表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/9

ゴブリンと魔法 その3

お待たせしました m(_ _)m

「そっせい!」


雷を纏った先生が、親分の胸に突き刺さる。


バチッ!


閃光と共に、親分の身体が跳ね上がる。


「親分! 親分! しっかりしてくだせぇ!」


追い打ちをかける様に、床に落ちた親分の肩を掴み、ガクガクと前後に揺さぶるゴブゾウ。

そのたびに、ガッツン! ガッツン! と親分の頭が床を打ち付けている。


「……これは、まずいですね。水を分けて貰えますか?」


虚空に向けて声をかける古老。すると、守り木から返事がある。


『いいよ』


「ゴブタ、守り木の所にいって湧水を貰ってきなさい」


「ういっす。どうぞ」


古老の指示に、打てば響くとばかりに、懐から水筒を取り出すゴブタ。守り木には、普段は近づけない筈なのだが。


『ほんものだよ』


「……ゴブタ、今、水筒を何処から取り出しました? これは、軽々しく飲んで良いものではありませんよ」


「……の、ノンデマセンヨ? さ、作物が良く育つので、常備してっるす」


『おいしいよ?』


「……常備? まあ、今は良いでしょう」


『「ほっ」』


「後で、話があります」


『「ひっ」』


水筒を受け取った古老は、青ざめるゴブタを放置し、今なお先生とゴブゾウにO☆SE☆WAされている親分の元へと向かう。


「親分に止めが刺される前に処置するとしましょう」



  ・・・・・・・・・・


ワシ……つまり、ゴブリンの……白い……ホワイト………シチュー食べたい……は、困惑している。

寝床で寝ているのだ。


寝る前に何をしていたか、記憶が無い。

やけに頭がズキズキする。これは……、あれだ。二日酔いに違いない。ゴブタ秘蔵の酒でも飲み過ぎたか? 記憶を無くす程飲むとは……まさかとは思うが、ボケた訳ではないよな。

えーと、此処は……だ、大丈夫。古老様の家だ。覚えているぞ、ワシ。

晩飯は、なんだったか……。何か損した気分だ。さて、置き上が……れない。


「お……う……」


ゴブゾウを呼ぼうと思ったが、声が掠れる。どういう事だ?


「あ、親分。気が付いたっすか」


む、ゴブタ。近くにいるのか?


「お……あ…」


「親分、まだ無理しちゃダメっすよ。死にかけたっすから」


死?


「3日も目を覚まさないっすから、ゴブゾウと先生が大騒ぎっす」


「呼んでくるっす」と出ていくゴブタ。え? 3日……そんなに飯を食い損ねてたのか。



「親分、気分はどうですか?」


「おおうああ……」


暫くすると古老様が来た。声は出る様になってきたが、上手くしゃべれない。身体は相変わらず動かない。


「ああ、そうでしたね。大丈夫ですよ。処置の影響です。今は動けないでしょうが、直に動ける様になります」


そう言ってこちらを覗き込む古老様。なんかごそごそしているが、良く分からん。


「どうなるかと思いましたが、問題はなさそうですね。もう少し寝ておきなさい」


そう言ってワシの瞼に手をかける古老様。その手は、うっすらと光を帯びている。頭のズキズキが治まり、眠気がやってくる。


「あの子とゴブゾウは、まだ立ち入り禁止ですよ」


まどろみの中、そんな古老様の声が聞こえた気がした。





ワシ……つまり、ゴブ…ゴブ……白?……白い……恋人?……は、目を覚ました。……恋人ってなんだ。


 ぐぎゅるるる


盛大に腹が鳴る。今日も我が身体は健康の様だ。さて……朝……なのか?

よっこいせっと。上半身を起こすと、グラリときた。腹が減り過ぎて、目が回りそうだ。ゴブゾウとゴブタの姿は、既に無い。どうやら寝過ぎたようだ。


「ヒュッ……ヒュー……」


……喉が張り付いて声が出ない。適当にコップと水を作って・・・・喉をうるおす。

 ぐびぐび。ふ~、不味い。

魔法で生み出した水や食べ物は、何故かは知らんがとても不味い。口にすると、とても残念な気持ちになる。

顔をしかめながら腕を広げ、背を伸ばす。まだくらくらする。まあ、水分は補給できた。

いらなくなったコップと水を元のモノに戻す。ほどける様に消えてくコップと水。大気に漂うモノへと戻ったのだ。


「お……親分……」


ん? ゴブタ。おったのか。


「……今の何っすか?」


「何って、ただの魔法だが」


ん? 魔法? ……そういえばワシ、魔法の練習中に……おや? いつの間に。

…………まあ、使えるんだから良いではないか、良いではないか。

これが睡眠学習という奴だな、ハッハッハ!


「「…………」」


ジト目で見つめるゴブタ。真顔で見返すワシ。

暫く見つめ合ってると、ゴブタが視線を外し、やれやれとばかりに首を振る。……ワシの勝ちだ。


「まだ、動いちゃダメっすよ、親分。何か食べ物を取ってくるっすから、休んでて下さいっす」


メシか……そう、腹が減って目が回りそうだったのだ。急ぐのだ、ゴブタ!




  ・・・・・・・・・・




某、白い場所


「……主様」


「「「「「「何かな」」」」」」」


円状に並べられた沢山の机と、机に着く沢山の白い人。それぞれが机に積み上げられたしごとを処理している。手が足りないなら増やせば良いと、白い人が増えたのだった。


「不気味」


その様子に少し引き気味な少女が正直な気持ちを口にする。しかし、白い人の増量に合わせてしごとの量を増やす彼女も大概である。


「「「「「スピードアップ!」」」」」


「負けない」


更に増える白い人。更に増えるしごと

生み出された紙は宙を舞い、それぞれの机に均等になる様に配られていく。

いつまでも続くかに思われた攻防にも、遂に終わの時が訪れる。

少女が生み出すしごとが尽きた。


「くっ」


「「「「「フハハハ~。どうかね? ぅう~ん~~」」」」」


「……っち。お疲れ様でした、主様。しばらくお休み下さい」


貯め込んだ仕事を処理してドヤ顔な白い人と、微妙に悔しそうな少女。

そこに新たに白い人が現れる。


「やあ、私。お疲れ様」


「そっちもお疲れ。どうだった彼?」


「ああ、だいぶ使える様になってきた。しっかし、何回目だっけ? 良く来るね」


「最近は特に多いね」


「ああ、お茶お願いね」


「自分で用意できるだろ」


「まったくだ」


「「「あ、こっちにもお茶」」」


あっちこっちで雑談を始める白い人達。


「…………はぁ……」


(どうやって戻させようかしら)

主が始めた新しい遊びに、そっと溜息をついて、お茶の準備に向かう少女であった。





という訳で、親分も魔法を習得しました。


親分は目を覚ますまでの間に、白い人の所に何度も通っており、その都度修行を受けています。

何度も通う羽目になったのは、主にゴブゾウと先生のお陰です。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ