2話 外れスキル《サイコロ》
ダンが言ってたことはホントだった。
ボブがギルドに行って名前を言うと受付の男が露骨に嫌な顔をした。
「あんたろくなスキル持ってないし働きぶりも悪いんだろ」
「い、いや、荷物持ちなら結構得意……」
言い終わる前にしっしと追い払われた。
ギルドがこれだと次の仕事を見つけるのは難しかった。
「地元に帰ろうかな」
15歳のとき冒険者になるのを夢見て都会に出てきた。
でも2年働いてわかったのは強いスキルをもらわないと勝ち組になれないことだった。
「こんなスキルじゃどこも雇ってくれないもんな」
ボブは前に手をかざして言った。
「スキル《サイコロ》」
目の前にステータス画面が出て、その隣でサイコロの転がる映像が出た。
転がったサイコロが止まった。出目は「手斧」だった。
同時に手斧が二つ出現した。
見た目よりも重かった。
「当たりか。だけど毎回出るのが違うんじゃ当てにならないもんな」
サイコロの出目は六つだった。
「手斧」「釣り竿」「油」「酸素」「辞書」「トイレットペーパーの芯」だった。
これがランダムに出るのがボブのスキル《サイコロ》だった。
出たアイテムは一分経つと消えてしまった。
ボブのMPだと一分ごとに一度使うのが限界だから当たりが出るまで引きまくることもできなかった。
だからいまいち使い勝手がよくなかった。
「せめて好きな出目が選べるようになればいいんだけどな」
ボブは言った。
するといきなりステータス画面が開いて効果音が響いた。
「スキルがレベル20に上がりました。スキルが強化されました