少女との出会いは唐突だ。
-寒い。
寒い。どうしようもない。気温も、人も、心も、体温も、何もかも寒い。こんなところにいたくない。ここじゃないといけない。その考えだけが、ボクを蝕み、壊していく。
-怖い。
怖い。怖い怖い怖い。嫌だ。こんなところ嫌いだ。人も、心も全て。教えてくれないものは、知らなきゃいけない。そうだ。そんなものだってある。溢れかえるくらい。でも、愛情。生きる意味。偽り。こんなもの、いらない。いらないいらないいらない!!もう嫌だ!みんな嫌いだ!街の中で冷たい目を交わす人が。大好きなんて偽る親が、恋人が。どうせ金だの利益だの視線だの、そんな考えがあって偽ってるだけなんだ!なんなんだよ!意味もなく生きるなんてただ辛いだけ。なのになんで生きてるんだよ、みんなは…
「もう…いい、か。」
元々少し高い声でふっと笑う。ああ、さよなら。せめて最後に歌でも聞きたかったなぁ。
悪魔アトラは、死にます。
「う…あ…」
ん、ここは…?あっ、天国か。さっきのところ地獄だし。そう思っていると、
「あ、動かない方がいいよ。」
ん?誰の声だろ。動かない方がいいって?じゃあ試しに動いてみよう
「いだい!」
激痛がぁ!!?
「ったく、高いところから紐なしバンジーって大丈夫なの?頭は大丈夫だけど、身体のあちこち骨折れてたりするけど。」
う、ううぅ…いだいよ…
「うぅぅう(;ω;)」
「泣かないの!見た感じ高1くらい?」
高1?なにそれ?
「?な、に。それあ。」
ろれつが!すると、少女は驚いたようだ。通じたんだすごい。
「え!?」
一般常識だよ!と言われる。えぇ…知らないんだもん…
ふくれっ面をしていると、
「可愛い」
え、ボクは男ですよ。
「ボク…男…で…」
激痛でうまく言えない…
「…名前は?」
…?
「あ、とら。」
アトラだよひらがなじゃないよ!
「アトラ?…私はティアス。」
カタカナ…ボクと同じだ。もっともこの5分後、衝撃の言葉が発せられる。
「…」
?
「族は?」
…はい?いやいやいや族はって?なんで族についてるのわかるの?嘘だよーあ、ティアスは神様なのか。じゃ、言っていいかな。
「あ、く…まと、き、つね…」
出ねぇ。激痛め神様に恥かくとかいやだろ
「私は天使と狐。」
え、敵じゃないか。
「神…さ、ま?」
「違うけど。」
…え?
「じゃ、あ、どこ?」
「私の家」
…?待て待て、状況を整理しよう。
1 ティアスは天使で、狐族。神様ではない。
2 ボクは今、女の子の家にお邪魔している。
3 ボクは、生きている。
…
「しに、たいのに…」
楽になってきた痛み。嫌になった世界。冷たい目。冷えきった体。
「あ、そうだ。これ、忘れてた」
そう言うと、ティアスはボクに暖かい布団を投げる。
「みぇふっ」
わあぉぽかぽか。まって離せない。
「たす、けて…」
引き付けられるよー
「…」
あれ、ねぇなんで無言で近づいてくるの?なんかあれ?待って怖いやめて…:(´;Д;`):すると、横にばふっとティアスが寝転がった。まずいよ気まずい。
「…寝る。」
え?ボクの横で?…まあいいか、もう疲れたかな。ボクも…
「お、やすみ…さぃ。」