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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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112/505

112 束縛の腕輪を外すことは?


「それで、アルーさん。ここに来た理由は見ての通り人生計画に失敗しましたので、今まで振り込んで貰っていたお金をここの口座に振り込んでください」


 私は右手が今現在、脅しのためにふさがっているため、偽装工作している左手で口座番号が書かれた紙をアルーに差し出す。


「いや、俺は元々失敗すると思っていたぞ」


「ああ?!」


 何それ!アルーは教会の誓約を知っていると?


「そもそもリュミエール様から逃れようとする自体、バカのすることだ。それで、俺のアンジュにこんな馬鹿げた物を付けたのは何処のどいつだ?金のなる木のアンジュに!!」


 ああ、悪魔神父から逃れられないということか。

 しかし、本音を言いすぎだ。左手で拳を作り思いっきり腹をぶん殴ろうとするけど、ひらりとかわされてしまった。金のなる木ってなに!


「これ束縛の腕輪だろ?」


 束縛の腕輪!!それが本来の名前ってこと!まぁ、確かに束縛だ。


「で?誰に付けられたんだ?」


「答えたら、これ取ってくれる?」


「ムリムリムリムリ。そんな事をして貴族と事を構えるのは面倒だろ?」


 面倒ってことは、外せる方法があるってことだね。


「貴族じゃなかったら?」


「ん?出来ないこともない」


 現金な奴。貴族じゃなかったらできるのか。


「じゃ、お金払うから、これを外して欲しい」


 私は左腕をアルーに突きつける。正確には黒く染まった腕輪をだ。


「····その前にこれをアンジュに付けたのには誰だ?」


「ルディ」


「····ちょっと待て、お前確か人の名を覚えられなかったよな。ルディという人物の家名は何だ?」


 チッ!そのまま騙されなかったか。私はすっと左手を下げた。


「その指輪、嫌な予感がするんだが、それも2つってどういうことだ?」


 流石、アルーだね。指輪のことも知っているようだ。私はアルーに向ってへらりと笑う。


「お前、また俺を騙そうとしたのか?」


「え?騙してはいないよ?貴族じゃないのは本当のこと」


「王族ってことだろう!その腕輪を外していたら俺の首がぶっ飛んでいたってことだろうが!それもルディって、あの王弟のシュレイン・ルディウス・レイグラーシアのことだろう」


 おお、ルディの長い名前をスラスラ言えるなんてすごいね。商人ともなれば人の名前を覚えるのも仕事なんだね。


「流石、アルーだね。で、外す方法ってなに?」


「言うはずないだろう!いいか?よく聞けアンジュにこれを付けたお方はな「あ、ルディは私が3歳の時からの知り合いだから、その説明はいらない」····」


 そう言うとアルーは何故か天井を仰いでしまった。そして、『相変わらず天使な顔して中身は悪魔だ』なんて事を口に出しているので、右手に持っている戦斧を振り下ろす。

 しかし、すっと横に避けられてしまった。


 絶対回避。彼が死神と言われる由縁だ。依頼されればどんな場所にでも武器を届けるのが彼のモットーだ。それが僻地でも、どんな凄惨な戦場でもだ。しかし、彼は商品を届けて無傷で帰ってくる。戦場を悪化させながらも一人無傷のままの姿を見て、いつしか彼は死神と言われるようになった。


「アルーさん。取り敢えず振り込みの口座の変更をお願いします。それに最近良く儲けているそうじゃないですか、『守り石』で。ですから、良質な魔石いくつかもらえません?」


「俺が儲けているのと、アンジュに魔石を渡すのは何か違うよな」


 違わなくないと思うけど?私の取り分がもう少しあってもいいと思う。


「じゃ、ドラゴンの肉」


「そんな物があるのなら、高い値段で貴族に売りつけている!」


 そうか、お肉はないのか。残念。


「じゃ、そのバットルアックスで手を打とうじゃないか」


 別にそこまで気に入っているわけではないのだけど。これはアルーの商人魂をぶった切る為に手にしている。そうでないと、私からいいアイデアが出てくるまで、尋問してくるのだ。一度、あまりのしつこさに教会まで全力で帰った事があった。

 因みに私は私の太刀は置いてきている。


「それは、この斧が売れなくて困っているってことだよね」


「流石、俺のアンジュだ。よくわかっているな」


 よくわかっているっていうか見ればわかるよね。場所だけとって邪魔だと。


「見ればわかるじゃない。誰が、こんな大きな斧を振り回すのかわからないね」


「軽々と振り回しておいて、それはないよな」


 40歳手前のおっさんと、長年の友達のような軽いじゃれ合いの会話をしていると、突如として、空気を震わす大きな咆哮が耳を(つんざ)いた。突然の事に右手がふさがっている私は耳を押さえることができずに、キーンという音が耳の中で鳴り響いている。


 一体何が起こったのだろう。店の外を見ると行き交う人々が空に何かがいるのか、視線を上に向け、手を空に向け指し示していた。


「何だ?」


 アルーも耳が痛くなる咆哮に顔を歪め、外に向かって足を進める。私も戦斧を携えたままアルーの後を追い、外に向かっていった。



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