



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