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ヘタレ女の料理帖  作者: 津崎鈴子
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虹のかなたに1

やっと自分の気持ちを自覚して、覚悟を決めた私。


なんか足元がふわふわする。

マサキさんも優しい笑顔でそばに居てくれる事がすごく幸せ。


家に着くと、エミさんが心配そうに出てくる。


「ユキちゃん!無事?」


そばにはヨーコさんがいる。


「ただいま。心配かけてごめん。ヨーコさんが守ってくれた。カッコよかったよ」


そう報告すると、エミさんがヨーコさんを最大限に褒めた。ヨーコさんが照れてる。

エミさんに褒められて、特大のご褒美をもらった感じですごく嬉しそうだ。


「それから、大事な報告があるんだけど」


私とマサキさんがお互い顔を見合わせて居た事にピンと来たらしい。

エミさんが涙ぐんで応接間へ誘われた。



☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・



「私たち、正式にお付き合いする事になりました」


なんか恥ずかしいな。横を見ると、マサキさんも照れてるみたいで真っ赤だ。


「良かったわ…………本当に」


エミさんにいろいろ心配かけていたんだなぁって解るから感謝でいっぱいになる。

その横で、ヨーコさんがため息をついた。


「あ~~あ。せっかくいい人材だと思ったのになぁ~~」


え? ヨーコさんの残念がる意味がよくわからない。


「うちの会社さぁ、イベント企画とか柔軟な発想できる人材が弱くてさぁ、あんたの企画、いろいろ話聞かせてもらったら面白そうだなって思ったのよね。実際ひとりで企画立ててるの見たときにまだまだ粗削りだけどいいなぁって欲しい人材だって思ったのよねぇ」


 ヨーコさん、実家が経営している会社をいくつか手伝っていて、いずれは跡を継ぐことになっているんだって。しかもその企業っていうのが有名財閥系の企業で子供でも名前が出てくるゆりかごから墓場までを担っている複合企業だった。



ええええええ!!!!そ、そうなの?



「ユキちゃんは、魚六に永久就職してもらう予定なんだから諦めてくれ」


「独占欲丸出しだと愛想つかされるわよー」


にやっと笑いながらヨーコさんがマサキさんを挑発する。


「ヨーコさんの傍になんか置いとけるか!心配過ぎるわ」


マサキさん、ヨーコさんを睨みつける。


「ヨウちゃんダメよ、からかっちゃ。でも、初々しいわねぇ~~♪」


エミさんとっておきのお茶を飲みながら、夜は更けていった。



翌日の夕方、いつもの居酒屋で、タカシさんやアヤやクミちゃんを呼んで正式にマサキさんと付き合うことになった事を報告すると、アヤやクミちゃん、よかったねって、泣いて喜んでくれた。


 近々実家にも挨拶に行こうと思ってると伝えるとアヤは、複雑な顔をしていた。


そうだよね。アヤにとってはテルも幼馴染だもん。どこかやりきれない思いもあるんだろうと思う。


その時、仕事終わりなのか電気屋のエイジさんが入ってきた。

アヤはエイジさんに手を振ると、エイジさんも満面の笑みでやってきた。


「こ、こんにちわ!!来てたの?!一緒に飲まない?」

デレデレのエイジさんに、アヤ、ちらりと私を見る。


はいはい、行ってらっしゃい。言いたいことは伝えたから。とうなづくとすっくと立ちあがりエイジさんとカウンター席へ移動していった。


「ユキちゃんの次はアヤちゃんかな」


クミちゃん笑っていた。


カウンターで笑顔で話をするふたりは、すごくいい雰囲気だ。

あとからあとから、商店街メンバーが集まって又楽しい飲み会が始まった。


マサキさんも冷やかされながらほろ酔い加減になっている。


そんな時、こっそりとタカシさんに呼ばれ、少し離れたテーブルに移動する。


「ごめん、ユキちゃん、ちょっとだけ内密の話があるんだけど」

その真剣な表情にただならぬものを感じて承諾した。


「ユキちゃん、マサキのこと本当に大切にしてくれる?」


「はい。私に出来る事ならなんだってしたいと思っています」


即答した。躊躇した答えは出来ないくらい、真剣な目だ。

なんか、大企業の最終面接の厳しさのよう。


何を見られて、どんな答えを望んでいるのか。


相手が望むのは真実の答えだけ、そんな気がした。


「過去を知っても? なんか、告発文、来てたじゃん」


「マサキさんからも聞きました。でもその時のマサキさん、

強いのに何か脆さのようなものも感じて、支えてあげたい、

護ってあげたいって強く思ったんですよね。私なんかがおこがましいですが」


「あいつの過去は、真っ黒だよ?そう書いてあったよね」


「ええ。でもそれも含めて、今のマサキさんだから」


そう答えると、タカシさん、ふっと息をついた。


「そっか、ありがとうね。あいつのこと、頼んだよ。大事にしてやって。ユキちゃんに心底惚れてるから」


その笑顔に、どうやらタカシさんの面接には合格したらしいと感じた。




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