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聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜  作者: 白雲八鈴


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111 シストヴァ商会

 私は王都の街の中を歩いていた。聖騎士団の敷地から南下していき、呼び込みが賑やかな商店が立ち並ぶ区画をアチラコチラに視線を向けながら歩いている。

 それも、少し大きめの真っ白な将校(オフィシエ)の隊服を来ているのだ。目立つので人の目を集めているけど、それは仕方がない。この辺りまで白い隊服を来たままうろつく将校(オフィシエ)はいないだろうから。 


 なぜ、私が普段は行くことのない王都の中心部の賑やかな商店が立ち並ぶ区画に来たかというと、決して転移の腕輪が封じられ自由行動が可能になったというわけではない。···決してそうでは無い。


 朝のリザ姉の言葉で思い出したことがあったのだ。そう、『守り石』という物の生産と販売権をとある人物に渡しており、売上の2割を冒険者ギルドの私の口座に振り込んでもらうように頼んでいたのだ。しかし、100万R(リーン)の引き下ろし上限がある口座なんて使い勝手が悪すぎる。なので、先程事務局に行って私の口座を確認してきたのだ。

 因みに私はまだ、お給料は貰っていない。残念なことに将校(オフィシエ)になって、まだ一ヶ月経っていないのだ。


 あ、ここだ。


『シストヴァ商会』


 武器や防具を売っているお店で、レンガ作りの無骨な感じの4階建ての建物に大きく看板が掲げられている。思った以上に大きな商会だったようだ。私はその建物の中に入って行く。入って正面にカウンターテーブルがあり、その奥には受付令嬢らしき女性がいる。私はその前に行き、用件を言うため口を開こうとすると


「いらっしゃいませ。シストヴァ商会にどの様なご用件でしょうか?聖騎士様」


 言葉の裏になぜこんな所に聖騎士が来ているのかと言われているようだ。確かに聖騎士たちが使う剣の素材は魔力が伝導しやすいオリハルコンが少々混ぜられているらしいから、普通の武器屋では取り扱ってはいない。


「アルーさんいますか?」


「·····」


 何故に無言。あ、アルーさんの名前ってもっと長かったような?でも、私にはわからないことなので仕方がない。


「あの、道行く女性に声を掛けて、いらない一言を言ってぶん殴られているアルーさんです」


「····会長へのクレームでしょうか?」


 会長?へぇ、アルーさんて会長なんだ。というか、クレームを言っていくる人いるんだ。


「クレームじゃないですよ。取り引きの件できたのだけど、今はいない?」


 何かと自ら仕入れに行っているようだったから、もしかしたら王都にはいないのかもしれない。


「いらっしゃいますが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」


 あ、そうだね。私、名乗ってなかった。


「キルクスのアンジュと言えばわかると思います」


 私に家名はないからね。住んでいた土地の名前を合わせて名乗るのが、この国での常識だ。


「少々、お待ち下さい」


 そう言って、受付の女性はどこかに消えていった。暫し、ボーと辺りを見渡しながら女性の帰りを待つ。


 ここは受け付けがあるため、見た目でインパクトがある防具や武器が鎮座していた。壁で仕切られ扉のない出入り口が右側にあるけど、そっちは一般的な武器や防具の販売物が置いてあるようだ。客の姿がちらほら見える。


 目の前に金ピカの甲冑がおいてあるけど、こんな恥ずかしい甲冑って売れるのだろうか。絶対に買う人なんていないだろう。

 それに、人が絶対に持てなさそうな巨大な斧。戦斧というものだろうか。誰がこんなもの振り回すのだろう。

 それが、壁に飾ってあるけれど、正確には壁にめり込んでいると言っていい。

 斧の刃の部分だけでも1メル(メートル)ありそうだから、自重だけで熊が真っ二つにできそう。

 でも、この世界には魔術という摩訶不思議な要素があるので、もしかしたら、とても軽いとか?


 身体強化を使って右手で巨大斧の柄を掴んでみる。お、意外といけそう。左手は偽装工作をしているので、右手一本で持ち上げる。持ち上げた戦斧を肩で担いでみると、頭の中にマサカリ担いで熊をぶっ飛ばした歌が響き渡ってしまった。


「俺の愛しのアンジュー!!」


 凄く不快な言葉が聞こえてきた方向に肩に担いだ巨大な戦斧を投げつける。

 ドゴッという壁を破壊する音と共に『ウギャー』という悲鳴が響き渡った。


「アルーさん、お久しぶりです。お元気そうでなによりです」


「アンジュの所為で死にかけたけどな」


 長い灰色の髪を一つにまとめて背中に流し、琥珀色の目に涙をにじませながら、浅黒い肌の30代後半の男性が壁と巨大な戦斧との間に挟まれていた。


「その割にはキレイに避けましたよね。胴体を真っ二つにするつもりでしたけど」


 私はそう言いながら、戦斧の柄を持ち再び肩に担いだ。壁と斧から解放された男性はぴしっと着込んだスーツのホコリをはたき、何事も無かったように私の方を見る。


「しばらく見ない間にアンジュ、なんてけしからん姿になったんだ?」


「あ?このまま振り下ろせばいいって?」


 変な目で子豚化した私を見ないで欲しいのだけど?なんだか、ぶっ殺したいぐらい不快な目で。


「あ···いや、間違えた。聖騎士になったばかりか、白服まで着るようになったんだな。流石、俺のアンジュだ」


 全く褒められている気がしない。やっぱり、建物を破壊するつもりで戦斧を投げれば良かっただろうか。




来ていただきましてありがとうございます。


ご存じの方もおられるかもわかりませんが、7月末に体調を崩しまして、回復はしたのですが、投稿を始めてから連載し続けていた作品のストックがなくなり、『聖痕の聖騎士』の同時毎日投稿という無謀な計画は破綻してしまいましたΣ( ̄ロ ̄lll)ガーン

こちらの連載は何とか続けますが、毎日ではなく隔日投稿にさせていただきます。ストックができしだい毎日投稿に戻しますので、よろしくお願いいたします。


いつも読んでいただいて、ありがとうございます!!

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― 新着の感想 ―
[一言] こんにちは。 とても楽しみにしてはいますが、身体の方が大事ですし無理だけはなさいませんよう。
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