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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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144 情報が全く足りていない


「え?何それ!私は聖女は100年から200年おきぐらいに存在すると聞いていたのに!」


 私はそう習った。しかし、20年ごとに月の聖痕を持つ者が現れているのであれば、全てが根底から覆されてしまう。

 聖女って頻繁に現れているじゃない!って。


「それは太陽(ソール)の聖女様のことですよ。わかっていると思いますが、(ルーナ)太陽(ソール)が存在しないと役立たずですから」


「役立たず!!」


 悪魔神父は言い切ってしまった。あの聖女は役立たずだと。


「おや?シュレインとファルークスといつも一緒にいるのに聞いて無かったのですか?」


 それは好きで一緒に居るわけではなく。ルディの精神安定剤代わりにいるようなものだ。しかし、ルディからもファルからもそのようなことは一切···ん?そういえば、『聖女とは天に掲げる日を持っているかということが重要なだけで、それ以外の付随物はさほど重要視されていないのでしょう』とルディが言っていた。


「あれ?ルディ。前に聖女は天に掲げる日以外は重要視されない言っていたけど、このことだったの?」


「ええ、そうですよ」


 胡散臭い笑顔でいけしゃあしゃあとルディは答えた。ということは、天の日は太陽の聖痕を指して、それ以外の付随物が月の聖痕ってことだったの!!


「じゃあ、なんであの聖女を聖騎士団に置いているわけ?役立たずなんだよね」


「天使の聖痕に太陽と月の二種類があるということを知っているのが、侯爵以上の当主と王族以外知らないからですね」


 神父様はニコニコとした笑顔で、またしてもとんでもない事を言ってくれた。限られた人しか知らないのに、私が知っていて当たり前みたいな言い方をしないで欲しい。それなら、ルディもファルも私に話さないでしょ!


「普通なら、天使の聖痕は貴族の者に現れるのが常識だったのです」


 ん?常識?どういうこと?でも、聖女を作り出そういう計画があるよね。それは平民の子が引き取られて···いや、結局そこにも貴族の血が入ることになるってことか。


「それが、今回、平民の者に現れましたよね」


 そうですね。それを私に文句を言われても困るのだけど?私も欲しくて、この天使の聖痕を手に入れたわけではないからね。私は神父様を睨みつけるように見る。すると、私が不満に思ってるのを感じたのか、更に笑みを深めて、神父様は続きを話し始めた。


「クスッ、アンジュの事を言ってはいませんよ?アンジュは巧みに隠していますから、そこは問題視していませんよ。問題は複数の者に見られてしまったということです」


 何故、そこが駄目なのだろう。現に彼女は聖女に称号を得て、多くの民衆に認知されるようにしたのは、貴族の者たちなのに?


「40年前に現れた月の聖痕の持ち主は、アイレイーリス公爵令嬢でした」


「あれ?どっかで聞いたような?アイレって」


「俺の叔母上だ」


 ファル様が答えてくれたけど、そう言えば、ファルの家名はそんな感じだった。


「そして、私の婚約者でもありました」


「は?神父様の?」


 神父様の婚約者がファルの叔母で天使の聖痕持ち···あれ?神父様に奥さんがいるって聞いたことないよ?息子はいるって第三者からは聞いたけれど。あの、名前を忘れたお姉さんから。

 でも、『ありました』という過去形だから、婚約を解消された?あまりにも神父の性格の悪さに嫌気が差して····。


「アンジュ。何か言いたいことがあるのですか?」

「いいえ!何でもありません!」


 神父様。人の心を読まないで欲しいです。


「その時の私は王太子の立ち場にいましてね。アイレイーリス公爵令嬢が月の聖痕持ちでも、そうでなくても私の立ち場は変わることは無かったのです」


 ん?あれ?そう言えば、私はあの白銀の王様の前の王様のことは何も習っていない。この国の歴史は一通り教えられてきたはずなのに、今のスラ···スラヴァ····王?の前の時代がすっぽりと抜けている。


「彼女は私の義兄と逃げ出しましてね」


 私はその言葉を聞いて、すっと右手を上げる。


「情報が全く足りていません。神父様は何人兄弟なのですか?貴族の令嬢と王族の人が逃げることが可能なのですか?王城の騎士の目はザルなのですか?この話は必要なのですか?」


 私は太陽の聖痕の事を聞いたのに何故、神父様の婚約者の話になっているのか、全くわからない。


「必要ですよ。貴族の者が月の聖痕を発現しても、その聖痕が目に触れる者たちは限られてきますよね。だから、表立っては月の聖痕は存在しないのですが、アンジュが警戒しているように、その者の運命は悲惨なのです」


 悲惨。そんな言葉だけで言い表されることなのだろうか。それは絶望であり。悲劇であり。塗炭の苦しみなのではないのだろうか。



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