表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛してなどおりませんが  作者: 仲村 嘉高
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/31

14:卒業式




 卒業式当日。


 学生としていられる最後の日。

 フーリーはとうとう一度も、アメリアと一緒に登校しなかった。

 最後までミアと登校し、ミアをエスコートした。


 アメリアは、これまで通り兄のロバーツにエスコートされ、登校した。

 馬車の中で「2年間、アメリアと過ごす時間を持てて、とても嬉しかった」とロバーツは笑顔を向ける。

「はい。私もとても楽しかったです」

 少しだけ、本当に少しだけだが、アメリアもロバーツに本当の笑顔を見せていた。


 馬車の中という密閉空間で、いつも同じ護衛と侍女しか居ない。

 それに兄ロバーツだけは、他の人間と違い何でもない他愛無い事を話してきた。

 王妃に必要な知識ではない、聞いても聞かなくても何も変わらない話。


「庭に子猫が居た」「友人が婚約者にべた惚れだ」「雨上がりの虹が綺麗だった」

 どれもくだらなかったが、表情豊かに話すロバーツに釣られ、アメリアも楽しい気分になっていた。


 もっとも、通学の時間を楽しいと感じていたのだと自覚したのは、明日からはもう兄と馬車を利用する事が無いのだと、悲しいと感じている自分を自覚した時だった。

 あぁ、あれが「楽しい」という事で、これが「悲しい」という感情なのか、と。




 卒業式の挨拶は、今回は最初から第二王子アルフィーに依頼されていた。

 依頼されてもいないのに、王宮の文官に挨拶文を考えさせていた第一王子フーリーは怒り狂った。

 しかし「入学式と卒業式は、同じ生徒がするのがしきたりです」と校長に説明され、「それを変えるなら王に許可を」とまで言われてやっと諦めた。

 勿論、嘘である。


 入学式と同じように完璧な挨拶をしたアルフィーは、式が終わってからアメリアへ挨拶に来た。

「明日は迎えに行きますが、大丈夫ですか?」

「はい。宜しくお願いいたします」

 いつもの笑顔でアメリアは返答した。


 ロバーツがアメリアを迎えに来た。

 最後の通学馬車の為に。

「アルフィー殿下、2年間ありがとうございました」

 ロバーツがアルフィーに臣下の礼をする。

「パーソン伯爵、公式の場では無いのだから、楽にしてくれ。それに正確には1年と10ヶ月だけどね。兄妹の交流は出来たかい?」

「はい」

 返事をしたのはアメリアだった。


 初めて見るアメリアの感情のこもった笑顔に、アルフィーは心底驚いたが、表情には出さなかった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ