星に願いを5
さっそくミキちゃんのご両親が商店街の事務所に来てくれた。
一緒に来たミキちゃんは、やはりあのリハビリ室で会った女の子だった。
デザイナー志望の受賞者ユカリさんはすでに待ってくれている。
今回の話を聞いて、近くの服飾専門学校の先生も一緒についてきておられ、実習にもなるし、地域に貢献する活動として企画をあげて校長先生から許可をもらったのだそうだ。
ユカリさんの通っている服飾専門学校にはウエディング学科もあり、結婚式場やドレスメーカーに就職する人もたくさんいるらしい。その中にはウエディングフォトや室内装飾、靴まで作る!(まぁ、ファッションの専門学校だからありっちゃありだけど)学科まであるらしい。すごく助かる。
「お父さんとお母さんの結婚式が出来るように商店街のメンバーでお手伝いしますね」
タカシさんが、実行委員長よろしくお話をする。
ミキちゃんのご両親は、よろしくお願いします、と頭を下げる。お父さんは頭を掻きながら、お母さんは胸いっぱいで涙を浮かべていた。
早速、商店街での結婚式のプランを話してみる。
ウエディングドレスを担当してくれる服飾の専門学校に通っているユカリさんは、ドレス生地代やその装飾用のビーズ代が出るだけでも大助かりと言っていた。なんでも、ドレスの生地ってものすごい高い上にたっぷり使わないと貧層に見えるって。まぁそこはドレスの形に寄るけど華やかに行きたいらしい。
デザイナー志望のユカリさんが、新婦の要望を聞き取っている。昔から、お姫様のようなふんわりしたドレスにあこがれていたそうだけど、家事育児で育ってしまった二の腕がすごく気になるらしい。
すると、ユカリさんは、二の腕を目立たなくするのに、パフスリーブっていう袖を膨らませた形を勧める。
そして、商店街でやるなら、裾は地面に擦れて汚れてしまう事を考えて、アンクル丈という、くるぶしまでのドレスにして、と持っていたスケッチブックにさらさらとイメージを書き付けていく。
アンクル丈はなんでも短めの裾丈なので動きやすいし可憐に見えてガーデンウエディングで流行っている新しい形のドレスなのだそうだ。お母さんは、別料金をお支払いするので、ミキちゃんにもおそろいのドレスを作ってもらえないかと交渉する。ユカリさんは、それいいアイデアね!!とタカシさんを呼び、ミキちゃんのドレスも一緒に作っていいか交渉していた。ミキちゃんの分は、生地さえあればミシンと人手は何とかなると言ってくれた。そして、専門学校の先生は、以前服飾科の発表会でウエディングの飾りつけの課題があった時の物が倉庫に眠っているので貸し出しをしましょうと提供の申し出をしてくれた。
ミキちゃんとお母さんがおそろいでドレスを着るアイデアが固まった。
お父さんのタキシードも同級生が手伝ってくれるらしい。
そのあと、ユカリさんにお父さんがこそこそと何かをお願いしていた。ユカリさんがじゃぁ用意してくれたらそれは任せて、余った生地で作れるからと返事していた。
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駆け落ちをしていたものの、8年という歳月の中、それぞれの家族とはミキちゃんという孫が出来ていることで和解していたご両親の父母も、結婚式に招待することになった。
色々なアイデアを組み込んで、どんどん大きくなっていくこの企画。
さすがに3週間では時間がなさすぎるので、一か月後の旧暦の七夕の日に行うことになった。
すごく楽しみだ。
 




