気づけない、気持ちに。
いやだよ。
怖い。
振り返るのも、ここにいるのですら。
「っ…ぅ」
知らないうちに、泣きそうだった。
嫌だ。
きっと嫌われた。
「おい、なにをしている。通せ。」
こんなに強気な子の前でも、泣きそうで。
「…入らせてもらうぞ。」
さっきの台詞を言われても、反応出来なくて。
「…ボク…出てくる…」
辛い。
ここには…ボクの居場所があるのかわからないよ…
気づいたら、走ってた。
_____
「っ…は…ぁ」
苦しい…
どんだけ走ったのかわからないよ…
いつの間にか、膝を擦りむいてたみたいで、でも…
「あんな話、しなければよかった。」
でも、話しておこうって思った。
いつかはわかる話だから…
嫌われる。わかってた。
いや、嫌われなくても、きっと近寄って来ないでほしいって思ってるはずなんだ。
自分から話して、勝手に出てって…自分勝手すぎるのはわかってるんだけど、どうしても耐えられなかった。
「帰りたい…のかな…」
正直わからない。
いやだよ、帰りたいよ、でも帰りたくないよ…
目の前にあるのは、コンビニ。
お腹空いたな…でも、お金持ってないや。
ティアスのご飯、どんな高級レストランにも負けないくらい美味しかった。でも、帰り道もわからないし、帰りたくないのかもわからないし、勝手に出てって迷惑をかけてるのに。今更携帯使って図々しく家に帰るの?
だめだよ。
それこそ嫌われたって当たり前だ。
「ティアス…」
3人目の大切な人。
子猫と、お姉ちゃんと、ティアス。
でも
ティアスだけは、みんなへの大切となにか違った。
ずっと一緒にいれたら。
ずっと抱きしめられていたら。
やだな。
泣きそうだよ。
「そういうの、恋って言うんですよ?」
「っ!?」
だ、れ?
黒髪の美人さん。会ったことないはず。
「ふふふ、可愛い事で有名な中学校3年生、アトラさんですわね?」
く、詳しい…でも可愛いは否定。
「アトラ…ですけど…」
声が出ない…
「随分泣き疲れているようですわね。」
泣き疲れて…?ボク、泣いてたの?それより、恋って…?
「人を、特別に大好きになる事ですわ。ティアスさんに恋をしてるのですわ、あなたは。」
わからない。
何を言ってるの?
気づいて、自分の気持ち。




