10:ミアとフーリー
ミアは、公爵家に来て幸せを満喫していた。
優しい義両親は、子爵家では考えられない贅沢をさせてくれる。
可愛いドレスをオーダーメイドで作ってくれるし、ドレス毎に合うアクセサリーも買ってくれた。
子爵令嬢の頃には予約で何ヶ月も待つと断られたカフェに、当日思い立って義母と行っても、待たないで案内された。
最近は、意地悪な義姉の婚約者である王子とお茶をしている。
最初、アメリアが一緒なのが気に食わなかった。
しかし王子は義姉を無視して、自分にばかり話し掛けるのである。
そのうち優越感を感じるようになった。
王子に無視されても、いつもニコニコしているアメリア。
婚約者が他の女と親しくしていても、文句も言えない惨めな女。
王子が何をしてもニコニコ見ている。
余程好きなのだろう。
もしアメリアから正妻の座を奪ったら、どうなるのだろう?
学校が始まる頃には、ミアはそんな事を考えるようになっていた。
「迎えに来てやったぞ!」
入学式の日に、公爵家のエントランスにはフーリーの姿があった。
護衛を二人連れ、四人乗りの馬車で迎えに来たフーリーを、アメリアは困った笑顔で迎える。
「おはようございます、フーリー殿下。残念ながら、その馬車に私は乗れないようですわ」
アメリアの後ろには、王宮から派遣された護衛と侍女が居た。
「お、お前だけ乗れば良いだろうが!」
王宮で六人乗りの馬車で迎えに行くように言われたのを、無理矢理四人乗りで来たフーリーは自分の非を認めたくなかった。
まさか、アメリアにも護衛が付くとは思わなかったのだ。
「アメリアは私が送ります。殿下はミア嬢をお願いします」
ロバーツが正装でエントランスへ現れた。
本来はミアを送る為に来たのだが、状況を見て提案した。
「おぉ!さすがロバーツ!気が効くな!」
何の疑問も躊躇も無く、フーリーはロバーツの案を受け入れた。




