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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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164 隊長が激おこですぅ

 腰に刀を差したルディに『お昼ごはん作っておくから』と送り出した。そんな私に、信じられないという視線を送ってくるトーリ。いや、世界を混沌に陥れようとしている魔王様に付き従う理由はない。


 ファルは殺すなよとルディに釘を差して付いて行っている。そのファルの隊服の端をトーリは掴み、私に助けを求める視線を向けながら、部屋を出ていった。

 私には頑張れという言葉を心の中で送るしかできない。



「ふぁ〜。隊長が激おこだったですぅ」


 私を置いて逃げた四人が戻ってきた。


「誰だよ。隊長を怒らせたヤツ。こっちも被害を受けるんだからな」


 ヴィオとシャールは寒いという風に腕をしきりに擦っている。


「きっと誰を怒らせたのかその身に刻むことになりますわ」


「今日はマジで外に出ない方がいいっす。コロッセオはきっと騒ぎになりそおっすから」


 ミレーは他人事のように言っているけど、ティオはルディの怒りの矛先が向かないように大人しく引きこもる宣言をしている。そこに含み笑いの声が割り込んできた。


「もう、騒ぎになっていますよ」


 クスクスと笑って部屋に入って来たのは先程までいなかった茨木だ。


「騒ぎって何?」


 シャールはこれ以上は勘弁なのにという表情をしながら、聞いている。


「あの円形の闘技場の客に外に出るように促していました。少し早いですが、昼食の時間でもありますから、次の試合に時間がかかるため食事をとることを勧めていましたね」


 ん?それのどこが騒ぎになることなのだろう。この聖騎士団の敷地の外は貴族が通っても問題ないぐらい高級な食事店が並んでいる。実際にこの聖騎士団には多くの貴族が在籍しているので、その貴族を食い物にしようと店を構えているのだろうけど。


「それが、ここで休憩を挟むことが異例のようでして、素直に席を立つ人もいましたが、何かあるのではと留まる人もいましたね。あと、第13部隊とは何かという声も上がっていましたよ」


 ああ、混乱しているという意味ね。だけど、聖騎士団の方も観客を出した後に、ルディとブタ貴族の孫を対戦させようという思惑なんだろうけど、予定にないことを入れられて、運営側も混乱しているみたい。

 だけど、私には関係ないので、お昼ごはんを作ろうとキッチンに向かう。今日は何のご飯にしようかなぁ。





 1時間経ってもルディもファルも戻って来ない。だから、お昼ご飯として隊員4人と鬼2人分のパスタを作って出しておいた。今日のパスタはドラゴンの肉で作ったボロネーゼ。パスタの麺とボロネーゼソースは各自で取り分けるスタイルで出した。

 その6人が食べている横で私はルディコレクションの本棚から本を一冊取って読んでいる。え?一緒に食べないのかって?

 いや、ただでさえ機嫌の悪いルディに先にご飯を食べたと言えば、笑顔で嫌味を言われそうだと思ったからだ。まぁ、味見をして小腹は満たしているから空腹ではない。


 更に30分が経ち5人が食べ終わって、酒吞だけがまだ食べている状態になっても、戻ってこない。私はこの時思った。これは完璧に問題が起きていると。

 この分だと夕方になっても戻ってこないかもしれないと見切りをつけ、私の分の昼食を取りに行こうと立ち上がったところで、景色が暗転した。

 今日はいい天気のはずだったのに、夜のように真っ暗になっている。いや、わずかながら、外から光が入って来ているので、以前ほどではないのだろう。私は右手に光を灯す。


 うん。普通に光は闇に侵食されずに光っているので、以前よりましだ。


「ひゃ〜!誰ですか!隊長を更に怒らせたのは〜」


 ヴィオがそう言いながら、床を這っている。私が、光を灯しているから、周りは見えているはずだけど?


「また、腰が抜けたのですか?仕方がないですね」


 ミレーがヴィオを抱え起こしていることから、暗闇で腰が抜けたらしい。そこまで驚くことだったかなぁ。


 その時、室内が明るくなった。誰かが、照明に灯りをともしたのだろう。


「この前もこんなことあったよね。前回怒らせたのはアンジュだって聞いてるけど、今回は誰?」


 シャールはそう言いながら私を見てきた。今回は私は全く悪くない。っていうか、なんで前回の暗闇事件の原因が私だって知っているわけ?

 私はシャールに向かって首を横に振る。今回は私、悪くない。


「毎回ツクヨミの旦那を怒らすのはアマテラスだけだと思っていたがなぁ」


 酒吞はこの状態にも動じず、未だに食べ続けている。私がいつもルディを怒らせているように言わないで欲しい。そこは私に固執するルディが悪いってならないのだろうか。


「動きがあったようですね」


 そう言って茨木は部屋の入口である扉を見ている。そこから、転がるように入ってきたのはローズ色の髪が乱れたロゼだった。




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