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ヘタレ女の料理帖  作者: 津崎鈴子
19/71

王子様の探し人1

 この間のイベントの余波はすさまじかった。

というのも、テレビの力ってすごいな、と本当に思った。

たった2分半のコーナーで、連日客足が絶えない商店街の様子に嬉しい反面大変な人たちもいた。


大体、買い物に来るのは主に主婦。ちょっとしたミーハー根性のご新規さんが大挙してやってきた。

主に、魚六のマサキさんと八百屋のタカシさん目当てがミエミエのお客様達。

もともとのお客さんたちからもアイドル扱いだったのに、輪をかけて対応が大変そうだった。

 そういう人たちは、マサキさんやタカシさんが不在だと不満そうにして結局何も買わないで時間をずらしてやってくるのもいるから常に店が混みあって元のお客さんが店に寄りつけない状態。


 番組で紹介されたパン屋さんやケーキ屋さんも、番組のコラボ商品を期間限定でおいてる商品も飛ぶように売れていくけど、今までこじんまり商売していたおじさんたちがちょっと疲れ切ってる感じがある。


まぁひと月もするとそのミーハーの波が徐々に引いていって、本来のお客さんに少しだけ商店街を気に入ったお客さんが残ってプラスになったかな、って感じていた頃、商店街に向かって歩いている私の目に、ものすごくキラキラしたものが目に入った。


 住宅街の横を流れる川にかかる橋に何か、この位置からだと少し遠いけど、ひとりの男性が佇んでいるのが見える。


きらびやかな黄金の髪はさらさらと風に遊ばれている。その表情は憂いを帯びてそれはそれは美しく目を惹かれる。仕立てのよさそうなスーツも、少しくたびれているように見える。


傍を通る人は、その異国の人を気にしながらも話しかけることを躊躇して素通りしていく。

きっと言葉がわからないんだろうなぁと思ったが、私も英語は得意ではない。

スマホには文字にしてくれたら、翻訳してくれるアプリはあるが精度がどうなんだろう。


すごく思いつめた表情になんかほっとくことも出来ず話しかけてみることにした。


「ええっと、どうかされましたか? うーん、メイアイ ヘルプ……」


すると、その異国の男性は驚愕し、透き通る藍色の瞳を大きくして私の両肩をつかむ。


「貴女、テレビに映っていた女性ですね!!助けてください」

それはそれは流暢な日本語を話していた。


とりあえず、彼エドワードと近くに喫茶店に入ることにした。


「小さいころ僕の面倒を見てくれた恩人を探しています」

エドワードは語り始めた。


小さなころ、仕事で忙しい両親と祖父に代わって、祖父の友達だった女性が自分の傍にいてくれた彼女は慈しみ、時に厳しく自分を育ててくれたがある日、両親と諍いになり彼女は出て行ってしまった。


その時は、捨てられたのだ、と両親から新しベビーシッターを付けられたが、彼女を忘れられず大人になってある程度の自由になる資金を手にしてから探偵を雇ってずっと彼女の行方を探していたら、ようやく故郷である日本に戻っていると情報をつかみここにやってきたが、それ以上の情報がつかめず困っていたとのこと。

日本のあらゆるニュースや映像を探り、ついにちらりと彼女が映っているものを発見したが一瞬だった為確証が持てない。彼女の映像の後に主催者三人のインタビューが流れていたのでその三人のうち誰かにコンタクトを取れたら彼女の足取りがつかめるんじゃないかと探していたそうだ。


うーん。ある意味ドラマチック?


「で、その人の名前教えてください」

「ナニーです」


ナニーさん?日本でそんな名前の人探すの大変かなぁ。

とりあえずそのニュース映像に映っている人を調べることにした。


商店街の若手メンバーで誰か録画してる人いないかな。


まずは誰が映っていたか洗い出ししなきゃ。


☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・



商店街の若手で機械に詳しそうな電気屋のエイジさんに声をかけることにした。

騒動の余波でマサキさんとかタカシさんはかなり疲労困憊してるだろうから頼みにくいし。


 事情を話すとエイジさんは、奥からDVDを出してきてくれた。

ちゃんとニュース映像を録画してDVDに焼いてみんなに配るのに何枚かは置いていたらしい。

さすがですねーと思わず褒めるとすごく照れくさそうにしていた。


早速お店のデモ用のデッキに写して確認する。


ざわざわした商店街の熱気に、ワークショップが流れるように映し出される。


すると、エドワードさんは興奮して立ち上がり、彼女です!!ナニー!!!

と涙をあふれさせていいた。


その声にエイジさんが一時停止したが、その人が意外な人だったから驚いた。


えええ???マジで?



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