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ワタクシ流創作術概論  作者: 市境前12アール
序文:創作論に入る前に。
2/9

まずは、とにかく書いてみよう。

 で、創作論に入る前に。もしも、このエッセイを見ている方で、小説を書きたいんだけどどう書けば良いかわからないという方がいるようでしたら、私にとって細かい技術とかよりも大切だと思うことを、まずは言わせてもらいたいと思います。


「どうすれば書けるかだけを考えて、まずはとにかく『小説を』書いてみてください」


 そうですね。まあ、当たり前のように聞こえるのかも知れませんし、もしくは逆に、それが出来たらこんなエッセイを読んでいないと思われるのかも知れませんが。でもね、とにかく始めなくては何も始まらないのです。


――小説を書き始める上での最初の難関は、手を動かして一行でもいいから文章を打つことなのですから。


 小説を一行でも書けたのなら、それは誇って良いことです。段落を一つ書くことができたのなら胸を張っていい。そして、一話を書き上げることができたのなら、小説家になろうというささやかな「文壇」に足を踏み入れて作家になるための第一歩を踏み出したと、そう思っても良いと思います。


――作家というのは、その一話を書くために日々時間を費やしているのですから。


  ◇


 このエッセイを読んでいる方で、これから小説を書き始めたいと思っている方はいるのでしょうか。もしいるのなら、できるだけやらないでほしいことが二つほどあります。


 まず一つ目ですが。「小説が書けないけど他の文章なら書ける」とか言ってエッセイとかを書き始めるのはやめましょう。うん、何を言っているんだと思われるかもしれませんが。少なくとも、昔はちょくちょくそういった方を見かけたのです。


……今はどうなのでしょうね。もうそんな方はいないのかも知れませんが。ですが、これは本当によろしくないことだと思います。


 小説は、他の文章とは明らかに違います。物語でない文章をどれだけ書いても、小説は書けるようになりません。ついでに言うと、どれだけ小説を書いても、エッセイは上手くなりません。小説の文章は、他の文章とは全くの別物なのです。


 そして二つ目のことですが。「〇〇は流行らない」とか「〇〇みたいな主人公は人気が出ない」とか「○○を書けば人気が出る」とか、そんな理由で書くものを選ばないでほしいと思います。

 別に流行りの作品を書いてはいけないということではありません。ただ、挑戦するのなら、自分の書きたい物語を形にするべく、挑戦をしてほしいのです。

 流行りの作品があって、「その流行りの作品が好きなら」書いても構わないし、書くべきだと思います。ですが、「その流行りの作品が好きじゃないけど読まれるから」なんて理由なら書かない方が良いと、そう私は思うのです。


――「人気が出るから」なんて理由で書き始めてもね、かなりの高確率で挫折することになると思いますから。


  ◇


 ランキングとか書籍化作家さんとか見ると、物凄い読まれ方をしています。なんであんなにも読まれてるんでしょうね。まあ、理屈はわかりますけどね。正直どうかと思わなくもないですが。


 読まれたいのなら、宣伝の方法を学んだ方が良いと思います。あり得ないほど読まれたいのなら、その方法が書かれた文章を読んだ方が良いと思います。

 私のこのエッセイに「どうすれば読まれるようになるか」なんてことは書かれていません。それどころか、実はしれっと、読まれなくなるようなことが書かれていたりもします。


 私が持っているのは、仕事を掛け持ちしながら三年以上の間、小説を書いて語った経験だけです。その間、これといって人気の出なかった私には、読まれるように書くためにはどうすれば良いのか、それを説く言葉を持ちません。


 だから、私が持ち得る言葉は、一つの物語を書き始めて完結させるために必要なことを説く言葉だけです。


  ◇


 良い作品を書きたいですか? そうですね、私は書きたいです。ですが、どうすれば良い作品が書けるのか、今の私にはわかりません。自分にとって満足のいく作品すら書き上げることができていません。書き上げた時はどれだけ良いと思えるような出来の作品も、半年もしてから見れば「どうしてあの時はこれで満足していたのだろう」と、そう思ってしまうような作品ばかりです。


 でもね、それでも、三年前に書いた作品よりも、今書いた作品の方が良い作品だと確信を持って言えますし、書き続けていればもっと良くなると思うのです。


――このまま何十年も書き続けていれば、いつか満足のいく作品を書き上げることができるようになるだろう、と。


  ◇


 だからそうですね、良い作品を書けるようになりたいのなら、とにかく書くことをお勧めします。そうして失敗したとしても次に生かせばいいし、上手く書けたのならさらに次を目指してもいい。もちろん、自信を持って宣伝しても良い。でも、それらは全て、書かないと始まらないのです。


 だから、初めて小説を書く人は、「○○してはいけない」なんて言葉は全て忘れた方が良いと思います。そんなことよりも、こうすれば書けるみたいなことを大切にすべきです。


 今、書き始めたいんだけど何を書けば良いかわからない人は、例えばそうですね、「一人称で、何気ない日常生活を送っていた主人公が事件に巻き込まれて何かを決断したあと行動して、最終的に主人公が成長する物語を書く」みたいな感じで、まずは考えてみてください。

 で、それで書けないようなら、「ちょっと近くのコンビニまで買い物に行ってお菓子を買ってきてから、その買い物をしているときに隣に理想の彼女がいたらどんな会話をしてたか妄想して文章にしてみる」とかでもいい。なんなら twitter で「#初めて小説を書く人へ」で検索をして、自分にできそうなものを選んで始めてもいい。


 とにかく書き始めることが一番大切で、他のことは二の次で構いません。こんなエッセイなんて読まなくてもいいから、とにかく書き始めた方が良いと思う位です。


 でもまあ、(一行で終わってしまった以前の挑戦を除けば)私はいきなり長編を書き始めて完結まで持っていくことに成功した人ですし。うん、それは少数派だとどこかで見た気が。なので、私の体験談は初心者には向かない可能性は大いにあったりするのですが。


 とはいえ、まあ、せっかくここまで目を通したのですし。このエッセイくらいは最後まで読んでもらえると嬉しいかなと、そんな風に思います。

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