03
1つ目の山を越えた時イービスが指を指してエリーに提案する。
「あそこ!あそこの屋敷で一息入れようぜ」
豪邸と言える立派な屋敷にエリーは色々と言いたそうにするも素直にイービスに従い二人は降り立つ。
間近で見ればしっかりと手入れがされた屋敷だ。
とうとうエリーがイービスにたずねようとした時・・・
「何者だ!」
「誰だ!」
「なんだ?なんだ?」
小さな存在がわらわらと屋敷から出て来てあっという間にエリー達は包囲された。
「此奴らはゴブリンさ。悪戯好きな家憑き妖精さんさ。此奴らの・・・「何を話している!」」
突然の侵入者にゴブリン達は興奮し包囲された後も続くイービスの暢気な説明を聞き取れないエリー。イービスは説明よりゴブリン達を宥め始めた。
「おいおい。落ち着きなって。おいら達は一休みしようかって立ち寄っただけだ。おいらはイービス。こっちはエリー。見てのとおり、ひ弱な小悪魔とカワイイ堕天使ちゃんさ。」
イービスのひょうきんなご挨拶にゴブリン達は呆気にとられる。
「そんでボス足るホブゴブリンにも挨拶と休息の許可を貰いたいんだが・・・何処にいる?」
「ボスは掠われちゃったんだよぉ」
一番小さなゴブリンが泣きべそかきながら話す。
「いつもみたいに街に悪戯しに出かけたら狐人達に襲われてボスは僕達を逃がす為に囮になって・・・帰って来ないんだ。」
「イービス。」
「分かってるさエリー。」
追放されてもお人好しさが抜けないエリーにイービスは応える。
「おいら達がボスを捜して来てやるよ!」
エリーとイービスのやりとりにゴブリン達は泣いて喜んだ。
「ありがとう。本当にありがとう。」
期待に満ちるゴブリン達に見送られながら2人は飛び立った。