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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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176 遠回しに言っている?


「で、誰っすか?」


 翌朝、何故か濃い灰色の隊服を着た長い黒髪の麗人が第13部隊のぽつんと一軒家に存在していた。


 ティオと同じように私も何故いるのだという視線を送る。いや、確かに普通に過ごしてもらっていいとは言ったものの、何故に見習い騎士の隊服を着ているのだろうか。


 ただ、朧は緊張しているのか、表情には何も浮かんではなかった。


「名はオボロです。最近何かとありますから、王城の暗部の一人に来てもらったのですよ。しかし、普段はそこのシュテンとイバラキと同じように扱ってもらえばいいでしょう」


 ルディが朧の紹介をしたけど、一応彼は王族の監視下にある存在とは教えるんだ。それって良いのだろうか。


「あ……あの…」


 ヴィオがおずおずと手を上げて質問をしたいという意思表示をしめす。


「何だ」


「あ、そその……。ななななぜ、暗部の人が……見習い騎士の格好を……ししししている…のでしょう…か?」


 相変わらずルディを前にして言葉を詰まらせているヴィオ。しかし、ヴィオの質問の答えは私も知りたい。


 私は私を膝の上に抱えているルディを仰ぎ見る。

 因みにファルはいつもの定位置の長椅子に座っており、一人掛けにはルディが座りその膝の上には私が鎮座している。そのルディの横に朧が立っており、4人はファルの前に整列して立っている。

 4人ということはそこに酒呑と茨木は整列していない。酒呑はルディの向かい側の一人掛けのソファに偉そうに座っており、茨木はその背後に控えている。


 そこはおかしいと思うのだが、誰も突っ込まない。酒呑は見習いというより、酒呑という存在として見られているのだろうか。


「それは問題を起こすアンジュに付いてもらうためですよ」


 胡散臭い笑顔を私に向けて言うルディ。


「ルディ、一言多いと思う。私、そこまで問題を起こしていないよ」


 すると、4人の視線が私に一斉に向けられる。


「普通、空飛んで隊長に攻撃しないっす」


 ん?ティオ、いつの話?


「見習いの昇級試験で、バッサリいったってあまり聞きませんわ」


 ミレーは手のひらを下にして首元で横にスライドさせながら言った。


「隊長を怒らすことを平気でしている時点でありえない」


 シャールは私に理解不能なモノを見るような視線を向けてくる。


「ド……ドラゴンを…ううう売らずに……燃やすなんて、もももったいないですぅ」


 ヴィオはよほどレッドドラゴンを素材として売らずに燃やしたことが信じられなかったらしい。あのあと、ドラゴンの鱗を売って、はしゃいでいたよね。


「ということで、私は今から会議で席をはずしますが、アンジュ。問題を起こさないように」


 今から会議ということは、ルディが側に居ないということ。私は右手を上げて発言する。


「散歩に行きたいです!」


 ルディが居ないのであればコレ幸いと散歩する許可を得たいと訴える。

 そこに呆れた4人の視線が降ってきた。


「散歩に許可がいるんっすか?」

「散歩?それは楽しいのかしら?」

「問題を起こすなと言われて、普通散歩したいっていう?」

「あわわわわ……」


「問題を起こさなければ、昼までならいいですよ。それから、何かあれば転移で戻ってきなさい」


 昼間で……私は今の時間を確認する。3時間半の時間がある。よし!


「ありがとう、ルディ」


 私はニコリと笑ってお礼を言っている横で、ファルの呆れた声が耳に入ってきた。


「アンジュ。会議は10時からだ。昼までということは2時間だけだぞ」


 ファルの言葉にファルを一瞥したあとにルディを仰ぎ見るといつもの胡散臭い笑顔ではなく、意地が悪そうな顔をしていた。


「今からって言ったし!」


 くー!騙された!!





 そして、私はルディに手を繋がれ散歩中だ。いや、ただ単にルディが聖騎士団本部の建物に行くので、そのまま連れ添っていると言い換える。

 その後ろからは見習いの隊服を着た、黒髪の朧が付いてきている。黒髪の者が二人もいることで、異様に視線を集めているような気がする。違うな。きっとルディがこの前暴れた所為に違いない。


「それで、今日は何の会議?また、あの聖女様の件?」


 この前まで頻繁に会議を行っていたのでその件だろうかとルディに尋ねる。


「そうですね。陛下が決定された、あの女の謹慎と魔物被害の報告ですね」


 あの女。未だにルディは聖女の彼女の事を根に持っているらしい。しかし、気になる言葉があった。


「魔物被害?」


「ええ、先日の第12部隊管轄の件もそうですが、ところどころで、手に負えない事例が増えていっているようです」


 それは常闇が開いて行っているということだ。手に負えないということは放置しているってこと?


「それって、結局対処しきれていないってこと?」


「いいえ、その場合は将校(オフィシエ)数人で対処していますが、言い換えれば騎士(シュヴァリエ)の実力不足ですね。ですが、常闇が閉じられない限りこちらの分が悪くなる一方ですか」


 その言葉に私はジト目でルディを見上げる。


「それって私に遠回しに言っているわけ?」


 常闇を閉じて欲しいと。



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