8:破滅への第一歩
自分がいかに素晴らしいか、王族として頑張っているか。
普通の人だったら、とっくに嫌になっているフーリーの自分語りを、アメリアは微笑みを浮かべ聞いていた。
理由は婚約者だから。
今日もひとしきり語りまくり、フーリーは満足げに席を立つ。
「お前は俺という素晴らしい婚約者が居て幸せだな!」
いつものように、偉そうに言うフーリーの言葉を、アメリアは笑顔で肯定した。
アメリアが応接室の扉を開ける。
本来はメイドや護衛の仕事なのだが、フーリーは自分の自尊心を満足させる為に、アメリアにやらせていた。
「きゃ!」
扉を出た所で誰かにぶつかりそうになり、フーリーは足を止めた。
ぶつからなかったにも拘らず、相手は床に尻もちを着いた。
フーリーは、メイドだと思い怒鳴りつけようとして、相手がドレスを着ている事に気付いた。
「ご、ごめんなさい。おねえ様がこちらに居ると聞いて、お話したくて」
ミアが目に涙を浮かべながら、フーリーを見上げる。
「まだこちらに来たばかりだから、淋しくて」
ミアの目から涙が零れ落ちた。
「フーリー殿下、大変失礼いたしました」
ミアには目もくれず、アメリアはフーリーに謝る。
貴族としては王族を優先するのは当然の事である。
「殿下の前で無視するなんて、酷いです」
未だに立ち上がりもせず、ミアはポロポロと泣き出した。
王子として、高位貴族や王族などのきちんとした教育を受けた女性しか会った事がないフーリーには、感情豊かで自由なミアがとても新鮮に映った。
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