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152 聖騎士の誓い

「誰に見られた?ここに居る全員始末すればいい?もういっそのこと、燃やし尽くす?」


「だから、その力技で解決しようとするな!」


「アンジュちゃん、大丈夫よ」


 ギル!力技で解決しないと、私には力しか持っていないのだから!

 リザ姉、何が大丈夫なの!複数人に知られるなんて、私に監禁されろって言っている?


「隊長が見た者達に、絶対に口にするなという誓約を書かせたから、大丈夫」


 え?誓約?隊長って第12部隊長のヴァルト部隊長のこと?

 ああ、それで、ギルは言いどもってしまって、リザ姉は別の言葉で表現したってことか。


「アンジュちゃんがねぇ。言われてみれば、納得はできるけれど、リュミエール神父様はきっとわかっていたのね」


 リザ姉の言葉にどんな意味が含まれているのかわからないけれど、私の頭をよしよしと撫でている。


「リザ姉。第12部隊長さんにお礼を言いたいのだけど、どこにいるのかな?」


 私のことを箝口令を敷いてくれた事にはお礼を言わないといけない。なんで、そこまでしてくれたのかわからないけど、これはすごく助かった。私が監禁されるか、監禁されるか···これは誰に監禁されるかの問題だったりして?あ、うん。ルディから監禁されるのは避けるようにしよう。


「隊長はここまで一緒に来たのだけど、扉の前で固まってしまったから、私だけ入ってきたのよ」


 リザ姉は何故か内緒話をするように私の耳元で教えてくれた。そこは普通に教えてくれていいと思うよ。

 第12部隊長の居場所を聞いた私は、この部屋の出入り口である扉のところまで行きその扉を思いっきり開け放つ。

 そこには紺青(こんじょう)色の髪をもち、金色の目を驚いたように見開いた長身の男性と、ローズ色の髪と目を持った女性が白い隊服を身にまとって立っていた。第12部隊長とロゼだ。

 私は第12部隊長の前に立ってお礼を言う。


「第12部隊長。ありがとうございます」


「ああ」


 簡素な返事が返ってきた横ではロゼが目をパチパチして何かを訴えている。ああ、そういう事。

 私はもう一歩近づいて、第12部隊長の手を取って、ニコリと笑う。


「今回はヴァルト様の機転で、とても助かりました。本当にありがとうございます」


「····」


 今度は返事がない。本当にこれで良かったのかとロゼを見ると、満足そうな顔をしているので良かったのだろう。


 安堵をしていると、腕を背後に引っ張られ、反転させられ捕獲された!!


「ヴァルトルクス第12部隊長。気を使ってもらったようで、申し訳ない」


 私はルディにガシリと捕獲されてしまった。それもルディの身体に頭を押さえつけられるようにされているので、誰も見えない状態だ。ルディをバシバシ叩き抵抗を試みるが、頭を放してもらえる様子がない。


「いや、シュレイン第13部隊長のお陰で、部隊の者たちの生命が助かったのは事実だ。将校(オフィシエ)アンジュの件は私の一存で見た者に誓約を掛けたがそれで良かったのだろうか?」


「ええ、とてもありがたいことです。ですから、口外はしないでいただきたい」


「了解した。因みに将校(オフィシエ)アンジュに挨拶をしてもよいだろうか?」


 あれ?なぜそこでルディの許可がいるのだろうか?私、さっき第12部隊長さんにお礼を言ったよ?

 ルディは長い沈黙の後、私の頭を解放した。解放された頭を手ぐしで整えて振り返ると、私の足元に跪いた第12部隊長さんがいた。あれ?これは···。


太陽(ソール)をいただく天使(アンジュ)に、我が生命を捧げ、魔を屠る剣となることを誓う」


 あ、そこは誓わなくていいよ。どうして皆、私が天使の聖痕を持ってるとわかれば、態度を変えるのかなぁ。ん?でも、リザ姉もロゼも普通だった。

 ロゼの方をちらりと見るとパクパクと口を動かしている。え?それを言うの?

 私は首を横に振る。それは駄目だって。だって第12部隊長だよ?


 斜め上を見てルディを伺い見ると、胡散臭い笑顔のままで、その心情まで私にはわからない。斜め後ろのリザ姉に助けを求めると、ロゼと同じくパクパクと口を動かしている。

 くっ!もう、雁字搦め過ぎる!!


「我が聖騎士(パラディン)であることをみ···認め··る」


 私の心の中は血の涙を流している。物語では知っているよ?聖女とそれに付き従う聖騎士(パラディン)

 私達は聖騎士と名乗っているが、本当の意味で聖騎士ではない。


 聖騎士(パラディン)は聖女の盾であり、剣である。まぁ、これは普通だ。だが、聖女の言葉に絶対の服従の枷が誓約として付けられる。

 例えば、聖女が死ねといえば、聖騎士(パラディン)はその場で首を斬って生命を絶つのだ。

 だから、普通は聖女が存在していても聖騎士(パラディン)になるという選択肢をする聖騎士はいないと言われているのだった。




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