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思いはきっと届くはず

作者: 谷川 ユウ

私、自身のブログに最初に投稿した、超短編小説です。

冷たい風が耳に当たる、12月の風は前から横から吹き付ける。学校の帰り道、家まで30分の道のり、一緒に帰る友達とマフラーで包んだ首をすぼめて、ポッケに両手を突っ込んだまま、二人で並んで歩いている。キンキンと冷たくなるのは耳だけで、あとは全身温かい。上からニット帽にマフラー、ダウンジャンパー裏起毛のあったかズボン。毎日、同じ道を一緒に帰って行く。ただ淡々と二人は並んで寒空の下を歩いていく。


きょうは雨、二人はいつものように、特に待ち合わせると言う訳でもなく学校の校門で一緒になる。カッパを着て傘も出して二人で並んで歩いて行く。途中のお寺の入り口にブロック塀の下から、一本だけ花が咲いていた。その花は、こんな寒さの中、雨に打たれて、それでもしっかりと太陽の方を向いていた。


「こんなに寒いのに花が咲くんだね」とみっちゃんは言った。


「頑張ってるね。かわいいね」と私は答えた。


いつもと同じこの道で毎日違う会話をちょこっとする、休みの日も一緒に遊んだりはしないそんな関係だった、学校ではお互い違う友達と遊ぶ。家が同じ方角にある、それだけ


今日は普段より寒い。二人はいつものように待ち合わせるでもなく一緒に帰り始める。寒いからかな、二人の距離はいつもより近い、大きなトラックが近づいてきたから、一瞬だけ縦になった。けどまたすぐに二人は並ぶ


「あぶなかったね」と私


「おっきいトラックだったね」とみっちゃんが答えた。


いつもより距離の近い二人は、顔を見合わせて笑った。


みっちゃんの家の方が先なんだよね。私の家は地区は違うけど、みっちゃんの家から全力疾走1分のところにある、登校は上級生や下級生と大勢で行くけど、帰りはいつもみっちゃんと二人。そして、みっちゃん家でバイバイしてからはいつも全力疾走1分間のひとりぼっち


そんな、みっちゃんは今日学校を休んだ・・・・・・


帰りはひとりで帰った。明日みっちゃん学校来るかな・・・・・・


次の日も次の日も、みっちゃんは学校に来なかった。


いつもの1分間のひとりぼっちは大丈夫だけど・・・・・・ずっとひとりは嫌だよ


「みっちゃんはどうしたの?」ママに聞いた


「みっちゃんは重い病気で入院してるの、いつ退院出来るか分からないみたい」とママ


それから私は毎日ひとりで帰っている。



冷たい風が耳に当たる、12月の風は前から横から吹き付ける。


上からニット帽にマフラー、ダウンジャンパー裏起毛のあったかズボン。いつもと同じ格好なのに・・・・・・「すごく寒いよ、みっちゃん」


いつもと同じこの道が色をなくしたように見えて、風は更にきつく冷たく感じる。お寺の花も少し元気がないように見えた。


私はその少し元気がなさそうなお花にお願いをした「みっちゃんが早く元気になりますように、そしてお花さんも元気になってね」


みっちゃんの病気が治って戻ってきた時、みっちゃんが寒くないように、


もっとひっついて帰ろうね。


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