表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
みなしごとしての幸せ  作者: CORE-失踪P-
8/12

…お姉ちゃん…

アトラくん、お姉ちゃんは年齢不詳ですよ。


(ここ)

本名

コマイ


未だにみんなには内緒で、本名は不思議なので言っていない。

本名の意味は、昔のCOREのニックネームが《故意舞(こいまい)》だったからだ。

「遅いじゃない!?」

怒られた。

次は、暴力、暴力、暴力。

あぁ、ボクは、我慢する必要なんてなかったんだ。

後ろでボクを振り返らずに走って買い物に行く姉を見た。

-逃したか。

決まってる。これからやることは。

次の瞬間には、あいつらは、ボクと反対の位置。

「ねえ。」

ボクは、言った。

「これからは、ボクのばん。」

冷たく言い放つ。そうだ。

これからは、ボクのばんだ。

「な、なんの」

ぐしゃ。

殴った。

「ねえ。ボクさ、つらかったんだよ。ずーっとなぐられてけられて。のろわれてるなんてしってる。だから。」

だから。

今まで味わった苦しみ。

痛み。

憎さ。

怒り。

そして

自由があれば

感情があったかもしれない。

感情があれば

あの子は死ななかったかもしれない。

「あのこがしんだのは」

全部

「おまえらのせいだ」

強い憎しみ。負の感情。全部全部。全部全部全部。ぶつける。お前らが喋れなくなるまで。動けなくなるまで。死ぬまでずっと。

「ボクさ、これだけいたかったんだよ?やったのは。ボクのかんじょうをけしたのは。おまえらだろ?」

「な、な…」

?誰だ。まあいい、家に残っていたやつらは死んだらしいから。次はお前だな。

「わ、私…」

「おかえり、おねえさま。つぎはあなたのばんだよ。」

死ね。

「っ!!」

避けない。

「まっ…」

青い顔。ボクには、今構っている暇なんかない。

早く、ボクの味わったぶんを、お返ししてあげないと。

「しね」

「やだ!!」

強いな。いいや、まだまだか。

「っ!」

回り込む気か?無駄だ。

「…は?」

正面突破する気か?

「!」

不意をつかれた。

「しまっ…」

逆転しないと、まえみたいに暴力が始まる!嫌だ!ボクは…自由になりた…

「…?」

なんともない。痛くもない。ただ、目の前が暗くて、暖かい。それだけだ。

「…ごめんね…!」

「…おい、おまえ、いまなにがおこっている。」

…答えない。ただ、背中に回された手が、力を入れる。


気づいた。

ボクは、今、抱きしめられている。


あれだけ欲しかったはずの物が。

今、なんとも思わない。


「おまえ、なにをする。はなせ。」

「っ…嫌だ!!」

「なぜだ。」

「嫌だったら嫌なの!」


わからない。

今までボクを苦しめてきた奴が、今は、嫌いなはずのボクを抱きしめている。

「なんでだ?」

「何でじゃないよ。ごめんね。こんなダメなお姉ちゃんで…守れなくてごめんね…!」

守る?何を言っている。

「おまえは、ボクのてきだろ。」

「違う!!!」

じゃあ、なんなんだ?

味方か?暴力娘のくせに。


待てよ?


ボク、こいつに殴られたり蹴られたりされた記憶がない。


いつも後ろを向いていて。


時には外に走って。


振り向かず、ボクを見ず。



…あれ?

おかしい。

今では、泣きそうだ。

「うっ…」

あぁ、こいつはもう泣いてたのか。

「お姉ちゃん。」

「え…」

「ここお姉ちゃん。」

ここ。

(ここ)

ボクの

ボクの

唯一の

味方。

今は、

信用できる。

「ボクと、ここからでよう。」

「…!」

「こんなろうや、いやだよ。お姉ちゃんは、つらくない?こんなとこ。ぼろぼろで、血のあとしかないよ。」

お姉ちゃんが言ってた、漢字。少し、わかった気がした。

「ねえ、行こう?ボクと。逃げよう?」

こんな牢獄から。

「…う、ん!!」

安心できる。

唯一のお姉ちゃん。

唯一の、ボクが認めた《家族》。

大切。

そう思った。

「じゃあ、準備、しよう」

途切れ途切れ。疲れたんだ。

「うん…!」

お姉ちゃん、ごめんね。

「そういえば、あいつら死んだけど、悲しくないのか?」

「あぁ!それね。いや、正直そんな長くないけど、1ヶ月くらいかな。テストの点数が少し悪かったってだけで、暴力を振るわれたから、むしろスッキリした。」

…ふっ。

「あ、そうだ。」

「ん?」

「あなた、名前をあげなきゃね!」

名前?

特にいらないけど…

「いつまでも[あなた]じゃ、ね?」

少し赤い。

「熱でも、ある?」

「っ、あ、あるかな!別の熱があるかもなー!」

?なんの話かわからん。

「あ…アトラ!」

「アトラ?」

「そ、アトラ!あなたの名前!」

ボクが。

アトラ?

「…ありがとう。」

初めてのお礼。

嬉しいからの。

憎しみじゃない。

綺麗なお礼。

「うん!」

「ボク、どんなイメージ?」

「え”」

とりあえず、なんとなく言ってみた。

少し気になるな。

「う、うーん。」

うん。大した返事来ないと思うけど。

「声だけ聴いたら女の子みたい。顔も女の子っぽいし…可愛いかな!」

「…」

あの、ボク男なんですが。

「…!わわ、私は?私はどんなイメージ?」

「優しくて素直なお姉ちゃん」

「ふぇ」

なんだよ。マジで言ってんの。

照れを知らないから、呆れ顔でちらりと見る。

「え、へへへ!ありがとう!」

ふーん、笑うと普通に可愛い。

「普通に可愛い。」

「にぇ!?」

真っ赤になるお姉ちゃん。なにしてんの。

「準備できたら行くよ。」

感情が出てくる。

早くお姉ちゃんと出たい、この世界から。

牢獄から。

「あ、う、うん!」








。・:+°。・:+°

「あ、ははっ」

今はあの時のボクとは比べ物にならないなぁ…

校庭で、お姉ちゃんはどこにいるのか考えてみる。

「…い…か…」

?いか?

あ…遠くに誰かいる。

女の子か…

行ってみよ、困ってるかもしれないし。

「あの…」

見て驚いた。だって…

「ここお姉ちゃん?」

「な、なんで私の名前っ!」

「あ、ごめんなさい、ボクはアトラです。」

「え。私のしってるアトラこんな礼儀正しくない。」

酷い!

「でも、声高いのと可愛いのは似てるなぁ。頬の黒いのとか。」

ああ、悪魔の…

「ねえ、じゃあアトラ?羽も耳も尻尾も出せるってこと?」

うっ。は、恥ずかしいけど。

「できます。」

「じゃあ出してごらんなさい。」

う…来ると思った、疑い深いお姉ちゃんだもんなぁ…

「は、はい…」

ばさっ、と翼。まってマジで恥ずかしい。

「あ、あ…」

固形。

「アトラあああ!?」

「ひ!?」

び、びっくりした…

「アトラ?本物なの?」

「は、い。」

「うそ…」

固まっていた顔が、だんだん笑顔に変わっていく。

きーん…

「あ、学校…」

終わりのチャイムだ

「アトラあああっ!!」

ちょ!

真っ赤になって泣きそうな目で抱きついてくる。

「だれかにいじめられてない?怪我してない!?」

「だ、大丈夫だって…」

困惑。

「お友達いる!?」

「どこのお母さんだよ…」

いるけど。

「電話ってできる?」

学校です。

♪立ち入り禁止-オフボーカル-♪

あ…電話。

「何この音!?」

「着信音。」

音は気に入ったのかな?

「はい、もしも」

『学校どうした!』

「ご、ごめんなさい…」

黒さん…!

『とりあえず、今どこだよ。』

ため息つかないで…

「こ、校庭です…」

『帰りだから行くわ。今。』

「い、今、ですか…?」

『問題あるか?』

「驚くことはありますけどね」

『知らん』

「わかりました」

あっさり認めてしまった後に電話終了。

「だ、大丈夫?なんかごめんなさいとか言ってたけど…」

「大丈夫だって…」

同じセリフ言った気がする。

「おーい!」

「アトラぁ!」

ティアス!黒さん!

「こっちですよー!」

「知ってる!」

わかってます。

「あの子達は?」

「友達です!…多分…」

ティアス達からどう思われてるかなんてわかんないし。

「その子は?」

「え、えっと…」

{いつも通りお姉ちゃんじゃダメなの?}

お姉ちゃんから、脳内メッセージ。

{今じゃ、見た目的にボクが上だからな。}

昔の口調で返す。

「…私、アトラの兄弟です。」

はっ!その手があったか!

「アトラ、お前兄弟いたんだな。」

「神様あああ年齢まちがえてますよおおお」

なぜわかった。

「アトラ、この女の子は何族?」

「いきなりだな…」

この口調、黒さんと区別つかない。

「アトラ、お前そんな口調にもなるんだな。」

「昔は黒さんみたいな口調でしたから…」

性格はサイコでしたけどね。

「新鮮」

「アトラは魚じゃないのよ!」

お姉ちゃん?違うよ、昔とは違うんだよ。

「正直行っていいですか…?」

頷いてくれてありがとうごめんなさい。

「お姉ちゃん…です。心お姉ちゃん。」

黙らないで。

お願いします泣きそう。

「明らかに…おかしいだろ…」

「神様のミス?」

「わかんないわ。新米神だったもの。その可能性は大ね。」

見た目小学生ですからね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ