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あの日の嘘の帳尻を  作者: てっしー
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ひび割れる音

こんにちは!

細かい設定の話ですが、晴空(そら)瑠衣(るい)は現在高校2年生です。

第1章 勢い任せの嘘

第2話 ひび割れる音


ーーあの話嘘だったのね


そう言われたその日の夜。僕はその言葉が耳に残って消えてはくれなかった。

『明日からどーしよう』

そう呟いて今日はもう寝ることにした。

次の日にはどうにでもなるようになると、そんな風に楽観視していた。


次の日の朝、いつも通りに用意をして学校へ向かった。

いつものように教室に入り友達に挨拶をしようとしたその時だった。


僕の机の上に淡い黄色の花が添えられていた。

後で知った事だがこの花は鬼灯というものらしい。

僕はすぐに瑠衣に話しかけた。


『昨日の事とこの花はなにか関係しているのかな?それに昨日のことだって僕は認めていないだろう。それなのにあんないじめみたいな事、酷いじゃないか。』

すると瑠衣は淡々と答えた。

『ふふっ、あの花は私が置いたんじゃないよ。きっと昨日の話を誰かが聞いていて、自分にも思い当たることがあっての結果じゃないの?』


僕は少しムッとした。なぜ僕がこんなに目に遭うのかが理解できなかった。

そして僕はこの状況をどうにかしようと思いこう言った。

『今日の放課後、1対1で落ち着いて話さないかい?そこできっと誤解も解けるはずだから。』

すると彼女は、

『良いわよ。まぁ無駄だと思うけど、貴方の嘘ははっきりさせておいた方がいいしね。』と答えた。


僕はその日の放課後に彼女と喫茶店で待ち合わせをした。


部活のない僕は先に喫茶店に行って、彼女を待っていた。

彼女が来るまであと30分くらいだ。

スマホをいじりながらココアを飲んでいると、ふと朝の机の花について気になり少し調べて見た。

『あの花は鬼灯って言うのか。こんなものを置いて何が目的なんだ。』

きっと瑠衣がやったんだとタカをくくっていた。

花か、なんでこんなマイナーなやつなんだろう。と考えていた。

『ん?花、花だよな。』

この時に僕にはなにか引っかかっていた。


そう考えているうちに

『お待たせ。』

と、瑠衣がやって来た。


『瑠衣なんか飲む?』

『じゃあミルクティー。』

『すみませーんミルクティー1つとココア1つお願いします。』

『あのさ、部活どうだっ…』

『晴空は、そんなこと私に聞くために放課後にわざわざ呼び出したの?』


僕はドキッとした。

核心に触れるのに僕は怖かった、嫌だった。しかし瑠衣はこっちの都合なんて気にしないようにそう言い放った。

僕は答える。

『あのさ、嘘ってなんの話かな?悪いけど勘違いかなんかじゃないかな?』

すると瑠衣は心底呆れた顔をしてため息をつきこう言った。

『あなたが素直に謝るのを期待していたのに、残念だったわ。』


瑠衣はそう言って続けた。


『あなたが私に吐いた嘘はきっとこれだけじゃないんでしょうけど、私が気づいていちばん許せないのはこの嘘よ。』

『晴空あなた前に親 お父さんが事故にあって亡くなったけど、再婚して今はいるみたいな事言ってたよね?』

そう言って少し間をあけてこう言った。

『あれ嘘でしょ。』


✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕


5年前、小6のときに彼女が泣いていた時の話だ。

僕は瑠衣に聞いた。

『なんで泣いているの?』

瑠衣は言った。

『お父さんが家から出ていったの。お母さんと喧嘩してそのまま帰ってこないの。どうして、なんで、なんでお父さんは帰ってこないの。』

瑠衣は泣きながらそう言った。


ぶっちゃけ僕はどう返したらいいのかが全くわからなかった。そうして在り来りなことを言った。

『大丈夫?元気だして?きっと帰ってくるよ!』

すると瑠衣癇癪を起こしたように、

『帰ってくるとか簡単に言わないでよ!!晴空には分かんないよ私の気持ちなんて。だって晴空にはちゃんとお父さんがいるでしょ!』


この時僕はあなたには分からないと言われ少し悲しい気持ちになった。本当の事だから。でも僕は瑠衣が好きだったから、寄り添いたかったから、こう言った。


『分かるよ、今いるお父さんは僕の本当のお父さんじゃないから。本当のお父さんは事故にあってもう死んでいるよ。だから僕も瑠衣と同じだよ、僕が乗り越えられたんだから強い瑠衣なら乗り越えられるだろ』

すると瑠衣は

『え、晴空も本当のお父さんが居ないの?私と一緒?』

と言ってきた。

『そうだよ瑠衣と一緒』

『私1人じゃない?』

『うん。僕がいるよ、それにお母さんだっているでしょ?悲しみは自分の視野を狭めるだけだよ、ちょっと落ち着けば瑠衣がいて欲しいと、逆に瑠衣にいて欲しいと思う人がいっぱいいるよ。』


僕は瑠衣を助けるために吐いた嘘を誇っていた。

そしてその嘘を吐いている間は、瑠衣は僕を必要としてくれるから心地よくなっていた。

そうして僕と瑠衣は友達以上、恋人未満の関係になって行った。


『どうしてそう思ったんだい?』

と僕はその根拠を問いかけてみる。

『私、先週のバレンタインに晴空にチョコを持って行って、晴空を驚かせようとしたの。だけどその日は晴空バイトで少し帰りが遅くてお母さんが家にあげてくれたの。そこで見たのよ晴空の小さい頃のアルバムを、そうしたらちゃーんとお父さんと仲良く写真に写っているじゃない。』


瑠衣は僕にチョコを作ってくれていたのか、と少し喜びながらもすぐ気持ちを戻す。

『それはお父さんの再婚する前のアルバムで写ってるのも僕じゃないよ。』

と、苦しい嘘を吐く

『今のお母さんも写ってたわ、幼稚園卒業と、小学校卒業の写真に。』


僕は焦る

『待ってよ、確かに僕は嘘を吐いたけどそれは瑠衣が好きだから、瑠衣のための嘘だよ、だから…』

『私のためって言うんなら私に無いものがあるのに無いなんて言って欲しくなかったわ。』

『ごめん。本当に、でも僕は瑠衣といたいよ、今までみたいな関係でいたいよ。』


僕はどうにか瑠衣を引き止めたかった、瑠衣に離れて言って欲しくなかった。

しかしそんな願いは虚しく、

『晴空ありがとう今まで、私はあなたの事が好きだったわ、いつも素直でみんなに優しくて。でもそんな晴空は最初から居なかったのね。』

『待ってよ瑠衣、瑠衣。る…』


瑠衣はすぐに立ち上がった。

そして瑠衣は3歩程で足を止めこう言った。


『勢い任せの嘘なら誰も救われないわ。』


僕は何も言い返せなかった。確かにあの嘘は咄嗟に瑠衣に寄り添いたくて吐いた嘘だからだ。


『あの花は私じゃないわ。きっと私みたいに騙された人が、きっといるわ。』


 『……気をつけてね。』


そう言って瑠衣は店を出て言った。


僕は1人途方に暮れていた。

『瑠衣…』

僕は静かにそのまま帰った。


もう辺りは薄暗くなっていた。多分1時間半ぐらいの時間だったんだろうか。

たった1時間半で僕は大きな物を失った。

『嘘の結果がこれかよ…』

 帰りのバスは人が多かった。

そんな中帰る間際にこんな声が聞こえた。





ーーー『まずは1人目』

第2話です、読んでくれていたら嬉しいです。

✕✕✕✕✕✕の下から過去の話になってます!

また次の話でお会いしましょう!

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