第八話 お話したよ
異世界に来たら猫耳お姫様に求婚された。
それなんてギャルゲー?
いえいえ現実ですよ俺。
いきなりの超展開で頭が追いつかない。
レオナ姫の結婚宣言の後、マールトンさんが混乱した場を何とか収め、俺は王国軍の元々の行き先であったというタルタニスの領主宅へ向かう事になった。
目立ちたくなかったのかよって?
ははっあんな事があり、時既に遅しと思ったが俺は目立ちたくなかったから逃げようとしたんだよ?
そしたらレオナ姫が「どこにいくのだっ」ってまた抱きついておっぱいが腕に当たったんだ。
俺はもう、逃げる事を断念したね。
力強くぎゅっとされたから振りほどけ無かったんだ。
決しておっぱいの魔力に負けた訳じゃないよ? 本当だよ?
領主宅についた後、俺は客室へと案内され「少々お待ち下さい、準備が整いしだいお呼びします」と兵士に説明を受けた。
部屋には時計が無かったが、おおよそ一時間ほど待っていると先程の兵士が再びやって来て、応接室へと案内された。
中に入ってみると、レオナ姫は椅子に腰掛け、マールトンさんやその他五人の兵士がその後ろで待機していた。
レオナ姫は俺の顔を見るととびきりの笑顔を向けてくれたのだが、そんなレオナ姫を見てマールトンさんはゴホンと咳払いをして俺を見据える。
「いきなりだが、貴様は何者なのだ? 姫様のあの様な御姿は今まで見たことが無い。まさかとは思うが幻惑系の魔法やスキルを使ったのではあるまいな……?」
「何を言っておるのだマールトン。先程アンジュに私はその様な影響を受けていないと視てもらったではないか?それに私は常々言っていただろう。私は自分より強い者と結婚すると」
「では、この様な妙な姿をしている人間が、王国歴史上最強と云われる姫様よりも強いと仰るのですか?」
「そうだ。ユートは私よりも強い」
「断言されましたな。何故そう思われるのです?」
「直感だ。私の直感がそう告げている。この街に入った時から何か巨大な力を感じていた。そしてギルドの近くを通る際、その力が濃くなり慌てて外に出てみて、回りを見回してみたらユートがいた。私は確信したのだ、この男が力の正体だと。その瞬間私は恋に落ちた。今まで感じた事の無い気持ちだったよ、心に春先の暖かな風が舞い込んだかのような……そしたら下半身がキュンとなって、いてもたってもいられなくなったの……」
レオナ姫は前半はとても凛々しく説明していたが、後半になるにつれて頬を朱く染めていった。やべぇ可愛い……
「そ、そうでしたか……姫様の直感はスキル効果でもありますからな……しかしこの男にその様な力があるとは、幾千人の戦士を視てきたこのマールトンには思えません」
「それはユートが力をマールトンには気づかれない程上手く隠しているからだろう。それに亜人の女は本能的に強者感じ、惹かれるものだからな」
マールトンさんは「ううむ」と唸った。
「姫様の先程の行動の理由は分かりました。ですが、この男の素性は解らぬままです」
「それもそうだな。ユート、あなたの事を私に教えてくれないか?」
「レオナ姫様の」
「ユートにはレオナと呼んでほしい。敬語も必要ない」
「そ、それじゃあレオナの質問には答えたいんだけど、信じてもらえるか……」
「信じる!私はユートの言葉は信じよう」
すげえ信頼だよ。俺がびっくりだ……
こうして俺は異世界から来た事を話した。