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ヘタレ女の料理帖  作者: 津崎鈴子
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飲み過ぎた夜のトリ雑炊

現在の時刻は午後10時.

家に着いて鍵を開けようとしたら、玄関に明かりがついていた。あれ?エミさんは、まだ起きてるのかな?

いつもなら9時には電気が消えてるのに。

玄関の引き戸を開けると木とガラスの軋む音が響く。

「おかえりー、なんだか酒臭いわね。楽しんでた?」

エミさんが笑顔で出迎えてくれた。


台所に連れていかれて冷たい水を頂く。

久しぶりに幼馴染とご飯食べていたと説明するけど、エミさんは静かに笑うだけ。

そう、良かったねって。


「飲んだ人はそろそろ小腹が空く頃でしょう?」

悪戯っぽく笑うエミさんがとっておきのお酒の〆を用意してくれるらしい。


冷蔵庫から鳥の胸肉を出してきて薄くそぎ切りにする。


エミさん、小鍋を出して水からお湯になるまで、入れたそぎ切りにした鶏肉を5分くらい入れて火を通し


火を止めて鶏肉をいったん小皿に取り出して裂き、避けておいて、冷蔵庫から出してきた柴漬けを


細かく刻んで準備している。


そのゆで汁を再沸騰。鶏がらスープの素を足して冷ご飯を入れる。


ご飯がほぐれたあたりで刻んだ柴漬けを入れて塩コショウで味を調える。


少し汁気にとろみがついてくるまで待ち、その間に取り出しておいた胸肉を裂いておく。


出来上がったものを大ぶりのお椀によそって、裂いておいた鶏肉を載せて三つ葉を飾りにして


出してくれた。柴漬けの色が移って色味はいまいちだけどいいにおい。


相変わらず本当に見ている間においしいご飯が出来上がる。


「いただきまーす」


 酒飲んだ後にこれって本当においしいわ。色は柴漬けが強烈に主張して薄紫に染まっているけれど、この細かく刻んだ柴漬けの歯触りが何とも言えなくていい感じ。彩りに関してはミツバの緑が鮮やかに見える。


エミさんのご飯って本当においしい。なんか心まで温かくなるような思いやりの詰まった料理。

こんなご飯を作ってあげられるような人になりたいな、と思った。


「ユキちゃんは、何でも美味しそうに食べてくれるから作り甲斐があるわね」

エミさん、笑顔で言ってくれる。


「やっぱりね、誰かとご飯を食べるって幸せなことなのよ。話し相手がテレビだけとかね、やっぱし寂しいじゃない? まぁ、選んでずっと仕事に生きてきたわけだけど、この年になると人生の分岐点をいろいろと考えちゃうのよ。もちろん選んでここにいるわけだから後悔してないんだけどね。だから一緒にこうして暮らしてくれて、ユキちゃんには感謝してるのよ。こんなばあさんの世話なんて引き受けてくれちゃってね。ありがとう、ユキちゃん」


「エミさん……。私も、ここに置いてもらって感謝してる。ありがとう」



いつも笑ってるエミさんが、心の内を話してくれているのになぜか軽い衝撃を受けた。

いつも自信があって、いろんな人から頼りにされて豪快に笑ってなんでもそつなくこなしてるってイメージがあったけど、しみじみと語る、エミさんの言葉に少し考えてしまった。


「ところでマサキ君、イイ男でしょ?」


エミさん、なんだかすごーーく嬉しそうに聞いてくる。


あれ?


「ユキちゃん待ってたら聞こえちゃったのよーん。俺が護るからって。きゃあああユキちゃん青春よねぇ」


エミさんに変なスイッチが入った。初めて見たよ、エミさんの乙女モード。


頬を染めて両手で頬を抑えて身もだえしている。


「エミさーーん、こっちの世界に帰ってきてくださいよーー」


エミさんも満月でおかしくなっちゃってるのかな、と、私は見なかったことにして


黙々とご飯を食べることにした。


鶏の胸肉は安くて栄養があって我が家のマストアイテムです。

今回のレシピの応用で、沸騰したお湯を止めてそぎ切りにしたものを鍋の中に入れて30分位ほっておいて、お湯が冷めきった時に取り出した鶏肉を細かく裂き、きゅうりの千切りにトマトのクシ切りを添えて、ごまだれをかけるとバンバンジーもどきになります。残ったゆで汁にわかめともやしとごまを振り、鶏がらスープを少し足して塩コショウでスープにすると無駄なくおかず2品作れます。このスープにお好みでごま油を垂らすとより美味しくなります。忙しい主婦の為の手抜きスピードメニューとして、近所のシングルマザーのおばあちゃんから教わりました。


(すいません、鶏肉に火を通す為に水から鶏肉のそぎ切りを入れてグラっとしてから火を止めて30分置いておくの間違いでした。訂正してお詫びします。すみません)

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