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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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120 貴女は何者?


「それで、ルディは私がドラゴンを倒した事で怒っているわけ?でも、私が倒さないと王都が火の海になっていたよ?私が火を吹く直前のドラゴンにたどり着くまで、誰もドラゴンに攻撃なんてしていなかったよ」


 これは紛れもない事実だ。ドラゴンは卵の位置を探すように王都上空を旋回していた。

 なのに、誰もドラゴンに対して攻撃をしていなかった。


「いや、誰が飛んでいるドラゴンに攻撃ができるんだ?」


 ファル。それぐらいできないと、火の海になっていたけど?


「私」

「ファルークス。空を駆ければいいだろ?」


 ああ、ルディは私の真似をして、結界を足場にして空中の私を捕まえたことがあるからね。


「空を飛べばいいだけだよね」


 え?白銀の人は空を飛べるの?


「それは陛下だからです」


 ファル、マジで白銀の人は飛べるの?私は信じられないと白銀の人を見る。


「君もそうだよね?」


 私の場合は少し違うかな?白銀の人に向ってへらりと笑う。


「はぁ。結果論でいえば、アンジュのおかげで王都は無事だったが。アンジュ。無茶はするな」


「だからさぁ。無茶じゃないし。ドラゴンなんて、空を飛ばなければ、ただのトカゲだし、脳震盪起こして意識を刈り取ってしまえば、問題ないし」


「クスクス」

「ぶふっ。ただのトカゲ」


 ファル。そこ笑うところ?とういうか、王様の前でも笑い上戸は変わらないのだね。


「アンジュのドラゴンを倒したこともそうだが、あの聖女もどきのことだ」


 もどき!ルディ、もどきって彼女は聖女だよ。見た目も聖女だよ。お皿に見えるけど、頭の上に日を掲げているからね。


「あの聖女もどきはドラゴンを倒した事を自分の功績にしたんだ」


 は?ちょっと意味がわからない。いつ、何処にいたのだろう?私の周りに居た気はしないけれど?

 私は首を傾げてしまう。


「すごいよね。まるでドラゴンが倒されることが分かっていたみたいだよね。あの群衆がいる前で『私が倒します』って言い切ったらしいからね。そうだよねフリーデンハイド」


 え?王様それはどういうこと?倒されることが分かっていた?私の行動が読まれていたってこと?


「はい。そのとおりです。兄上。彼女は天に向って祈りを捧げていただけですが、まるで太陽が落ちて来てドラゴンを滅したように火の雨が降ったことで、彼女が行った奇跡だと認められました」


 は?いや、それ私が目くらましの花火を打ち上げただけだし。火の雨って何?


「それ、ただの目くらましの花火だし、攻撃性なんて皆無だし、あんなのでドラゴンなんて倒せないよ」


「それは実際目にした者としては、理解しております。あれはバットルアックスを持った者が対峙していたとわかることです」


 あ、巨大な斧が目印になっていたと?確かに目立っていたかもしれない。


「それもバットルアックスと同じ背丈のものが」


 この侍従(シャンベラン)やっぱり口が悪いな。


「え?それは私がチビだと言っている?」


「アンジュは大きくなっているから、気にするな」


 ルディ。それは3歳の時から比べれば大きくなっているよ!


「そうだね。見ている者がいるならわかることだからね。まぁ、私も実際に目にしていなければ、彼女の奇跡だと思っただろうね。普通は火の雨なんてふらないからね」


 そうか、この世界に花火はなかったのか。


「それで、貴女は何者なのかな?天使(アンジュ)の名を掲げた貴女は?」


 白銀の人が微笑みを浮かべたまま私に聞いてきた。私が何者ね。


「何者と聞かれても、私は幼い頃に親に教会に売られた者だね。名前なんて親が決めたことだから、そんなこと私に聞かれても困る。じゃ、逆に聞くけど貴方は何者?」


「アンジュ!」


 ファル、うるさい。本当にルディがずーっと前に言っていたように、ルディのお兄さんが好きなんだね。


「クスクス。同じことを聞き返されるとは思わなかったね。そうだね。この国の王族として生まれ、聖女に頼らない国の護りを提唱したら、殺された王だね」


 ああ、いらない事を言ったら王であることを排除され、影武者を王として据え置かれたということか。

 ルディを王に立てるのは黒を纏うから問題がある。侍従(シャンベラン)は何かを感じ取ったのか、さっさと王族から退いた。仕方がなくあの影武者を王に立てたのか。


「でも、生きているよね?」 


 そう、彼は。白銀の王は、私の目の前にいる。私がそう言うと、白銀の王は人が変わったように歪んだ笑みを浮かべた。


「そうだ。生きている。生かされていた。意識はあっても、肉体が動かなければ意味がない。死んでいることと同意義だ。君が私を治してくれたのだってね。ありがとう。感謝をしている」


「は?意味がわからないのだけど?」


「おや?シュレインが君から薬を貰ったと言っていたが?」


 薬?ルディに渡した?····あ!私の聖痕で作った『狂瀾(きょうらん)既倒(きとう)に廻らす』か。どうにもならなくなったモノでも元の状態に戻す薬(薄めれば···)を使ったのか。ん?でも第1部隊長に叩き落されたと····あれは原液の方だった?


 そうか、ルディはお兄さんを助ける為に使ったのか。私が言うのもなんだけど、原液がもたらした状況をみて、よく使えたよね。


「ルディ。よく使えたよね。原液の惨状を見たのに」


「ロベルに渡す前に兄上に使った。念の為、もう一度ファルークスに飲ませたから大丈夫だ」


 ファル。大好きな王様の為に体を張ったのだね。


「え゛?シュレイン、いつの間に飲ませたんだ?」


 違っていたようだ。知らない内にファルは一服盛られていたようだ。



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