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愛してなどおりませんが  作者: 仲村 嘉高
 

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12/31

12:変わっていく関係




 まだ正式に立太子も、婚約者の発表もされていない。

 それでも第一王子であるフーリーが王太子であり、アンダーソン公爵家の令嬢がその婚約者だと、生徒達は暗黙の了解で知っていた。


 学校では、フーリーは常にミアと共に居た。

 朝もアメリアではなく、ミアと共に登校する。

 皆、ミアがフーリーの婚約者であるアンダーソン公爵令嬢だと誤解した。

 そしてミアも「アンダーソン公爵令嬢」と呼ばれても、否定しなかった。


 ミアの中では、それは間違いでは無かったので、否定する必要が無かった。



「おねえ様は、いつも私を無視するのです」

 ミアがフーリーに訴える。


 嘘では無い。但し、本当でも無い。

 ミアが「おねえ様」と呼ぶので、アメリアは返事をしないのだ。

「アメリア様」もしくは「アンダーソン公爵令嬢」と呼べばちゃんと反応するのに、ミアは(かたく)なに「おねえ様」と呼び続けた。


「食事の時も、全然話さないし」

 ミアと話さないのでは無く、誰とも話さない。

「出掛ける時、絶対に私を連れて行かないのです」

 アメリアが出掛けるのは、王宮に用事がある時である。

 部外者を連れて行くわけが無い。


「同じ公爵家の娘なのに。私が元子爵家だからと馬鹿にしているのですわ」

 ミアはポロポロと涙を零した。



 ミアの涙の訴えを聞いてから、フーリーは益々ミアと一緒に行動するようになった。

 公爵家でのアメリアとの交流も、いつの間にか無くなり、ミアに会いに行くようになっていた。


 そして2年の時が過ぎ、明日には卒業という時になった。


 アメリアとフーリーはすっかり疎遠になっていたが、誰も何も言わなかった。

 アメリアは公爵家を空ける事が増え、王宮に居る事が増えていた。

 それは王妃教育が佳境に入っていた為である。


 しかし、その事実をフーリーは知らなかった。

 それが何を意味するかを、すぐに知る事になる。




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