01
ある所に声高に叫ぶ天使達がいた。
「残業を無くせ!!」
「休日出勤無くせ!!」
「せめて手当てをくれ!」
「「「働きに見合った対価を!!」」」
無数に犇めく旗には『天使労働組合』と書かれており男女の天使達が訴えていた。
『嘆かわしい。天使とあろう者が勤勉さを忘れ、あまつさえ対価を求めるなど…』
『それもこれも地上の人間達の思想に毒されるなどとは…』
神々は天使達の有り様に嘆く。その中でも力ある一柱の神が、ふと犇めく旗の中で一際、声の通った女天使を見下ろす。
とある女天使は上司から告げられる。
「お前クビね?」
「は?理由は?何故です!?」
女天使は混乱し言葉を乱しながらも更に上司に問う。
「え?勤務態度は問題無いハズですし無断欠勤どころか皆勤に近い位なハズです!!」
「上《神》からのお達しだ!!」
「尚更理由が分かりません!」
「お前なぁ。」
上司は仕方無さそうに理由を話始めた。
聞くに天使達に対して、もっと言えば天使労働組合への見せしめであると。
「そんなぁ。天労には先輩に頼まれて参加しただけなのに…」
嘆く女天使の脳裏に思い出されるのは数日前の出来事。
先輩天使から土下座までされ頼み込まれる様を。
そして尚言いかけようとするも考え直し…
で。諦めた。
そんな女天使に上司は手切れとばかりにエリクサーを押し付け退室を促した。
翌日、上司や同僚達がヒソヒソする中で
上位神による堕天の儀式が執り行われ地獄に追放されたのであった。