29a:盛大な結婚式
学校を卒業して2ヶ月。
アメリアとアルフィーの婚約期間が2年を超えた日。
国をあげての盛大な結婚式が行われた。
世界各国から重鎮が招待され、国全体がお祭りムードである。
レースをふんだんに使ったウエディングドレスとベール。
ティアラやネックレス、イヤリングは歴代の王太子妃が使用してきた由緒正しい物だ。
無駄な装飾が一切無いのが、却ってアメリアの魅力を引き出していた。
まだ幼さの残る顔をしているアメリアだが、既に王妃たり得る風格があった。
その横のアルフィーも、王太子として充分な雰囲気を醸し出している。
お披露目で王宮のバルコニーに現れた美男美女の王太子夫妻に、貴族平民関係無く、国民すべてが祝福をした。
王都のメイン通りを、屋根の無い馬車でお披露目して周る。
王太子に寄り添い、微笑みながら控えめに手を振る王太子妃は、どこまでも優しく清楚に見えていた。
実の両親を情も何も無く、バッサリと切り捨てる様には見えない。
「アメリア、これからよろしく」
アルフィーがコッソリと隣のアメリアへと囁く。
二人共顔は沿道へ向いたままだ。
「勿論ですわ。立派な後継を産み、生涯国の為に尽くします」
アメリアの返答に、アルフィーは苦笑する。
今なら、目の合わない今ならばと、アルフィーは密かに心の内の疑問を告げてみる。
「アメリアは、私を愛する事はあるのかい?」
一瞬の沈黙の後、何も変わらず沿道へ笑顔を向けたままのアメリアが答えた。
「愛では国は栄えません。私は王太子妃として、延いては王妃として、王家の為、国の為に尽くすだけです。それ以上でもそれ以下でもないです」
アメリアがアルフィーへと顔を向け、視線を合わせる。
慈愛に満ちた、見ようによっては愛している者を見るような、そんなアメリアの笑顔。
「貴方を愛する事はありません」
見つめ合う二人に、沿道の観客からは、より一層の拍手と祝福の言葉が贈られた。




