第二話 森の中で
小屋から出ると隣りには民家らしき建物が建っていた。日本の家屋とは違う木で作られたまるでRPGゲームに出てくる家の様だ。
「マジでどこなんだ?ここは……?」
こんな建物がある所が日本にあっただろうか?少なくとも俺の家の近所には無いだろう。
さらに周りを見回すと、同じ様な建物が少し離れて建ち並んでおり、詳しく調べてみたかったが、先に怒声が聞こえる方を調べる方が良いよな。
地面がむき出しになっている道を歩いて行き、喧騒のすぐそばまできた。
「物凄い声だ、叫び声も聞こえるぞ……」
俺は恐る恐る近づいていき、近くにあった木に隠れながら様子をうかがう。
するとそこでは、これまたRPGゲームにでてくる村人の様な服装の集団と、盗賊みたいなボロボロの服装の集団が短剣や長剣を握りながら、戦闘をしているではないか。
「くそっ!マルコがやられた!」
村人みたいな服をきた少し大きな男が叫んた。良く見ると彼の足の近くを見てみると血だらけの男が倒れていた。
あまりにも現実離れしている、現代日本では信じられない光景を見た俺は、一瞬言葉を無くし、そしてすぐにこれは映画の撮影か何かだと考えた。
あはは、だよねー現実でこんなこと起こるはずないなよな!
だとすれば、今俺がこんな所にいるのは撮影の邪魔でしかないと思い、さっさとこの場所から離れようとした時、叫び声を上げた男の目の前にいたボロボロの服の男が、彼を剣で斬りつけたではないか。
「ぐぅぅおおお!!!」
斬りつけられた男は苦痛にまみれた声をあげ、血飛沫を撒き散らしながら倒れた。
「…えっ?」
今の叫び声はとても演技には聞こえなかった。
斬りつけられた男はなおもうめき声をあげており、その様子もまたとても演技には見えない。
「え、映画じゃ無いのか?」
いやいやそんなはず無いじゃないか。落ち着け俺!なんとか冷静さを取り戻そうとしていると、ボロボロの服の男が倒れている男を見下ろし、嫌らしい笑みを浮かべ、蹴りを入れた。
「戦闘中に相手から意識をそらすなんて馬鹿な奴だ!」
そういうと剣を振り下ろし男の首をはねた。
えっ、え?嘘だろ!
に、人間が首をはねられた……
とても信じられないが確かに今俺の目の前で確かに人が死んだ。
死んだ男からは血がとめどなく流れていてCGなどには見えない。
これは映画なんかではなく、リアルな出来事だったのだ。
そう考えると、目の前光景がとても恐ろしく感じる。剣を持ち人同士が殺し合っている。
俺は混乱したままその場から逃げようとした。その時視界の端に、首をはねた男が剣を振り上げ、他の村人をまたも斬りつけようとしているのが見えた。
俺ら何も考えず、斬られそうになっている人を助けたく、ただ反射的に叫んでいた。
「危ない!」
すると自分の中からほんの少し、何かが抜けた感覚が一瞬したと思うと、その瞬間目の前が真っ白になり
そして
ドゴン!!!
と爆音が鳴り響いた。
目の前の白さが収まり、元の風景に戻ると
剣を振り上げていた男が消えていた。
「「「えっ?」」」
その場にいた全員の声が綺麗にハモった。