第40話 正体不明
嫌な予感がする。
第六感はないが、ざわざわする。
この感覚はアンデッドに対峙したのと一緒だ。
「【文字置換】」
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文字置換スキル
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│侍魔法言語変換 ▼│
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【chanting sutras】
[♯]
【調略。敵方の豪族が寝返りましたぞ。討ち死に! 致し方なし! 飢饉…… そちに任せる、なんとかせい…… 乱世。影武者は必要じゃ。むっ…… ここはじっくり行かねばな…… 酒。(笑) 慰みぞ(笑) 年貢。軽くしてやるが良いぞ。所業。やはり、奴らは根切りじゃな。[幕]家老! 裏切り者はその方か! 何故じゃ…… みな、なぜにわしの考えを理解せん…… むっ…… 何とかせねばなるまい…… 家中! 獅子身中の虫など、斬ってしまえ! 飢饉…… そちに任せる、なんとかせい…… 愉快!(笑) 死なんぞ、死んでおらん!(笑) 】
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無詠唱で魔法を行使。
観自在菩薩、行深般若波羅蜜多時、照見五蘊皆空、度一切苦厄、舎利子、色不異空、空不異色、色即是空、空即是色、受想行識亦復如是、舎利子、是諸法空相、不生不滅、不垢不浄、不増不減、是故空中、無色、無受想行識、無眼耳鼻舌身意、無色声香味触法、無眼界、乃至無意識界、無無明、亦無無明尽、乃至無老死、亦無老死尽、無苦集滅道、無智亦無得、以無所得故、菩提薩埵、依般若波羅蜜多故、心無罣礙、無罣礙故、無有恐怖、遠離一切顛到夢想、究境涅槃、三世諸仏、依般若波羅蜜多故、得阿耨多羅三藐三菩提、故知般若波羅蜜多、是大神呪、是大明呪、是無上呪、是無等等呪、能除一切苦、真実不虚、故説般若波羅蜜多呪、即説呪曰、羯 諦、羯諦、波羅羯諦、波羅僧羯諦、菩提薩婆訶、般若心経のお経が聞こえた。
「この聖句は前に聞いた。呪文が変わっている。くそっ。仕組みを大きく変えて別物にするのならともかく。魔法言語登録に通らないはずだ。仕組みに沿っていれば、新しい単語は生み出せるが? なぜだ?」
レスティガーの声。
混乱しているな。
それで良い。
英語をモールスにして、現地語に変換。
ダミーを付け加えて作っている。
このルールは変えてない。
違反ではないはずだ。
事実、魔法は発動している。
「ぐはっ……」
血を吐いた。
何かの攻撃を食らった。
「【文字置換】」
人工細胞の登録して置いた英文を呼び出す。
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文字置換スキル
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│侍魔法言語変換 ▼│
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【make artificial cells】
[♯]
【温泉。(笑) なんとも心地よき湯じゃ。(笑) ふむっ。愉快じゃ。憤怒じゃ。このような問題は捨ておけ。む? これは難しき問題ぞ? [幕]ザシュ(斬撃)♪ みなの者、根切りじゃ(無音)♪ もらった! 馬から降りて勝負じゃ! くっ。(苦鳴)♪ わしも悔しい(嗚咽)♪ 火が!! なにっ、敵の城が燃えておるじゃと!! 敵将!!(驚) 先陣切るとはやるのう!!(驚) 殿! 咽ぶでない、嬉しいなら、さらに励め! くっ、無念だ…… お主、何とかしろ…… 火が!! ふっ、再起を図るしかないか!! そりゃ!! 掛かれ、勝利目前ぞ!! 卑怯な…… 起請文を破ったのか…… [幕]かっ、ぬかった…… まだ再起を期すことは可能ぞ…… む? わしもここまでか? 卑怯な…… こちらも策を使うまでよ…… いかんのう? 逃げの一手じゃなかろうか? 掛かれ!! 遅れるでないぞ!! 】
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無詠唱。
「回復魔法も変化したな」
レスティガーの声。
些細な変更だよ。
しかし、敵の手口が解らん。
「ぐはっ……」
またも血を吐いた。
攻撃が解らない。
呪いだったら、お手上げだ。
仕組みが解らないから、解除も防御もできない。
「ぐはっ……」
血を盛大に吐いた。
血液が足りない。
もうろうとした俺は倒れた。
ここで死ぬのか。
目の前が暗くなった。
くっ、冷たい。
水に少し濡れたようだ。
拷問で水を掛けられたにしては少量。
目を開けたが、真っ暗闇だ。
拘束もされてない。
まだフラフラする。
「【翻訳】」
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翻訳スキル
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│日本語 ▼│→│英語 ▼│
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人工血液を作る。
[↓]
make artificial blood
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「【文字置換】」
文字置換での呪文はこんな感じ。
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文字置換スキル
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│侍魔法言語変換 ▼│
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【make artificial blood】
[♯]
【温泉。(笑) なんとも心地よき湯じゃ。(笑) ふむっ。愉快じゃ。憤怒じゃ。このような問題は捨ておけ。む? これは難しき問題ぞ? [幕]ザシュ(斬撃)♪ みなの者、根切りじゃ(無音)♪ もらった! 馬から降りて勝負じゃ! くっ。(苦鳴)♪ わしも悔しい(嗚咽)♪ 火が!! なにっ、敵の城が燃えておるじゃと!! 敵将!!(驚) 先陣切るとはやるのう!!(驚) 殿! 咽ぶでない、嬉しいなら、さらに励め! くっ、無念だ…… お主、何とかしろ…… 火が!! ふっ、再起を図るしかないか!! そりゃ!! 掛かれ、勝利目前ぞ!! 卑怯な…… 起請文を破ったのか…… [幕]おっ、おのれ!! 伏兵か!! いかん退け…… こうも敵に勢いがあるとは…… 天守じゃ。天守に逃げるのじゃ。安穏じゃ! 憂慮すべき難題もなしじゃ! じゃのう。これからも励めよ。】
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無詠唱。
魔法で作られた血液で、体調の悪さがすっかりなくなった。




