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愛してなどおりませんが  作者: 仲村 嘉高
 

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3/31

3:兄、ロバーツ




「アメリア」

 使用人から隠れるように、小声で呼ぶ声がした。

 柱に隠れるように、兄のロバーツが手を振っている。

「あ・と・で」

 口の動きで話し掛けた後に、アメリアの部屋を指差し、身振りで「行く」と表現している。

 アメリアは微かに頷いてみせた。



 教育を受ける為の部屋に向かって歩いていると、前から公爵夫人が歩いて来ていた。

 アメリアはそのまま、まっすぐ前を向いて歩く。

 夫人は横にずれて、簡易な会釈をしてアメリアが通り過ぎるのを待つ。

 とても母と娘の邂逅(かいこう)には見えないが、アメリアの中ではこれが当たり前だった。


 父親である公爵とは、もう3ヶ月も会っていない。

 なぜなら、アメリアは家族と食事をしないからだ。

 アメリアにとっての食事は、マナーを勉強する時間であり、常に講師に見守られて独りでするものであった。



「来年からは学校へ行きますし、明日から家族と食事をしても良いでしょう」

 マナー講師にそう言われても、アメリアは何も感じなかった。

 ただいつものように微笑んで、「はい」と返事をした。


 その日の夜、ロバーツがコッソリとアメリアの部屋へ遊びに来た。

「明日から一緒に食事が出来るって聞いた」

 嬉しそうに言うロバーツに、アメリアも笑顔で「はい」と答える。


「アメリアは好き嫌いは無い?僕はどうしてもセロリが好きになれないんだよ」

 はぁ、と溜め息を()くロバーツに、アメリアは笑顔を向ける。

「ワタクシは好き嫌いはありませんが、苦手な物はしょうがありませんわ」

「そうかな?」

「ええ。それに、大人になったら急に食べられるようになる事もあるそうですわ。大人と子供では、味覚が違うそうです」

 微笑みながら柔らかい口調で言われると、自分を肯定されたような気分になる。


「アメリアは物知りだね」

 ロバーツがアメリアの頭を撫でる。

「ありがとうございます」

 この兄という存在は、他の人より距離感が近いものなのだなとアメリアは思った。





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