子猫。
あの時
ボクは
ボク達には
《救い》
《偽り》
は、同義語だと思っていた
。・:+°。・:+°
「…」
-なんでもいいよ。暴力なんて。なんともないよ、いつものことさ。
いつもの光景。いつもの暴力。いつも通りの親。嫌いって言ったって通じない。むしろ、悲しむ[フリ]をしていた。わかっていた。
「化け物!」
-わかってるさ。そんなこと。
ボクは、この世界で初めて見られた種族。
悪魔と悪魔のコ。
なのに
なんで?
なんで
なんでボクだけ
狐と悪魔なの?
だからって、今までみんなに暴力を受けてきた。生まれてきた時から。 不思議な子ってわかられた時から。名前も貰えない。
唯一外に出ることか出来た、【お散歩時間】。
この時、あの子猫と出会った。
「にゃあ」
呼びかけられたと思う。あのときは、感情を知らなかった。だから、
「邪魔だ」
って言った。…心なしか寂しそうだった。頭を擦り付けてきて、膝に乗ってきた。
感情を知らないから、怒らない。無視して《無》という感情に浸る。
「お前の迎えは、いつ来るんだ?」
「…」
-通じたのか?
わからなかった。ただ、一つわかった。
「親は、どこだ?」
「にゃ」
…いないんだな。
そう思った。
ボクも同じだ。あいつらは、きっと親じゃない。ただの
《偽りの無》
偽った、感情がないやつ。
ボクなんか、化け物だよ。平気で暴力を振るわれるほど。
「ボクとお前は同じなんだな。」
そのうち死ぬ。生きてる。
いや、ボクは死んでいるのかもしれない。
目も、声も、生き方も、もちろん感情も。
動いているのは体だけ。
この猫は、生きている。
ボクは…
ボクは…
どうなん、だ?
わからない。
でも。
こいつは。
こいつも?
自分の事、わからないのかもしれない。
「ボク、生きていいと思うか?」
「にゃ!」
ダメだろ?な。
あいつらが。
あいつらの暴力が証明している…
「いいか。お前は生きろ。生まれ変わったっていいぞ。ボクよりは幸せに暮らせ。まともじゃないからな。ボクの暮らしは。」
立ち上がる。人気の少ない道路に向かって。
▦▦▦▦
油断した。
▦▦▦▦
人気がないからって。
トラックだ。
吹き飛ばされ…!
あれ?
なんで?
さっきまでいた道の反対の道。
道路を見た。
「え…?」
猫。
あの猫。
猫。
ボクの
不注意なんかで
トラックに?
なんで
なんで
ボクなんかを
かばって?
「っ!!!」
すこししかいなかった、あいつと。
心の隅で、また会いたいって思ってた。
大切だった。初めての。
あのトラックは、何事も無かったかのように走る。
憎い。
憎い。
殺せ。
あれを。
あいつを。
憎い。
殺せ。
死ね。
気づいたら、あいつは、別の車と事故にあっていた。
呪ったんだ。ボクが。
悪魔として。
化け物として。
この日から、ボクは決めた。あいつらから離れ、逃げ暮らすこと。
口調を改めること。そして
大事って思ったら、もう二度と目を離さないで、一緒にいること。