目撃(笑)
ラミエル・ロドルフォート登場です。
私の名前はラミエル・ロドルフォート。
第二王子にして王位継承者であるアティリオ殿下の第一側近。そして幼なじみだ。
私の父はアティリオ殿下の父である国王陛下の宰相をしている。
現在国王陛下は病に伏しておられる為、実質この国を率いているのはアティリオ殿下だ。
アティリオ第二王子。文武両道にして眉目秀麗。男の私でも一度くらいなら抱かれたいと…おっと、失礼…いや、でもそう思ってしまうほどに美しく立派な男なのだ。
剣の鍛錬で鍛えあげられた身体と、完璧に整った美しい顔。
短髪の黒髪は彼の顔の精悍さを引き立て、同時に上品な優雅さすらも感じさせる。こんなに長く彼の隣にいる私でも今だに見惚れてしまうことがある。
切れ長の目から感じる冷たさも彼にかかれば色気でしかない。
彼の見た目に惹かれない女性などこの世にはいないだろう。実際年若い頃の彼の周りには常に蜜に群がる蝶のように女性が集まっていた。
なのに、なのに、とっくに結婚を考える年齢を迎えた彼には今、婚約者はおろか恋人さえいない。
それもこれも我々凡人には決して立ち入ることができない彼の苦悩の為だ。
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その日私は、陛下の代役として会議に出席している殿下と離れ、執務室で仕事をしていた。
「ラミエル様!ラミエル様!大変です!」
殿下と私共に、長く親しいつきあいのある殿下付近衛兵ダミアンが駆け込んできた。
「第一王子が監視の目を盗んで、数人の護衛と共に城を出られたようです!」
心臓が飛び出るかと思った。
「なんだと?行き先は?」
「わかりません。東の森へ向かわれたということなので…森を抜けた先にはたしか孤児院が…」
「東の森…バルドメオ公爵領か!とにかく馬を出せ!追うぞ!」
私は近衛達や侍従らに殿下への伝言を託すと同時に各所への指示を伝え、ダミアン達数名を連れ急ぎ馬を走らせた。
バルドメオ公爵領の入口に位置する孤児院に着くと、予想通り第一王子一行の馬が見えた。まずい!!
そこにいた彼の侍従らは私達の姿を確認すると泣きそうな顔で走り寄ってきた。彼らは第一王子に逆らうことはできない。わかっている。しかし怒鳴らずにはいられなかった。
何事かと出てきたシスターに尋ねると、第一王子は「視察だ」と突然の訪問だったらしい。
ふざけるな、第一王子に視察などない。
建物内にはその姿が見えず、敷地内を走り回った。
そして見つけた。
その時の光景を私は生涯忘れないであろう。
そしてこういう状況であることを十分承知した上で批判を覚悟で敢えて言おう。
その光景を思い出すたび私はどうしようもなく笑いがこみ上げてくるのだ。
「ドゥイルカ殿下!!!!」
叫ぶ私の目に映ったのは、この世のものとは思えないほど美しく可憐で、まさに天使かと見紛うほどの女性が、第一王子の…男の大事なアソコを…足で踏みつけている光景だった。