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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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189 悲鳴を上げる鳥


『ウッキョゥゥゥゥーー!!!』


 ・・・


『ウッキャァァァァーー!!!』


 ・・・


『ウッキョゥゥゥゥーー!!!』


「うるさいわ!」


 今日に限って凄い大音量だ。いや、いつもうるさいが、悲鳴が混じっているように聞こえてしまった。

 今日は何が起こった。いい加減に始末した方が皆の安眠の為にいいと思う。今日こそは居場所を突き止めてぶっ殺そう。


「リュミエール神父が来ている時はいつもこんな感じだ」


 一緒に寝ていたルディがクスクスと笑いながら、教えてくれた。

 なんだって!これは神父がここにいて嬉しい雄叫びだったりするのだろうか。それとも恐怖の悲鳴か。あ、きっと恐怖の悲鳴に違いない。魔鳥ですらも恐れられている神父様。納得できる。


「卵から孵したと聞いるから、親が戻ってきたと思っているのかもしれないな」


 そっちー!神父様は魔鳥の親だった。恐ろしすぎる。


「アンジュ。おはよう」


 そう言って、ルディは私に小鳥が啄むような口づけをしてきた。ここに来てから日常化している朝の攻防だけど、私の頭には「ウキョー鳥ぶっ殺す」しかない。


「おはよう。ルディ。今からちょっと魔鳥探しに行ってくる」


 そう言って、ルディの腕の中から抜けたそうとするも、動けない。身体をよじるも、動けない。


「アンジュ。リュミエール神父から許可が出なかったから駄目だろう」


 あの奇声を上げている鳥を締めていいと思う。絶対にここに居る皆の為になると思う。

 私が諦めきれず、どうすれば魔鳥を締められるかと考えていると、ルディの不機嫌そうな声が耳に入ってきた。


「アンジュ。側にいる俺よりも、リュミエール神父の方がそんなに好きなのか」


「は?何を言っているわけ?」


 思わず思考を放棄してルディにつっこむ。何故、私が神父様を好きということになるのだろうか。


 すると、ルディの顔が近づいてきて、深い口づけをしてきた。


「うっぐ」


 ルディの聖痕から逃れようと抵抗するも虚しく、聖痕同士が絡みつく。


 ゾワゾワとする感覚が身体をめぐり、距離を取ろうにも力が入らず、されるがまま……その時、ルディの部屋の方からノックがされた。


「シュレイン。緊急任務が入ったから起きてくれ」


 ファルの言葉によって解放された私は息絶え絶えだ。この聖痕おかしくない?相性悪くても良いはず。いや、なんとなくわかってはいる。

 ルディの聖痕は水で、私の聖痕は植物だ。相性がいいのは理解できるけど、理解できるんだけど……なぜ、あの時の私は聖痕を舌に隠そうしてしまったのか。ここ最近それをとても後悔している。


「ああ、わかった」


 ルディはファルに答えながら、軽く口付けして、ベッドから出ていった。

 さっき、ファルが緊急任務が入ったということは、昨日の血だらけで本部に来た人の案件だろう。


 しかし、報告を受けて半日が経っている。血だらけで報告しにきた人の様子を見る限り、緊急性はあったと思うのだけど、直に行動をしなくても良かったのだろうか。


 さて、ルディも居なくなったことだし、ウキョー鳥を始末しにいこう。ベッドから起き上がり、自分の部屋に向かう。この間でも悲鳴のような鳴き声は続いている。はっきり言って頭が痛い。


 素早く白い隊服に着替え、身なりを整え、お茶と昨日の残りのお菓子のクッキーを一枚口の中に入れ、刀を腰に差して、私の部屋の窓を開ける。恐らくウキョー鳥は宿舎の屋根にいると思われる。なぜなら宿舎の周りには鳥を飼うような場所が見当たらなかったからだ。


 ここは最上階のため、窓から顔を出し、重力の聖痕を使って屋根の上まで飛ぶ。外に出ると更に大音量の悲鳴が耳を突き抜ける。

 今日こそは絶対に始末する。そう心に決めて、辺りを見渡すと見てはいけない人を見てしまった。

 これは、出直さなければならない。何故に神父様が屋根の上で金色のカラス程の大きさの鳥に餌をやっているのか。それも何かわからない肉の塊を。


「アンジュ。おはようございます」


 見つかってしまった!気配を消して、そろりそろりと後退りしていたというのに!

 見つかってしまったというのであれば、仕方がない。


「おはようございます。神父様」


 私はにこりと笑って挨拶をする。そして、一言付け加えた。


「その鳥、安眠妨害なので、締めていいですか?」


「駄目ですよ」


 やっぱり駄目なのか。始末するのは神父様が居ないときを狙わないといけない。


「せめて、悲鳴を上げるのを止めさせてください。頭が痛いです」


「仕方がないですね」


 仕方がなくないよ。

 神父様が金色の鳥の頭を撫ぜると、鳴き声がピタリと止まった。え?そんなことで止められるの?


 鳴き声が止まったのであれば、私がここにいる必要もない。踵を返して部屋に戻ろうとすると、神父様が声を掛けてきた。


「ときにアンジュ。人の首の魔物とはどういうものでしょうか?」


「……なんですか?それは魔物なのですか?」


 人の首という事は人なのに魔物ってこと?何が聞きたいのかさっぱりわからない。


「人の首だけが空を飛ぶそうです。その異形が人を食らうそうですよ」


 人の首が空を飛ぶ?思わず首を傾げる。ろくろ首?……あ!


「飛頭蛮?」



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