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ブライト魔鉱山

「ところで、お前さんらは何用でここに? 俺の見立てが正しければ、何か情報を探しに来たんだろ?」

「あ、そうでした。私たち、プラチナを探しに来たんです。なので、どの辺りで採れるかを教えて頂けると嬉しいのですが……」

「はっはっは、ここでは情報も売り物だぜ? だが、久しぶりに来てくれた客だ。特別に、おまけしてやんよ」

「あ、ありがとうございます!」


 情報は売り物。確かにその通りです。その実、私も多少のチップを出す覚悟はしていましたが、優しい方で良かったです。また戻る前に、もう一度立ち寄りたいですね。


「まず、ブライト魔鉱山は特殊な鉱山だ。ダンジョンなんかと同じように、転移魔法陣やら罠やらが時々仕掛けられている。鉱脈もランダム性を持って現れるんだ。まぁ、ある程度の規則性はあるがな」

「ダンジョンと同じと言うことは、魔物も出るんでしょうか?」

「もちろんだ。だからこそ魔鉱山、なんて呼ばれてやがる。でもまぁ、あまりに深いところまで行かなけりゃ、そんな強い魔物は居ねぇよ。あと、魔鉱山は階層式になってる。プラチナは大体15〜20層辺りにあるぜ。だが、20層はオススメしねぇ。そこから一気に魔物が強くなるからな。プラチナを採るだけなら16、7辺りで止めとけ。俺が言えることはこんぐらいだな。質問は?」


 どうやら、階層ごとに採れる鉱石の種類も変わるみたいです。でも魔物が現れるか分からないので、必要なのは敵の情報です。


「では、ひとつだけ。現れる魔物は、どんなのが居ますか?」

「あ〜、5層まではゴブリンやコボルト。そこから10層まではプラスでコウモリだな。そこから20層までなら更にモグラやコウモリのような魔物が出る。ひとつだけ注意だ。コウモリ魔物の大群が見えたら真っ先に逃げろ。これくらいでいいか?」

「はい。たくさん教えてくださり、本当にありがとうございます!」

「いいや、気にすんな。今後ともご贔屓に、な?」

「はい。そうですね」


 コウモリの大群には注意……覚えておきましょう。コウモリの魔物は、以前に雪山で戦ったことがあります。あれくらいの強さまでなら、大丈夫でしょう。


「では、私たちはそろそろ行きます。お茶、ご馳走様でした」

「おう。頑張って来いよ!」


 ジークさんに見送られ、私たちはブライト魔鉱山へと歩みを進めるのでした。


------


 ブライト魔鉱山の入り口付近には、簡易的な冒険者ギルドの支部が設置されており、採掘用の道具の貸し出しや採掘量の測定、買取なんかを行ってるよう。


 私たちも、そこでツルハシなんかの道具を借り、鉱山へ潜ります。


 案外坑道は広く、人三人が両手を広げられそうなくらいの幅があります。壁や天井は木材で補強されている箇所も多くて、明るさも申し分ないです。


 しかし、借りてきた地図によると、坑道はまるで迷路のように入り組んでいて、地下へ行くのは、少々骨が折れそうです。


「ネールさん、ここは迷路みたいに道が複雑ですから、はぐれないように行きましょう」

「はーい」

「アイラも、ポケットから飛び出さない下さいね?」

「キュァ!」


 アイラはいつもより深く身を沈め、顔だけちょこっと覗かせていました。超かわいいです。


 坑道に沿って歩いていると、ついに魔物が現れました。


「あれはコボルトですね。私がやりますよ」


 コボルトは確か……炎が弱点でしたね。


 コボルトが飛びかかってきたところに炎魔法を放ちます。たちまち燃え広がり、コボルトは倒れました。


「流石ヴァイオレットさんです!」

「まぁ、コボルトですから。そういえば、ネールさんって戦えるんですか?」

「ネールはですね、『アイテムボックス』の応用で、相手の魔法を仕舞ってお返ししたり、敵の武器なんかをボックスの中に半分通して、入り口を閉じることで切断したり出来ますよ!」


 普通には戦えないようですが、彼女なりに工夫しているみたいですね。それにしても、相手の魔法を仕舞って返すって凄いですね。実質的に反射魔法が使えるってことですから。


 ……『アイテムボックス』、戦闘面でも強いだなんて、やはり万能ですね。


 その後もコボルトを含め、ジークさんに教えて頂いた通りの魔物が現れたので、それぞれに合った魔法で撃退しながら先に進んで行きました。


 坑道を下り下り、今は10層まで降りてきました。ここまで来ると、木材が組まれているのは一部で、ほとんどは岩肌を見せていました。


 しかし、不思議です。実は、10層に下って来てから一度も魔物を見ていないのです。戦闘がない分ペースよく進めるので良いことなのですが、静か過ぎて気味が悪いです。


 しばらく歩いていると、広くなっている場所に出ました。そこから3本の道が伸びています。


「ヴァイオレットさん、分かれ道ですよ?」

「えーっと、地図によれば──」


 私が地図に目を落とした、その時でした。バサバサ、という羽音と共に、左の道からコウモリの魔物が現れました。


「やっと魔物が出てきましたね。ちゃちゃっと片付けて先に行きましょう」


 私は氷の魔法でコウモリを撃ち落としました。すると、更にコウモリの羽音が。


「2匹目ですか……って、なんだか音が多くないですか?」

「ヴァイオレットさん、あれ!」


 ネールさんの指差した暗闇の中から、無数の丸い光が見えました。次の瞬間、左の通路から大量のコウモリが、甲高い鳴き声をあげて飛び出してきました。


「コウモリの大群! ネールさん、逃げますよ!」

「は、はいぃ!」


 私はネールさんの手を掴み、一番近かった右の通路へ全力ダッシュ。ジークさんの助言に従って逃げます。


 それにしても、コウモリの大群と聞いていましたが、あれは予想以上ですね……


 チラと後ろに目をやれば、数百匹規模のコウモリたちが追いかけて来ているのでした。

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